文句を言わせない格安航空会社                            岡森利幸   2012/7/6

                                                                  

以下は、新聞記事の引用・要約。

読売新聞朝刊2012/6/5 総合面

航空会社のスカイマークが乗客に対し、苦情は機内ではなく消費者生活センターなどに伝えるよう明記した文書「サービスコンセプト」を5月18日から機内全席の前ポケットに入れており、内容は

▽客室乗務員は荷物の収納の援助をしない

▽客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務付けていない

▽客室乗務員は保安要員としての搭乗で接客は補助的なもの

――など8項目。文書はさらに「機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運行順守のため退出いただきます。ご不満のあるお客様は『スカイマークお客様相談センター』あるいは『消費者生活センター』等に連絡されますようお願いいたします」と明記。

都消費生活総合センターに6月4日、この文書に関する苦情があった。センターは、スカイマークが苦情を適切処理していないとして、同社へ抗議することを決めた。

つまり格安航空会社スカイマークは、「サービスコンセプト」という文書を全客席の前ポケットに備え付け、乗客たちに〈文句があるなら、消費者生活センターに言ってくれ〉と開き直っているのだ。さらに、それは〈これが理解できないやつは、航空機から退出させるぞ(航空機に乗るな)〉と(おど)している。

乗客の中には、サービスの悪さに苦情を言う人が跡を絶たないのだろう。格安航空会社はその対応に苦慮していたのだろう。なにしろ、乗客の多くは「お客様」のつもりでいるのだから。

 

「機内では、サービスの類は一切しないのだ、サービスの悪さは織り込み済みで、だから運賃を安くしているのだ」というのが、格安航空会社の言い分だろう。さらに彼らは、「テメーらは、荷物あつかいで十分なのだ」、「われわれは、聞く耳を持たないのだ。つべこべ言わずに、おとなしく座席に座っていろ」と言いたいのだ。これまで、好感度いっぱいの客室乗務員がいた「格上旅客機」に乗ってきた乗客にとっては、意識改革が必要になる。カルチャーショックになるかもしれない。

安い料金で航空機に乗る場合、機内サービスは期待できないわけだ。乗客は、すべては料金の安さのために、目的地に着くまで、狭い空間に押し込められ、じっと我慢し、機内にいる無愛想な「保安員」の顔を見ながら、耐え忍ばなくてはならないようだ。その「保安員」にしても、乗客に苦情を言われても、彼らは会社のマニュアルどおりの対応しかできないわけで、どうすることもできないのだ。乗客の苦情を聞くだけで、精神的なストレスになるだけだろう。彼らにできることは、興奮して騒ぐような乗客なら、機から降ろすことだ。

 

その後の報道によると、スカイマークは〈文句があるなら、「消費者生活センター」に言ってくれ〉という意味の文面を、世の中の非難を浴びて、あわてて改訂したそうだ。(「消費者生活センター」の語句を削除しただけ。)

 

 

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