ポイントの低い選手に最優秀賞                            岡森利幸   2009/12/11

                                                                  R1-2009/12/26

以下は、新聞記事の引用・要約。

スポーツ報知2009/12/8 ゴルフ面

日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、7日に都内のホテルで年間表彰式を行ない、石川遼に最優秀選手賞を与えたが、この日に発表された部門別表彰の資料には、最優秀選手賞と最優秀新人賞の2部門で、受賞選手の獲得ポイントが明記されていなかった。

表彰式後に、石川遼は100ポイントで、106ポイントの池田勇太に次ぐ2位の成績だったことがわかった。

石川遼が選出されたのは、JGTO会長の小泉直氏が、約2週間前に独断で最終決定を下したことによる。

小泉会長「(石川遼の)海外での活躍を加味して決めました」

しかし、開幕前に決められた選考ルールは、あくまでも国内ツアーを中心にしたものだった。ポイント加算方法は1999年のJGTO発足時から変わらないものだが、土壇場で選考方法を変えてしまったのは納得できない。JGTO内部にも、今回の決定を疑問視する声は大きい。

最優秀選手賞の受賞者にはトロフィー、賞金100万円、ANAのペア往復航空券の副賞が贈られる。

ゴルフでは、「数字」に厳しいスポーツである。競技後に自分で運営者に提出するスコアを一つ間違えて記入したら、ただちに失格である。訂正も言い訳もできないのだ。プロの競技会では、選手がいくつ打ったかを監視している人がいるのだから、絶対にごまかせない。ストローク数(打数)で、すべての順位が決まり、賞金の額も決まるのだ。

そんな数字の厳しさを、JGTOの会長が知らないわけではないだろう。「海外での活躍を加味した」という理由は、言い訳にもならない。国内ツアーの成績で最優秀を表彰するのだから、海外での活躍分は、そもそも含めてはいけないのだ。その加点が何ポイントだったのも示されなかった。

JGTOのポイントは、それぞれ重み付けされたゴルフ大会での優勝回数、賞金ランキング、平均ストロークの3項目で採点される。ポイントの最も高いものが表彰されるしくみだった。池田勇太は重要な大会(日本プロ)で優勝したことでポイントを多く稼いで、トータルで石川遼を6ポイント上回っていた。本年度の表彰式では、そのポイントを隠して、次点の者を最優秀選手として表彰してしまったのだ。

 

これでは最優秀選手賞の正当性がないことになり、石川遼が受賞したのは、間違いになってしまう。JGTOがルールを無視してポイントをごまかしたことは、スポーツマンシップにも欠ける。こんなことをしたら、選手であれば、すぐに失格となるように、日本ゴルフツアー機構は、スポーツ関連団体として失格となるべきだ。

JGTOの事務局は、表彰後に、その経緯を二人に説明し、(あとから文句を言わないように)納得させたという。池田選手には謝罪したというから、選考結果にうしろめたいところがあったのだろう。「JGTO内部にも、今回の決定を疑問視する声は大きかった」のに、会長が勝手に最優秀選手賞を決めたのは、えこひいきの典型だろう。あまりにも専横すぎる。会長には、授賞ルールを独断で変えてしまう権限でもあるのだろうか。おそらく、会長ひとりの「ご乱行(らんぎょう)」をいさめるような人が、事務局に一人もいなかったのだろう。

このことがメディアにとりあげられ、世間からも痛烈な批判を浴び、その数日後、会長は「池田選手への配慮が不足していた。反省している」と謝罪したという。本来、明確に示された「数字」に対して余計な配慮など不要なのだ。

ともかく、若い石川遼には、来年また賞をもらうチャンスがあるだろう。池田勇太にも……。

 

 

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