満足度最下位の家電量販店                                 岡森利幸   2011/4/6

                                                                  R1-2011/4/7

以下は、新聞記事の引用・要約。

読売新聞朝刊2010/12/15 社会面

週刊経済誌「日経ビジネス」の消費者満足度ランキングで最下位にされ名誉を傷付けられたとして、業界最大手のヤマダ電機が発行元の日経BPに5500万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は「ランキングの根拠になった調査には、恣意(しい)的な結果が生じるような事情はなかった」と、ヤマダ側の請求を棄却する判決を下した。

2008年7月28日号に掲載された記事で、アフターサービスの満足度に関するアンケート調査で、家電量販店の部門でヤマダが16社中最下位だったとされた。

ヤマダ電機は、調査が事前に登録していたモニターを対象に行われたことを不適切だと主張した。これに対し判決は、同誌側がモニターから回答者を無作為抽出し、組織票を防ぐためにメールアドレスのチェックも行っていたことなどから、「合理的な調査結果になるような配慮がなされていた」とした。

判決後、ヤマダ電機「極めて不当な判決で、ただちに控訴します」

ヤマダ電機は、アフターサービスの満足度が最低とされたことに、大いに不満なのだ。「そんなはずはない。うちはアフターサービスにも万全な体制でやっているのだ」と思っているのだろう。ヤマダ電機が「モニターが事前に登録されていた」ことがそんな結果を招いたと主張していることが、キーポイントだろう。

つまり、ヤマダ電機は、「モニターの中に、ヤマダ電機に不満を持つものが多く登録されていたから、そんな結果になったのだ」と言いたいわけだ。それならば、なぜモニターに中にヤマダ電機の不満分子が多いのだろう?

言い換えれば、ヤマダ電機は〈自社に対して強い不満分子たちがいて、やつらがモニター登録していたに違いない〉と思い込んでいるようだ。どうして、そんな不満分子たちがいることを想定しているのだろうか。――ヤマダ電機には、その心当たりがあるのだろう。すると、「うちはアフターサービスにも万全な体制でやっているのだ」という主張に矛盾することにならないか。

モニターの事前登録に関しては、事前に組織票などを排除するために必要だし、モニター自身も日ごろから、商品に対して意識するという意味で有効だ。いきなり、家電商品の購入に無関心な人をモニターに指定して、アンケート用紙を送り込んでも、その回収率が悪くなったり、「いいかげんな回答」が示されたりするだけだろう。

事前に日経ビジネスの読者などに、「あたなをモニターとして登録します。アンケート調査のために、抽選の結果によって回答を求めることがありますよ」と約束しておく方が、アンケート調査を効率よく行うために必要だろう。たとえ、特定の不満分子がいたとしても、その多くのモニターの中から、無作為抽出すれば、統計的に偏ることはほとんどない。つまり、事前にモニターを登録することが、調査結果を大きくゆがめることにはならないはずだ。一部の誤差が出たとしても、サンプリング調査の性質上、それは避けられない。でも、その結果は一応の目安にはなるのだ。

アンケート調査に関しては、統計的に妥当かどうかが問題であって、記事に見る限り、今回の調査は「合理的であった」という判決を私も支持したい。

 

アフターサービスの満足度が低い理由の一つには、「買った商品が動かなかった」、「商品を使い始めたら、すぐに壊れた」という商品の故障に関する苦情が多い可能性がある。購入した商品が壊れたりせず、品質のよいものならば、消費者はアフターサービスに頼る必要はない。販売店が〈値段は安いが、すぐ壊れるようなもの〉を売ったりすると、そのアフターサービス部門が忙しくなるのだ。すると、購入者の不満が高まることになる。

訴訟を起こすことによって、日経ビジネスだけでなく、一般紙の社会面に「アフターサービスの満足度が低いこと」を記事にされるのだから、ヤマダ電機にとって、恥の上塗りだろう。ヤマダ電機は、日経ビジネスのアンケート調査や東京地裁の判決にいちゃもんをつけるより、アンケート調査結果を謙虚に受け止め、消費者の満足度を高める方策に力を入れるべきだ。アフターサービスの満足度が最下位という汚名を返上するには、その企業努力しかないだろう。

 

 

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