親の育て方と発達障害                                   岡森利幸   2012/7/8

                                                                  R1-2012/7/9

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2012/5/17 社会

テレ朝番組「Qさま!!」で、自閉症を「病気」として扱ったことで番組のホームページで訂正し、おわびのコメントを掲載した。自閉症は先天的な脳の機能障害と考えられている。

毎日新聞朝刊2012/5/8 社会

「大阪維新の会」家庭教育条例案を撤回、批判受け謝罪。第15条、乳幼児期の愛着形成の不足が発達障害を誘発する大きな要因だ。

「自閉症」にしても、医学的には厳密な定義があり、いいかげんなことをメディアや公的な機関がいうと、人々に抗議されるのだ。たとえば、「自閉症とは引きこもりのことか」などと言ったりすると、ばかにされてしまうだろう。

ちなみに、広辞苑第五版では、「自閉症」を、

@自分だけの世界に閉じこもる内面優位の現実離脱を呈する病的精神状態。現実との生きた接触を失うもので精神分裂病の重要な症状の一。

A早期幼児期に発生する精神発達障害。対人関係における孤立、言語発達の異常、特定の状態や物への固着などを示す。早期幼児自閉症。

としている。

最近では、乳幼児期をふくむ子どもの精神的な障害をひっくるめて「発達障害」と言うようになっている。「発達障害」とは、現代用語の基礎知識によると、発達障害者支援法(2005年4月施行)で示された説明では、

〈自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害で低年齢で発現するもの〉

となっている。

 

問題のテレビ朝日のクイズ番組「Qさま!!」を私はたまたま見ていたが、自閉症の患者数が10年前と比べて増えているかどうかという出題だった。設問がおかしいわけでもなく、自閉症の定義に「問題」があったわけでもなかったから、なぜ視聴者から抗議が殺到したのか、理解できないところだ。自閉症を示す画像のイメージ(少年が青い顔してふさぎ込んでいた)が暗すぎたことが、いけなかったようだ。あるいは、いいかげんに観ていた私の記憶にはないが、出演者の一人が「親御さんは育て方に注意しましょうね」などと余計なコメントをつけたせいで、抗議されたのかもしれない。

「大阪維新の会」家庭教育条例案が批判されたのは、〈乳幼児期の愛着形成の不足が発達障害を誘発する〉という文面につきる。

つまり、〈育て方で発達障害になる〉という風説もどきに、世の親たち、おそらく発達障害の子どもを抱える親たちが敏感に反応したのだ。彼らは「親の育て方が悪い」と言われることが、とても(いや)なのだ。発達障害は親の育て方でなく、すべて「先天的な脳の機能障害」のせいにしたいのだ。

しかし、ヒトは遺伝的要因と環境的要因の二つに左右されて発育ことが科学的に知られており、環境的要因である「育て方」も発達障害に多少関係する、と私は思う。育て方次第で、症状が良くなったり悪くなったりする可能性がある。すべて「先天的な脳の機能障害」のせいだとは思われない。

親たちは、「親の育て方が悪い」、「愛情が足りない」などと言われようが、聞き流す心のゆとりが欲しい。〈他の人が育てれば、この子はもっと悪い症状になったはず〉ぐらいに思いたい。

自分も「発達障害」にならないように……。

 

 

一覧表に戻る  次の項目へいく

        中国一人っ子政策の暗闇