ガガさんが買ったもの                                   岡森利幸   2012/7/2

                                                                  R1-2012/7/6

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2012/5/26 国際

コンサートのため、タイの首都バンコクを訪れているレディ・ガガさんが、インターネット上のツイッターで「バンコクで偽物のロレックスを買いたい」とコメントしたことで、タイ国民のひんしゅくを買った。「侮辱発言だ」などと反発の声が上がった。タイ商業省高官「タイのイメージを悪化させた」

「偽物のロレックスを買いたい」とつぶやいたガガさんは、実際には何を買ったか?

「ひんしゅく」を買ったというのが正解になる。

この国際ニュースを日本語に翻訳しながら、記事にまとめた新聞記者は、さりげなくエスプリを入れたのだ。エスプリというより、おやじギャグの類かもしれない。こういう茶化した記事を読むのは、私は大好きである。

解説するまでもないが、公演のためにタイに来たガガさんが、バンコクでたくさんの偽物が売られていることを知って、ロレックスもどきの安物を買いたいという意志をツイッターで表示したのだ。ツイッターに書き込めば、ネットワーク上で、だれでもそれが読める。タイ国民は、その首都バンコクで偽物のロレックスが公然と売られているという、侮辱的な指摘と、そんな偽物を買いたいというガガさんの俗悪趣味に対し、むかついたのだ。バンコクで偽物のロレックスが売られているという悪評が世界中に広まっては、観光に力を入れている国としては困る、という事情もある。たとえ、それが事実であっても、国際的歌手に言いふらされるのはまずいのだ。しかし、くやしかったら、指摘する側をなじるより、偽物販売業者を取り締まればいいのだが……。

 

レディ・ガガさんほどの国際的な売れっ子スターならば、収入も多いから、わざわざ偽物を買わなくても、本物をいくらでも買えるはずだが、あえてロレックスもどきの安物を買いたいと言ったのは、〈中身はどうでも、うわべだけ飾れば、いいのだ〉という信念があってのことかも知れない。あるいは、高ければよいと信じる高級志向の人たちに対する「当てこすり」かもしれない。そんな高級品を使うより実用的な安もので十分だという考えもある。

ガガさん自身、ステージでは、おもっきり派手なかっこうして、本当の自分を見せず、「レディ・ガガ」という作られたイメージの世界を演出している。「レディ・ガガ」は本当の自分の姿ではないことを知っているから、ロレックスに演出された安時計に、親近感を持ったとも考えられる。

「私には、偽ローレックスがお似合いね」と自虐的に思ったかも知れない。

 

 

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