オリンパスの損失隠し 岡森利幸 2011/12/16
R1-2011/12/23
以下は、新聞記事の引用・要約。
毎日新聞夕刊2011/11/8 一面 オリンパスは8日、第三者委員会の調査により判明したことを発表した。同社が90年代から有価証券投資などの損失を隠していたことと、その損失を穴埋めするために、英医療機器メーカー「ジャイラス」の買収に伴う投資助言会社への約660億円の支払いや、国内の健康食品会社や電子レンジ容器製造販売会社など国内3社を約730億円で買収したことが分かった。 4月に就任したマイケル・ウッドフォード氏は、一連の企業買収について「報酬や買収額が不当に高く、資金の流れが不当」と指摘したが、10月に現経営陣に社長を解任された。 |
毎日新聞夕刊2011/11/9 一面 オリンパスは財テクに失敗し、バブル崩壊後の90年代、有価証券などの値下がりによって多額の含み損を抱えた。関係者によると、含み損は千数百億円に上り、決算で損失を計上する必要があったが、「会社の株価や業績に影響が出る」との判断から、歴代社長や総務担当役員が代々先送りしてきたという。 巨額報酬を内部告発してオリンパス社長を解任されたマイケル・ウッドフォード氏は、買収目的は資金を流用することだったと指摘。同氏は医療機器の専門家で、買収交渉が行われた当時はオリンパスの欧州法人社長だったが、東京からの相談は一切なく、「なぜ買収するのか」と疑問に思っていたという。 |
毎日新聞夕刊2011/11/10 総合面 指摘の監査法人を解約。09年オリンパスは、会計監査を担当していたあずさ監査法人から日英4社の買収について不自然な点を指摘され、第三者機関のわずか2度の会合で「不正があったとは評価できない」との調査結果をまとめさせていたことが分かった。 監査法人の追及を受け、オリンパスの監査役会は、弁護士や公認会計士、学識経験者の3人で構成する第三者機関を急きょ設置。オリンパス側は約60種類の資料を提出した。しかし、会合は2回しか開かれなかった。 |
社長がその会社の不正を内部告発したのだから、オリンパスは変な会社だ。そんなことが、それまで十年以上よくバレずに続いたことが不思議であるし、企業秘密というべき「損失隠し」を社長になる人に何も知らせなかったという意思疎通の悪さ、コミュニケーションの悪さにはあきれてしまう。代々先送りしてきた「損失隠し」を、前任者が次期社長のウッドフォード氏に伝えなかったこと、あるいは社長になってからも周囲の者がよく説明しなかったことが、オリンパスの失敗の一つだろう。秘密裏に損失がすべて穴埋めされ、業績が真に上向いたのならば、オリンパスとしてはハッピーだったはずだ。しかし、ウッドフォード氏が騒ぎ出したため、ばれてしまった結果は最悪のようだ。企業イメージも台無しだ。旧経営陣としては、あとからそれをウッドフォード氏に知らせるとしても、滅私奉公的に、会社のために黙っていてくれると思い込んでいたのだろうか。
有価証券投資という本業でないところで損失を出したことがすべてのきっかけだったことになる。それがバレたら、「会社の株価や業績うんぬん」というよりも、それを主導した役員たちは責任を問われ、自身の報酬が減額されることを何よりも恐れたのだろう。彼らは、財テクに失敗したらすべて責任をとるという覚悟もなく、会社の金だと思って(自分の金ではないから)安易に有価証券などに手を出したのだろう。堅実な会社は、本業以外に手を出さないものだ。その昔、オリンパスの光学技術を信奉してコンパクトカメラや高級な一眼レフカメラを買ったことのある私としても、そんな経営陣の体たらくで、オリンパスが傾いてしまうのは残念だ。
11/10の記事では、09年に会計監査でその不正が指摘されたが、オリンパス側が強引に通してしまった経緯が書かれている。オリンパスは、監査が通らないとみるや、形だけの第三者機関(11/9にある第三者委員会とは別)を立ち上げ、大量の資料を吟味するひまをろくに与えず、「不正はあったとは評価できない」の結論を出させている。その報告書に書かれた「十分な調査を行えば発見できた事項が発見できなかった可能性がある」という文面には、調査に関わった人の「悔しさ」がにじみ出ている。つまり、「正しいと評価することもできない」状況だったのだ。
オリンパスは、その監査法人を解約してしまったという。09年3月期からはあずさ監査法人から新日本監査法人に変えている。企業は監査法人を自由に選べる「優位な立場」にあるのだ。「つべこべいう監査法人は解約だ」と脅すかのよう……。
沖縄をレイプする方法を語った防衛省局長