横浜市が出資した金の行き先                             岡森利幸   2012/7/5

                                                                  

以下は、新聞記事の引用・要約。

読売新聞朝刊2012/2/21 地域

横浜市の4カ所の埋め立て事業が不採算にあえいでいる。公共事業失敗の典型。甘かった売却見込み、完了20年遅れ、財政にも圧迫している。地価下落も深刻。MM21で55%

毎日新聞朝刊2012/6/6 神奈川

横浜市が出資する横浜スタジアムが仕組み債85億円保有、含み損12億円。

毎日新聞朝刊2012/6/20 社会

千葉県が出資する四つの外郭団体が保有している、為替相場などに連動して評価額が変わる「仕組み債」の、含み損が計32億円5200万円に達していることがわかった。計131億3400万円・85件の仕組み債を保有。その6件は現在「投資不適格」と格付けされている。

最初に掲げた記事では、横浜市の埋め立て事業に関して、取材した記者がその計画のおそまつさをぼろくそに書き立てている。甘い見積もりだったことを指摘している。

結果論だけど、埋め立て事業を4カ所も展開しないで、2カ所ぐらいにしておけばよかったのだ。こんなひどい見込み違いをしたとしても、横浜市の当事者はみな反省もしていないのだろう。景気のよかった頃に計画したものだし、計画立案者たちはすでに引退しているので……。

 

仕組み債の含み損が問題になっている。

横浜市だけでなく、他の地方公共団体や、学校法人までが、保有している有り金(資産)を運用に回して利益を得ようとすることがよく行われている。どこでも財政的に厳しい状況にあり、少しでも、お金を稼ぎたいのだ。まとまったお金を持っていれば、それを運用して利益を得たいと考える。高い利率の金融商品は、だれにでも魅力的に映る。高い利率を標榜している金融商品に目が行くのだが、高い利率ほどリスクも高いのが投資のセオリーである。仕組み債というのは、投機的な金融商品で、高いリスクを伴うのだ。「投資のしろうと」が手を出すものではないだろう。プロの投機筋が、一か八かで「賭けてみる」ものだろう。

含み損があるということは、元金が目減りしているということであって、損をしたことになる。なけなしの金が、利益を生み出すどころか、蒸発したかのごとく、その価値が下がってしまう。市の財政を管理している責任者が、含み損がいくら出ても、のうのうとしているとしたら、とんでもないことだ。公金を無駄にしてしまったわけで、その損失の責任をとって、彼らにはすぐに辞表を書いて欲しいくらいだ。横浜市の納税者ならば、怒らなければいけない。

横浜スタジアムは、横浜の一等地にあって、立地条件のいい巨大な建築物である。横浜市がそれに出資したのは妥当だったかもしれないが、その横浜スタジアム自身は、本来の施設を活用すること以外に、その出資金を仕組み債の購入に当てていたことになる。横浜市の出資金を目的外のことに回していたことになる。つまり、まとまった金を持つ身分になったものだから、投資家になってしまったのだ。横浜スタジアムは、横浜市の出資金を金融市場で運用し、利益を得ようとしたのだが、結局、含み損として12億円をすってしまっていたのだ。それは結局、出資した横浜市の損失になる。

千葉県の外郭団体は、「投資不適格」になった、危ない仕組み債を6件も買っていた。千葉県が出資した4団体というのは、どんな存在理由があるのだろうか。4団体の名称はもっともらしいが……。

・県漁業振興基金 (仕組み債の購入額63億9900万円)

・県私学教育振興財団      (同54億3450万円)

・かずさDNA研究所      (同12億円)

・ちば国際コンベンションビューロー(同1億万円)

 

それらは、千葉県からの金をプールするための団体のようにみえる。すぐには使わない金だが、保有しておけるというような……。

横浜市や千葉県は、多額の借金や地方債をかかえているにしても、出資するだけの手持ちの金はある。それで利率のよい金融商品を買って運用益を得たいと思うのはやまやまだが(多額の負債を抱えている団体ほど、高い利子に目がくらむ傾向にある)、彼ら自身が直接、そんなリスクの高いものを買うわけにいかず(中央官庁が目を光らせている?)、間接的にそれらの「協力的団体」に出資する形で、仕組み債を買わせているのだろう。それが、昨今の金融事情で、「元も子も失う事態」になっているのだ。

 

 

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