太陽光にさらされたプラスチックはもろい                   岡森利幸   2011/12/19

                                                                  R1-2011/12/23

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2011/8/25 社会面

船橋で塩酸タンク(強化プラスチック製)に転落の作業員2人死亡、タンク上部が割れた。

作業員2人が塩酸のプールの中に落ち、もがきながら死んでしまったわけで、私は地獄絵図のような光景を想像してしまう。数年前には、学校の屋上で天井の明り取りのドームに男児が遊び心で乗ったところ、それが割れ、男児は階下に落ちて死亡したという事例もあった。プラスチック製のドームは、男児の重さにも耐えられないほど弱かったのだ。

明り取りドームは、その上に人が乗ることを想定されてはいなかったにしても、工業用の塩酸タンクは、作業のため、定期的に登っていたはずで、そのメーカーとしても、大のおとなが乗ることを計算して作っていたはずだ。中の水圧を考えると、人が乗って容器が割れるようでは使い物にならない。強化プラスチック製であり、かなりの重量にも耐えられるようにできていたはずだが、なぜ割れてしまったか。

自問自答すると、プラスチックが太陽光に当たって変質し、割れやすくなっていたからだ。一般的にプラスチックは、製造時点ではかなりの弾力があり、割れそうもないのだが、光にさらされると、経年変化が促進されるかのように、(もろ)くなってしまう。屋外で使うプラスチックは意外と耐久性がないのだ。太陽光を浴びたプラスチックの内部でどんな化学変化が起きているかという科学的根拠を私は知らないのだが、それは断言できる。私の家の窓に半透明のプラスチック板を数年置いていたら、触るとそれがぼろぼろになってしまい、あ然としたことがある。

プラスチック製の容器や構造物を屋外に置くことは危険であることをだれでも認識すべきだろう。やむを得ず、劇物の貯蔵などのためにタンクを屋外に置くなら、日陰に置くとか、光を反射する塗料を塗るなどの対策が必要だろう。悲劇が繰り返さないように……。

 

 

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