『戦艦バウンティ号の叛乱』MUTINY ON THE BOUNTY(1935年・米)

監督:フランク・ロイド。
出演:チャールズ・ロートン。クラーク・ゲーブル。フランチョット・トーン。ハーバート・マンディン

1787年イギリスの戦艦バウンティ号はパンの木1000本をタヒチ島まで取りに行き、それを積んで帰ってくるという使命を帯び出帆した。その頃のイギリス戦艦には正式なイギリス海軍人だけではなく強制的に徴用された水平や、罪を犯した刑罰替わりに乗員させられた者を含んでいた。そして艦長ブライは彼らのような乗員に過酷な重労働を強い、私利私欲のために彼らの食料を削ることまでしていた。副官であるクリスティアンはブライ艦長の行動を苦々しい思いでみつめながらも、怒りに暴発しようとする乗組員たちを抑えていたが、ますますひどくなるブライの暴虐に耐え切れず、タヒチからの帰路とうとうブライ達を船から降ろしバウンティ号を乗っ取る。
なんでもこの物語は実話だそうで、とは言っても乗組員の反乱により消息を絶ったということしかわかってないようで、実話と言うより実際にあった事件を元に・・・と言った方がいいみたいですね。しかし・・・イギリス海軍の制服を着たクラーク・ゲーブルを見てもアメリカンなイメージを抱いてしまうのは私だけでしょうか?(笑)。イギリス軍人に見えなくてもかっこいいんですけどね。・・・で・・・映画の中盤でふとあることに気が付いた。おぉ!クラーク・ゲーブルのひげがない!イギリス海軍の制服と髪の後ろの三つ編みに気をとられてタヒチに着くまで気付かなかったよ(笑)。ひげがなくっても素敵・・・っと映画の感想をすっかり忘れてるね。いやぁ、まさかこういう作品だとは思いませんでしたよ。もっとこうシリアスな作品だとばかり思っていて(シリアスなのはシリアスなんですけどね)まさかラブストーリーに冒険活劇要素まで含んだ作品だとは思いませんでした。日本公開時は『南海征服』というタイトルでショート・バージョンだったとか・・・でも案外そちらの方が見やすいかもしれませんね。

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『死ぬまでにしたい10のこと』my life without me(2002年・カナダ/スペイン)

監督:イザベル・コヘット
出演:サラ・ポーリー。マーク・ラファロ。スコット・スピードマン。

23才のアンは、失業中の夫と二人の娘と母親の家の裏庭のトレーラーを住まいとし、大学の清掃の仕事をしていた。裕福ではないが、それなりの毎日を過ごす彼女はある日急な腹痛で倒れ、病院に運ばれる。そしてそこで、ガンで余命2、3ヶ月と告げられる。夫にも母親にもそのことを告げずに一人深夜のカフェで「死ぬまでにしたい10のこと」を書き綴り、その日から死ぬための準備をはじめる。
自分の死を目の前にした時人は一体どう生きるのか?いくつもの物語のテーマとされたことだけど、この映画はあまりにもきれいすぎる。去り行くものは美しく・・・ということか。それに隣に新しいママにふさわしい、しかも彼女と同じ名前のアンという女性が引っ越してきたり、夫以外の男性と出会い、その男性と恋をする。余命2、3ヶ月の間の出来事にしては、出来すぎている。お涙頂戴ではなく、ただ淡々とした優しい物語というイメージの映画なのだろうが、きれいすぎてさらりとし過ぎてて、ただ流れて行くだけの映画のような気がする。感動もしないし、何も残らない。でも、案外人間が死を受け入れたときこういうものなのかもしれない。ふとそんな気がした。

2003年11月22日(パラダイススクエア)

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『すべては愛のために』BEYOND BORDERS(2003年・米)

監督:マーティン・キャンベル。
出演:アンジェリーナ・ジョリー。クライヴ・オーウェン。ライナス・ローチ。

ロンドン社交界の著名な富豪の息子ヘンリーと結婚したサラは、幸せの絶頂でヘンリーの父親主催の慈善パーティーに出席していた。するとそこに一人の青年医師ニックがヘンリーの父親が救援物資の提供をストップしたことに抗議するために乱入してくる。エチオピアの難民の窮状を始めて知るサラ。ニックの姿と言葉に突き動かされたサラは私財を投げ打ちエチオピアに向かう。そこで目にした難民の窮状、そして危険に身をさらしながらも献身的に救援に従事するニックの姿。それはサラの心を変えるには十分であった。そしてニックもまた純真なサラに惹かれるが・・・。
まさかこんな形でラブストーリーが出来上がるとは・・・すごい。冒頭目の前に映し出されるエチオピア難民の姿にまず心が震える。その難民の救援に従事する中で惹かれあう二人の姿に違和感はない。そしてただニックに焦がれるだけではなく、自らも命を救うものとして国連活動に従事することになるサラの姿に崇高なものを感じる。惹かれあう心は遠くに離れていても、同じ思いで強く結ばれている。本当にスケールの大きなラブストーリーだ。夫も子供もいるサラのニックへの思いを背信と呼ぶにはこの愛は強すぎる。崇高すぎる。実生活でも国連の親善大使として活動するアンジェリーナ・ジョリーらしい映画でした。

2003年12月22日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『シービスケット』SEABISCUIT(2003年・米)

監督:ゲイリー・ロス
出演:トビー・マグワイア。ジェフ・ブリッジズ。クリス・クーパー。

1930年代アメリカ大恐慌時代。自動車販売で成功し富を成したが息子を事故で亡くし、妻にも去られたハワード。馬から自動車への移行で時代遅れとなってしまったカウボーイのスミス。ジョッキーとしての才能を持ちながら大恐慌のため一家離散となり、ジョッキーとしては大柄のため不遇な日々を送るレッド。そして彼らと同じく競走馬として計り知れない可能性を持ちながら小柄であるということから数々の調教師から見放され、性格も荒れ人を寄せ付けない馬となってしまったシービスケット。彼らの出会いが、大恐慌時代という誰もが夢と希望を失くし失意の日々を送っていた時代に、夢と希望と、そして諦めない勇気を人々に与えることになる。
古きよきアメリカ。誰もが憧れたアメリカンドリーム。そして再生の物語。とても晴れ晴れとした気分になれる映画です。実話に勝る創作はやはりありえないんでしょうかねぇ。トビー・マグワイアは友人のデカプーを一馬身どころか二馬身も三馬身も突き放しちゃったって感じですね。この映画では特に今までの彼にあった好青年というイメージが消されて、本当にどんな役でもこなしますよという俳優としての貫禄を感じました。
人って自分の居場所を見つけたとき、本当に輝くんですよね。そしてその居場所を提供したと思われる側も実は、そのことにより自分の居場所をみつけているんですよね。シービスケットの活躍の感動と共に、人の出会いの優しさもこの映画は物語っているのかもしれない。そしてこの映画で2回使われているセリフ「ケガをしたからといって、命あるものを殺すことはない」これ言い換えれば「失敗したからって、それで終わりではない」ってことじゃないかな。そんな気がしました。

2004年1月26日(敷島シネポップ)

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『殺人の追憶』MEMORIES OF MURDER(2003年・韓国)

監督:ポン・ジュノ。
出演:ソン・ガンホ。キム・サンギョン。パク・ヘイル。

1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の変死体が発見される。手足を拘束され頭部にはガードルを被せられていた。地元の刑事パクが相棒のチョと共に捜査にあたる中、また同様の手口による変死体が発見される。決定的な証拠もなく、有力な容疑者すら浮かばなかった。そんなある日ソウルからソ・テユン刑事が派遣されてくる。強引な尋問と拷問により犯人逮捕に結びつけようとするパク刑事とは対照的に資料を読み込み独自の推理で犯人像をくみ上げていくソ刑事。ことごとく対立する2人。しかし彼らの衝突を尻目に犯人は次々と犯行を重ねていく。
この映画の中の事件は1986年から1991年の6年間の間に10人の女性が殺害され、未だに犯人がつかまっていない実際の事件を元にしているということで、一体どういうラストになるのか?とすごく気になっていたのですが、いやぁすごい。見事なサスペンスです。そしてただ緊迫するサスペンス劇かというとそうではなくって、笑いまで融合させているのですからすばらしい。緊迫感にマッチする音楽もすごくいい。当初、犯人を逮捕するために拷問すら辞さないパク刑事のやり方に冷ややかな態度をみせていたソ刑事が自らの推理と検証でみつけた有力な容疑者が現れたことで、あせりと不安から自らが崩れていく様に鬼気迫るものを感じる。そしてラストのパク刑事のセリフには背筋に冷たいものが走る。強烈な作品ですね。

2004年4月12日(動物園前シネフェスタ)

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『真珠の耳飾りの少女』Girl with a Pearl Earring(2003年・英)

監督:ピーター・ウェーバー
出演:スカーレット・ヨハンソン。コリン・ファース

1665年、オランダのデルフト。タイル職人の父親が失明したため、家計を助けるためにグリートは画家フェルメールの家へ奉公に行くことになる。気位の高い妻カタリーナ、彼女の母親で家計を取り仕切っているマーリア、そして6人の子供たち。大家族の中に住み込みで働くことになったグリートは毎日を過酷な労働に費やしていた。ある日フェルメールのアトリエの掃除を命じられたグリートはそこで彼の完成間近の絵に魅せられる。グリートをこの家で唯一自分の絵の理解者であると感じたフェルメールはやがて彼女の優れた色彩感覚に気付き絵の具の調合を手伝わせるようになる。お互いの心に秘めた想い。その想いが画家とモデルとして2人を向き合わせるが・・・
フェルメールの絵は実物も観たことがあるし(とは言え、「地理学者」の男前度しか覚えてないのだが・・・)絵画への造詣はあまり深くない私でもフェルメールが謎の多い画家であることも知っているし、ということで、「青いターバンの少女」(こちらはこの映画のタイトルになった絵の通称なんだそうですが、私にはこちらの方がこの絵をちゃんと思い出せるんですよね。だって、この映画知るまではこの絵の少女が真珠の耳飾してるの気付かなかったんですもん(爆))のモデルとフェルメールという物語と予告編で観た映像の美しさに釣られて観に行ったのですが、もうホント絵画のような映像でした。フェルメールのアトリエはまんま彼の絵画のようでしたし、「交差点」の9番さんから聞かされていた「牛乳を注ぐ女」そっくりのお手伝いさんには思わず吹き出しそうになりました(ツボを得るためにちゃんと予備知識としてネットでフェルメールの絵を下見して出かけました)。映画自体はあまりパッとしない映画のような気がするのですが、映像の美しさとフェルメール度を堪能するにはいいかもしれません。

2004年4月26日(動物園前シネフェスタ)

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『サヨナラ』Sayonara(1957年・米)

監督:ジョシュア・ローガン。
出演:マーロン・ブランド。高美似子。パトリシア・オウエンス。ナンシー梅木。

朝鮮戦争で活躍した空軍パイロットのロイド・グルーバー少佐は、日本での内地勤務の辞令を受ける。彼と同じく日本勤務となったケリーは以前からつきあっていた日本人女性カツミとの結婚を望んでいたが、軍では日本人女性との結婚は事実上禁止とされていた。ケリーの元上司でもあるグルーバーも強く反対するが、彼の意思は曲げることが出来ず、結婚の立会い人となる。ロイドは将軍の娘でもある婚約者アイリーンと日本でのデートを楽しむが、突然軍人を捨ててもいいぐらい私のことが好きなのかと問われ、軍人の妻として最良であるとしか考えていなかった彼は戸惑い、そのことが原因でアイリーンとは疎遠になってしまう。そんなとき、日本で知り合った海兵隊のマイクから松林歌劇団の公演に誘われそこで歌劇団の花形スター、ハナオギに心惹かれてしまう。男性との交際をきつく禁止している松林歌劇団の団員であるハナオギ、日本人女性との交際を禁じられているアメリカ軍人のロイド、人目を忍び交際する二人だが・・・。
なんて良心的に日本を扱ってくれている作品なんだ。人気のある歌舞伎役者ナカムラが背の高い筋肉質な外人さんだってのにはびっくりしましたが・・・(笑)。しかしマツバヤシ歌劇団って・・・(^^;)。やっぱ松竹・・・をもじっているのでしょうか?このネーミングのうまさは並じゃないですね(笑)。この作品で日本人初のアカデミー助演女優賞を受賞したナンシー梅木さん扮するカツミに、本来の日本女性をしみじみと感じてしまった。絶滅品種と言ってもいいくらいかもしれない(爆)。日本が本当に良心的に扱われ、日本の文化をうまく物語りに生かして、ある年代以上の関西人なら絶対に一度は行っている伊勢の夫婦岩まで見られるんだから(笑)、この映画はすごくいいですよ。私の好きなジェームズ・ガーナーまで出てたし。このタイトルの「サヨナラ」がなかなか憎いタイトルですね(笑)。

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『シルミド』SILMIDO(2003年・韓国)

監督:カン・ウソク。
出演:ソル・ギョング。アン・ソンギ。チョン・ジェヒョン。ホ・ジュノ。

1968年、北朝鮮特殊工作部隊による大統領襲撃未遂事件をうけ、韓国政府は極秘に「金日成暗殺」のための特殊部隊を結成する。1986年4月に結成されたことから「684部隊」と呼ばれる彼らは、元は死刑囚や重罪を犯した者たちで、シルミ島に集められ過酷な特殊訓練を受けることになる。彼らがシルミ島に来てから3年。一流の特殊工作員となった彼らに、いよいよ実行命令が下る。ところが決行直前中止命令が出される。政府の外交路線の変更されたのだ。そのため、この計画もこの計画のための彼らも政府にとってあってはならないものになってしまう。何としても彼らを助けたい訓練隊長のジェヒョンは何度も上層部と交渉するが、政府が下した命令は「684部隊」抹殺だった。
熱く、悲しい男たちの物語。以前観た『MUSA−武士−』でもそうだったんだけど、なんでこんなにも韓国映画って"男"の描き方がうまいんだろう。不器用でまっすぐで・・・遠い昔、日本人の多くがあこがれた自分なりの"生き様"を心に秘めた男たち。冒頭の東映マークにこれほどしっくりくる映画は近年にはなかったんじゃないかな。物語は悲しい物語なので、こういう言い方は語弊があるかもしれませんが、とにかくかっこいい。人物描写が見事で、しかも俳優たちの演技力の高さもあるのかもしれませんね。物語の流れに、見せ場がすごくうまい。ラスト近くのキャンディーの袋が足元に落ちるシーンには完全にやられてしまいました。泣ける・・・のではなく胸が熱くなる・・・そんな映画ですね。

2004年6月27日(アポロシネマ)

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『スパイダーマン2』SPIDER-MAN 2(2004年・米)

監督:サム・ライミ。
出演:トビー・マグワイア。キルスティン・ダンスト。ジェームズ・フランコ。

グリーン・ゴブリンの事件から2年。新聞社でカメラマンのアルバイトをしながら大学生として過ごすピーターは、街で事件があるとスパイダーマンとして事件解決のために活躍していた。しかし、スパイダーマンとして活躍するために、大学もアルバイトも疎かになり、密かに思いを寄せる今は舞台女優として活躍する同級生M.J.にも思いを伝えることが出来ず、父を殺したスパイダーマンに復讐を誓う親友のハリーにも真実を告げることが出来ず、苦悩する日々を送っていた。そんなある日ハリーの出資する科学者ドクター・オットーが人口知能を持った金属性のアームを装着した実験中、事故が起こり、そのアームに人格を乗っ取られドクター・オクトパスと化し、スパイダーマンの前に立ちはだかる。
1よりもこちらの2の方がかなり評判がいいようですが、私は冒頭のスパイダーマンとして奔走するために、アルバイトは首になる大学の授業はおろそかになる。友人との約束も守れない・・・というなんともダメダメぶりのピーターに思いっきりなえちゃいました。いや、物語的にスパイダーマンがそういうキャラなんだから仕方ないとはわかってるんですよ・・・これは映画云々というよりも多分生理的に合わないんだから仕方ないですね(^^;)。でも、冒頭の生理的嫌悪感は物語が進むにつれ見事に払拭されましたけどね。ドクター・オクトパスとの対決シーンはすごく面白かった。でも、なんでだろ?1を観たあとで絶対に2も観るぞ!というワクワク感がわかない。一作目で私には新鮮だったスパイダーマンというキャラに2作目にして飽きちゃったのかな・・・いや、ちょっとまて・・・おぉ!そうだ。ドクター・オクトパスがかっこよすぎるんだ(笑)。やはり私は苦悩する若者キャラより苦悩するおやじキャラの方に心がいってしまうようです(爆)。

2004年7月12日(TOHOシネマズ泉北)

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『酔画仙』CHIHAWSEON(2002年・韓国)

監督:イム・グォンテク。
出演:チェ・ミンシク。アン・ソンギ。ソン・イェジン。

朝鮮時代末期、開明派の学者キムは町で殴られている貧しい少年スンオプを助け、その時に彼が握っていた絵に才能の一端を感じたキムは彼を自宅に連れ帰るが、自分を養うほどの余裕がないと感じたスンオプは自らキムの家を去る。それから数年後キムは画材屋で働くスンオプと再会する。彼の絵を見たキムは幼い彼の描く絵に感じた才能は間違いのないものだったと確信したキムは彼に絵の修行をさせるため通訳官の家に彼を預ける。やがてスンオプは絵の才能を開花させ画家として名を馳せるようになるが、貧しい生まれの出身だということが常に彼についてまわり、酒に溺れる日々を過ごす。
宮廷画家までのぼりつめたが、束縛を嫌い、酒と女を愛し放浪の果てに姿を消した実在した伝説の画家実在の画家チャン・スンオプの物語。
この映画を観に行く前、私の頭の中にあった情報は朝鮮時代の画家の話で主演がチェ・ミンシク。そして面白そうだということ。で、映画がはじまり少しして殴られる少年を見かけ「やめるんだ」という声・・・え?この声は?そしてその人物がアップに・・・「うぉ〜!!アン様じゃないですか!?」「えぇ〜!この映画アン様出てたんだぁ〜!!」とそこから私の目が輝き出したことは言うまでもない(笑)。結構単純なのである。しかもこの映画画家スンオプの一生を描いた作品ではあるものの、スンオプとキムの係わりの深さ、関係が一つの線になっている。つまり・・・アン様も大活躍なのである(笑)。もうこうなっちゃうと映画へののめりこみ度は倍増。私に私の好きな俳優さんが出ている作品の感想を聞くのは間違っていると言えるだろう。星二つは余分についちゃいますからねぇ。とは言え、その二つをとっぱらったとしてもこの作品はよかった。芸術家にありがちな破滅的な匂いをこのスンオプも持っているのですが、画家として芸術家として究極を目指そうとして・・・というようなものではない気がするんですよね。自分というものの納まる場所を探しているような人生。酒の中に、女の中に、そして絵の中に・・・あのラストにふと心が温かくなってしまうのは私だけだろうか?あのラストに『汚れなき悪戯』を思い出してしまった。

2005年4月4日(OS劇場C・A・P)

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『Shall We Dance?』Shall We Dance?(2004年・米)

監督:ピーター・チェルソム。
出演:リチャード・ギア。ジェニファー・ロペス。スーザン・サランドン。

シカゴの弁護士、ジョンは仕事も順調、誕生日には必ず家族揃って祝ってくれる優しい妻と息子に娘という家庭にも恵まれ、何一つ満たされないもののないはずの彼が、ふと心に持ってしまった空しさ・・・その答えが通勤電車の窓から見たダンス教室の窓辺に立つ女性にあるかのように思ったジョンは、思わず電車を降りダンス教室へと向かう。最初は窓辺に立っていた女性ポリーナに魅かれて流れのままにダンスを始めたジョンだったが、やがてダンスの楽しさに目覚め、ダンスに夢中になっていく。
『Shall We ダンス?』がハリウッドでリメイクされると聞いたときにはさてさて・・・どんなものか・・・と不安の方が大きかったのですが、まさかこんなにまで『Shall We ダンス?』に忠実にリメイクされているとは!?そしてその忠実な中にアメリカという場所にふさわしく設定を変えて、その変えた設定がこれまた見事という作り。しかも基本が忠実っていう話じゃなくって小ネタまでそのまんまっていうのが、これまたうれしいし面白い。キャスティングも見事ですね。パーフェクト!リチャード・ギアがタキシードでバラ一輪を胸元にエスカレーターで上ってくるシーンには、さすがアメリカ映画と思っちゃいましたよ(笑)。あれは完璧にサービスカットですね。かっこいい。大満足の作品でした。

2005年5月5日(アポロシネマ)

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『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』
EPISODE3 REVENGE OF SITH(2005年・米)

監督:ジョージ・ルーカス。
出演:ユアン・マクレガー。ナタリー・ポートマン。ヘイデン・クリステンセン。

クローン大戦が勃発し、アナキンとパドメが秘密の結婚式をあげてから3年。パドメはアナキンの子を身篭る。無邪気にそれを喜ぶアナキンだったがパドメはそのことで二人の秘密がバレることを恐れていた。そんな中分離主義者の勢力はますます拡大し、戦争の終焉は訪れそうになく、共和国最高議長パルパティーンは任期が過ぎてもその座を退こうとはしなかった。パルパティーンの動向に疑問を抱くジェダイ評議会はパルパティーンに近いアナキンにスパイ役をあたえるが、パドメが出産の際に命を落とすという夢を見たアナキンは「死から守ることの出来る力」の話をパルパティーンから聞かされ、シスの力に魅かれていく。
『エピソード1』は見ました。うるさいジャージャーにうんざりしながらもリーアム・ニーソンがかっこよかったので十分に楽しんだ。ところが観に行こうと決めていた『エピソード2』はあまりにも評判が悪いし、リーアム・ニーソンももう出てないし(笑)、ということで劇場どころかレンタルでさえも見てないんですよね。テレビで放映されたのをチラチラとは見ましたが・・・ところがこの作品冒頭こそ途中から始まるような感じなんだけど、前作見ていなくても何ら問題なし。それっていいのか悪いのかわからないんですが、私が知りたいのはどうしてアナキンがダースベイダーになったのか?ってことだけですからよしとしましょう(笑)。なんであの黒いマスクなんだ?という疑問も解けましたし。よかった。よかった(笑)。さて、アナキンがダースベイダーになったところで、旧三部作見直してみましょうかね。と思うのは私だけじゃないはずだ。

2005年7月11日(TOHOシネマズ泉北)

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『シン・シティ』SIN CITY(2005年・米)

監督:フランク・ミラー。ロバート・ロドリゲス。
クエンティン・タランティーノ (スペシャルゲスト監督)。
出演:ブルース・ウィリス。ミッキー・ローク。クライヴ・オーウェン。ジェシカ・アルバ。

犯罪がはびこる「罪の街(シン・シティ)」。ここで繰り広げられる三つの物語。醜い傷跡の残る顔のせいで女から相手をされないマーヴは生まれて初めて自分に愛をくれた高級娼婦ゴールディが殺され、その敵討ちに命をかける。
恋人のシェリーに付きまとう男ジャッキー・ボーイを娼婦たちの自治区オールド・タウンまで追ったドワイトはそこで、ひと悶着起こし、娼婦たちに殺害されるジャッキー・ボーイの姿を目にするが、彼の正体が警官だとわかり、自治区を存続し娼婦たちを守るために彼女たちに手を貸す。
法さえも支配する街の権力者ロアーク上院議員の息子により、殺された三人の幼女。そしてまた新たな少女が彼に連れ去られていた。その少女ナンシーをなんとか救出した警官ハーティガンは、ロアークに罪をきせられ投獄される。8年もの間、自白を強要され拷問を受ける彼の投獄生活を支えていたのは偽名で送られてくるナンシーの手紙だった。ところがある日その手紙が途切れ、彼女の危機を感じたハーディガンは罪を認め出所し、ナンシーの行方を捜す。
初めてこの作品の予告編を観たとき、なんなんだこれは?と訳わかんなかった。でも何かそそられるものがあり、先にこれ観た人が面白いと言っていたので、観る事に決めたのですが・・・。アハハ・・・すげぇ〜。見事にアメリカンコミックだ。そしてまぁ〜、暴力シーンの多いこと。最初の一話、ミッキー・ローク演じるマーヴの物語のあたりでは、ついていくのがやっとでなんだかクラクラしていた。イライジャ・ウッド扮する殺人鬼ケビンはどうしても『ハリポタ』の男の子に見えて仕方なかった。電気椅子のシーンはなんだか執拗で、ちょっぴり「うげ〜」ってなってたんだけど、2話目からなんだかのって来てしまった(笑)。男が女に命を賭ける。いいじゃないですか〜、なんだか昔風で。クライヴ・オーエンかっこいいなぁ。はまっちゃうとこまでいかないんだけど。ベニチオ・デル・トロ不思議なメイクだ。死体になってからはどうも志村けんに見えちゃって・・・(^^;)。おかげでエグさ半減。3話目のブルース・ウィリスはかっこよすぎ。私はこの3話目が一番好きだな。あのラストもいい。それにしてもこの作品は好みが別れるんじゃないでしょうかねぇ。私はこれ嫌いじゃないです。

2005年10月3日(アポロシネマ)

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『親切なクムジャさん』(2005年・韓国)

監督:パク・チャヌク。
出演:イ・ヨンエ。チェ・ミンシク。クォン・イェヨン。

13年前、20歳で少年の誘拐し、殺害した犯人として捕らえられ、その美貌のため世間を騒然とさせたクムジャ。刑務所の中では模範囚で所内の者みんなに優しく「親切なクムジャさん」と呼ばれていた。ところが刑期を終えて出所した彼女には、刑務所内で見せていた優しい微笑みはなく、彼女を出迎えた伝道師の優しさを疎ましげに拒絶する。そして赤いアイシャドーに冷たい瞳の彼女は13年前から心に決めていた復讐のために、刑務所内で練ってきた作戦を開始する。
観る前はただの復讐劇だと思ってたんですよね。まさかここまで引っ張られるとは思いもよりませんでしたよ。いやぁ素晴らしい。しかも私この作品にチェ・ミンシクが出てることすら知りませんでした(^^;)。しかも数々の作品で主役級の出演をしている人がまともなセリフもなく、ただ復讐される役なんだから驚きですよ。韓国映画の俳優の使い方は本当に贅沢ですよねぇ。しかもソン・ガンホ、ユ・ジテがほんのワンシーンだけ登場するんですから。思わず「え?」って声が出そうになっちゃいましたよ(笑)。チェ・ミンシクが出てきたところでもしばらくこの人って、チェ・ミンシクだよなぁ〜、似てるだけ?なんてしばらく考え込んじゃいました(笑)。それにしてもこの映画のタイトル「親切なクムジャさん」っていうのは、見事なタイトルだなと思いますよ。原題はなんて言うのかしらないんですけどね。最後に来てこのタイトルが効いてくるんですよ。ちょっと皮肉っぽくですが・・・。面白かったぁ〜。ただ・・・あのワンちゃんは一体・・・(^^;)・・・まさか・・・なんですかねぇ。あのシーンはなんか嫌だなぁ。

2005年12月5日(動物園前シネフェスタ)

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『幸せのちから』THE PURSUIT OF HAPPYNESS(2006年・米)

監督:ガブリエレ・ムッチーノ。
出演:ウィル・スミス。ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス。タンディ・ニュートン。

ニュービジネスだと全財産をつぎ込んで骨密度を測る新型医療機器を買い込み、大儲けが出来るはずが思うように行かず苦しい生活を強いられているクリスは、昼も夜も働く妻の収入に頼っていた。それでも家賃も税金も払えない日々。やがて妻にも去られた彼は、一人息子を抱えながら証券会社の正社員を目指し、養成コースを受講する。息子のために、自分のためにホームレスとなりながらも夢の実現を目指す。
ホームレスから億万長者になった実在の人物クリス・ガードナーの自伝的物語だそうで・・・。
はっきり言って「だから何?」な世界でした。(^^;) 夢を掴むっていうのは絶対に悪いことはないし、サクセスストーリーっていうのは私は好きなんですが、でもこの作品ってどうだろう?っていうかこの人ってどうなんでしょう?もし、この作品が本当にこの人の人生をしっかりと描いているものだとしたら、この人って成功して金持ちになったかもしれないけど私にとっては最低な人間だね。一生懸命働いているのに、嫁さんがその生活に嫌気が差して、子供放ったらかして出て行ったというのならわかる。だけど、まず安易に全財産つぎ込んで投資して、それで家計が苦しくなって、妻は昼も夜も働いて、それでも家計は苦しいままで、毎日機械を売りに出るも、そんなに売れなくて、そのくせ成功している人たちを羨んで、自分は高卒だけど頭がいいんだみたいなプライドだけは持っていて・・・最低。証券会社の養成コース受講中は無給だけど、生活費のために週末必死に機械売って・・・だったら嫁さんが一緒にいるときにちゃんと話してそこまでやれよ。多分この人のサクセスストーリーの背景には人種差別とか、もっとイロイロとあるんだろうけど、話の骨格だけ持ってきておいしいとこどりしたような本作では、最低が描ききれていないもんだから、妻なんてどうでもいい息子がいればいいのよ。だって自分の血を分けた子だもん。みたいな自己愛一辺倒の物語のような気がした。いい服着て、いい車乗って、いい家住んで・・・それが幸せかい?そんな安易なものを幸せって呼ぶんならそんな幸せは私は欲しいとは思わないね。

2007年1月29日(TOHOシネマズ泉北)

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『守護神』THE GUARDIAN(2006年・米)

監督:アンドリュー・デイヴィス。
出演:ケヴィン・コスナー。アシュトン・カッチャー。ニール・マクドノー。

これまでに200人以上の人命を救ってきた伝説の海難レスキュー隊員ベン・ランドールは、救助作業中の事故で長年の相棒を失ってしまう。心に大きな傷を負ったランドールは現場復帰の前にレスキュー隊員養成の"Aスクール"で教官をするように勧められる。軍隊をも凌ぐ過酷な訓練の中、抜群の能力を発揮するジェイク・フィッシャーにランドールは目を留める。元高校の水泳チャンピオンで、将来を嘱望されていたはずの彼がなぜレスキューに?トップに拘り、勝手な行動をする彼の過去を調べたランドールはフィッシャーもまた、自分と同じように心に深い傷を持つことを知る。
まさか、予告編そのままの映画だったとは・・・(^^;)。決して面白くなことはない。こういう心に傷持つ、不器用な男を演じさせるとケヴィン・コスナーという人は非常によくはまる。反発し合いながらも、やがて心通わせていく師弟愛、男同士の友情。一人の青年の成長物語。そして新旧の交代。本物の伝説となる男。気持ちいいくらいの定番物語。面白くないわけがない(笑)。でもまぁ、こうして何本もの映画を見ていると、どうしても贅沢?貪欲?がめつく?になってしまう訳でして・・・。なんかこう・・・ねぇ。予想通りの結末がきちゃうとちょっぴり萎えちゃうわけでして・・・。ケヴィン・コスナーのファンには気持ちのいい一本じゃないかな。一般的にはおすすめ作品じゃないと思います。

2007年2月15日(MOVIX八尾)

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『世界最速のインディアン』The World's Fastest Indian(2006年・米)

監督:ロジャー・ドナルドソン。
出演:アンソニー・ホプキンス。アーロン・マーフィー。クリス・ローフォード。

ニュージーランド、インバカーギルに住むバートは60歳を過ぎてもなお、40年以上前の骨董品と呼んでもおかしくないくらいのバイク"1920年型インディアン・スカウト"をとにかくお金をかけない方法で自分なりに改造し、世界一速く走ることを夢にみていた。その夢を叶えられる場所はアメリカ、ユタ州のボンヌヴィル。ボンヌヴィルに行くことを夢みながら、バイクに改良を重ねる毎日。そんなある日バートは心臓発作で倒れる。ボンヌヴィルに行けるのは今しかない。そう決心したバートは何とか旅費を工面し、愛車インディアンと共にアメリカへの長い旅に出る。
63歳で世界最速の夢を果たした実在の人物バート・マンローの物語。
なんて気持ちのいい物語なんだろう。夢を果たすためのアメリカへの長い旅。ロード・ムービーとなってるこの作りがこれまたいいんだ。私は同じロード・ムービーである『ストレイト・ストーリー』も好きなのですが、なんでジイ様が旅するとかっこいいんでしょう?(笑)。ジイ様なのに旅するからかっこいいのか?あぁ、それで『水戸黄門』が長寿番組になるんだな・・・なんてバカな話はおいといて・・・(笑)。主人公のバートを演じるアンソニー・ホプキンスがいい!こんな普通で人がよくって、人懐っこい人をまさかこの人が演じるとは思いもよりませんでしたよ。時々ジャック・ニコルソンとだぶってしまいましたが・・・(^^;)。欲を捨てて夢を持ったらこんなに素敵な人になれるんでしょうか?清清しい気持ちで映画館を後に出来る。こういう映画って本当にいいですよね。

2007年2月18日(MOVIX八尾)

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『シッコ SiCKO』SiCKO(2007年・米)

監督:マイケル・ムーア。
出演:マイケル・ムーア。

西側諸国で唯一、健康保険制度がなく国民すべてが民間保険に頼るアメリカで、4700万人いるとされる無保険者を追うのではなく、もしものためにと保険に加入していながらも、保険会社の営利主義のために、様々な被害を受けたアメリカ国民を追い、アメリカの信じられない医療制度の現実を取り上げたドキュメンタリー。
私はこの人が有名になった『ボウリング・フォー・コロンバイン』も、『華氏911』も観ていない。実はこの作品も全然観る気なかったんですよね。でも、あまりにも評判がいいので、観ておかなくては、と劇場に出かけたました。 イギリス、カナダ、フランス、そしてキューバとの医療事情の違いを見せつけるあたりは、ちょっと色づけし過ぎじゃないですか?って感じがしないではないのですが、それはそれ、ドキュメンタリーでありながらも、これはマイケル・ムーア印作品。ドキュメンタリー映画として観るのは間違いなんだろうって思えるから、さほど気にもならない。それに比較対象は大袈裟にしてあっても、実際に保険会社のせいで被害にあってる人たちの話は脚色なしの本当だと思うので、それを知るだけでもアメリカの現実ってすごいよな・・・って思う。私はテレビドラマの『ER』が好きで以前はよく見てたんですけど、その『ER』でもアメリカの保険事情は描かれていて、「あなたの保険はこの病院では使えません」なんて描写もあったんですが、救急処置すらやってもらえないなんてのはなかったので、これに登場した子供を亡くした母親の場面には絶句しましたよ。おまけに保険が使えないから助かるはずの手術すら出来ないなんて、もうこれって人間の常識超えちゃってますよ。健康保険のある日本人でよかったとしみじみ思いました。おまけにこれ観に行った日の午前中は、政府管掌の健康診断を受けに行ってたもんだから、余計に自分の持ってる保険証の有難味を感じましたよ。この作品に比較対象として出てきた西側諸国のように無料ではないですが、この健康診断にしたって総費用の38%だけが自己負担で、今回の私は6,843だけで心電図に、視力聴力、胸部レントゲンに、胃部レントゲン、という一般検診が受けられたんですからねぇ。あのアメリカの事情じゃ健康診断なんてお金に恵まれてる人じゃないと考えられないんでしょうね。実際の病気ですら観てもらえないんですから。なんでも日本も最近では、この健康保険代が払えないと言う人が増えて、各市町村の健康保険が赤字で、かなりしんどいって言う話を聞きますが、これつぶれちゃったらえらいことになりますよ。確かに保険料は安くはないかもしれませんが、でも決して無茶に高いことはないと思うんですよね。今健康だからと、「高い保険料なんて払ってられるかい!」ってやってたら、自分だけではなく相互扶助だから人にも迷惑かかるんだから、ホントちゃんと払いましょう。年金だってつぶれちゃ困る制度なんだし、アメリカ追従の大バカ野郎の政治家をしっかりと監視して、怒るときゃ怒らなきゃいけないんだと、アメリカ人に教えられた・・・そんな映画でした。

2007年9月3日(MOVIX堺)

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『その名にちなんで』The Namesake(2006年/米)

監督:ミーラー・ナーイル。
出演:カル・ペン。タブー。イルファン・カーン。ジャシンダ・バレット。

アメリカで暮らすアショケは故郷インドで美しいアシマと見合い結婚をして、夫婦二人ニューヨークで暮らすようになる。やがて誕生した息子にアショケは昔列車事故に遭い九死に一生を得た時手にしていた一冊の本の作家ゴーゴリの名を付ける。しかし成長したゴーゴリはその名が変人と言われた作家であると学校で教えられ級友たちにもからかわれ、次第にその名前を疎ましく思うようになる。そしてアメリカで生まれアメリカで育った彼はインド人としての生活さえも疎ましく思うようになる。離れていく息子を悲しく思うアショケとアシマ。

何とも淡々とした物語です。ちょっぴり眠くなったことは認めよう(笑)。 それにしても父親が死んで悲しんでいるのに旅行は予定通り行きましょうとか、私のこと考えてよみたいなこと言うアメリカ人の彼女ってどうよ?(笑)。しかも初対面の両親にアショケにアシムってフランクに呼ぶのって・・・ねぇ。アメリカ人ってこうなの?日本人の私には考えられないし、これって思いっきり引いちゃったよ。ま、ゴーゴリのインド人としての意識を考えさせるための描写でわかりやすくしてるだけで、アメリカ人に対する反感はないんだろうけどね。あ、でもちょっとはあるかな?(笑)。 この作品で私は自分の日本人としての血をすごく意識させられた。生活習慣は紛れもなく西洋化されて、絶対にそっちの方が便利で今さら昔の日本のような暮らしをしろって言われたら無理だって言いきれるんだけど、精神的なものは、やはりどうあがいても日本人なんだなと思う。「その名にちなんで」これは名前の意味ではなく、その名を与えてくれた人の思いと共に自らはある。っていう意味なんじゃないかな。民族に固執すると話がおかしくなるんだけど、その民族であるという誇りはそれぞれに持ってしかるべきなんじゃないかなって思う。インド人の映画を観て日本人としての自我が芽生えた私(笑)。

2008年1月4日(テアトル梅田)

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