沖縄をレイプする方法を語った防衛省局長                   岡森利幸   2011/12/9

                                                                  R2-2012/1/6

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2011/11/30 一面、総合、社会面

一川保夫防衛相は、29日夜、米軍普天間飛行場の移設計画に基づく環境影響評価の評価書の提出時期を巡り、不適切発言をしたとして、田中聡沖縄防衛局長を同日付で更迭したと発表した。

田中氏は28日夜、那覇市内で開かれた地元報道関係者との懇談会に出席。評価書の提出時期を一川氏が明言しない理由を記者から問われ、「犯すときに、『これから犯しますよ』と言うか」と発言したという。

(以下は「田中局長発言要旨」より抜粋)

Q―防衛相は環境影響評価を「年内に提出する」ではなく「年内提出の準備を進めている」とあいまいに言っているのはなぜか。

A―(女性を)犯すときに、「これから犯します」と言うか。

Q―沖縄は66年前の戦争で軍がいたのに被害を受けた。

A―400年前の薩摩藩の侵攻のときは、琉球に軍がいなかったから攻められた。「基地のない、平和な島」はあり得ない。沖縄が弱いからだ。……(以下略)

毎日新聞夕刊2011/12/8 総合面

沖縄局長、停職へ。沖縄を侮辱するような発言をした。

彼は新任の沖縄局長として公的なあいさつ行事を終え、28日の夜になると、市内の居酒屋に繰り出し、非公式に懇談会に臨んだ。それは、宮仕えの制約から解放される私的な時間帯であり、官僚の彼にとっては関係者との親睦を図るとともに「息抜き」するための場のはずだった。そこでは当然アルコールもふるまわれたのだろう。

気がゆるんだ時に飛び出した「ざれ言」は、彼にとって質問者に答えただけの「ここだけの話」のはずだった。いわゆるオフレコだ。それが、おもしろおかしく(?)記事にされ、日本中を揺るがすような、とんでいないことになった。オフレコの内容を記事にするのは、あまりフェアではないことだが(陰口をたたくようなもの)、そこに本音が語られたりしているから、それなりにニュース価値があるのだろう。毎日新聞の記事の中で(上記には引用していない)、それを真っ先に報道した琉球新報もそれなりの言い訳をしているが、沖縄県民の怒りが記事にしたと言っていい。つまり、公的な人間は、オフレコでも下手なことは言ってはいけないという教訓になるようだ。彼はその一言で停職処分を食らう。居酒屋での話が、とんでもなく重い処罰を受ける元になる。新聞記者は常にボイス・レコーダーを忍ばせているから、「そんなこと、言わなかった」などという申し開きはできないのだ。

 

もめにもめている沖縄・普天間基地移設計画で、防衛大臣をはじめとして政府側が「年内に環境評価を提出することを検討する」というような言い方で、年内提出するのか、年内に検討するだけなのか、日付も定めず、あいまいに示していたことが背景にある。普天間基地機能を辺野古沖へ移すためには、工事の環境影響評価が具体的な手始めとなる。自民党政権時代に合意したはずの辺野古沖移設案に完全にヘソを曲げてしまい、ごねにごねている沖縄県側に対して配慮してのことだろう。つまり、沖縄県に今すぐ提出しても「いや」と言われそうだから、その提出するタイミングを明らかにしていなかったのだ。時がたてば、少しは「いや」という態度を軟化させるかもしれないという期待があったのだろう。来年度の予算に組み込むかどうかの、気前のいい交付金をちらつかせて……*1。

 

居酒屋の中でも、提出時期に関しての業務上の話をしつこく蒸し返してくる記者に対して、彼はイラっとしたのだろう〈そんなこと、大臣に直接聞いてくれ!〉。素直に答えず、(あくまで真意を明かさないように)遠まわしな表現で、意地悪く言い返した。上から目線の逆質問だ。

「犯すときに、『これから犯しますよ』と言うか」

彼はその後も、記者たちを相手に沖縄の歴史について勝手な講釈をたれたとされる。

その言い方を記事で読んだ沖縄県の人々には、日本政府の悪意があからさまに感じられた瞬間だった。そして本土が沖縄を犯してきた、あるいは沖縄を犠牲にしてきた歴史を思い起こし、くやしさもこみ上げてくる……。「やはり、政府は沖縄県を犯すつもりでいたのか、それが本土人のやり方か」

政府内でも、「アノヤロー、やり方をばらしやがって、とんでもないヤローだ。たとえ話がロコツ過ぎる。あんな○○は首にしろ」と、怒りの矛先が彼に向かった。

 

*1. 12/21の報道によると、来年度の予算案で、沖縄県には2950億円、500億円を上積み、知事要求額ほぼ満額、とある。

 

 

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