琴光喜は平幕に降格だ 岡森利幸 2010/7/6
R1-2010/7/9
以下は、新聞記事の引用・要約。
読売新聞朝刊2010/7/6 一面、総合面、スポーツ面、社会面 日本相撲協会は7月4日、名古屋場所の開催に向けて、名古屋市内で、緊急理事会、評議員会を開き、野球賭博に深く関与し、悪質と認定した大嶽親方と大関琴光喜を解雇した。大関の解雇は初めて。名古屋場所では、琴光喜を含む19人が名古屋場所に出場できなくなった。 処分決定後、琴光喜「処分は仕方ない。相撲ファンが離れることは、身を切られるようにつらい」 |
琴光喜が、野球賭博で勝った400百万円の清算を胴元側に要求したところ、〈あの男からもらえ〉と指示され、その男に接触したところ、その男は、金を渡してくれるどころか、逆に「野球賭博のことをばらずぞ」と350万円を要求してきた。野球賭博をしていることが協会や世間に知られたら困ることになる琴光喜側が〈要求はこれっきりにすること〉という念書を交わし、それを払い込んだのに、そのヤクザな男は、そんな念書は念頭にないかのごとく、さらに要求をエスカレートさせ、「ばれないようにする手数料を加えてもらおうじゃないか。1億円出せ。テメーたちはもっと出せるだろ? 角界はワイにとって知らぬ世界じゃないんだ」などと、その元幕下力士の男はドスの効いた声を荒げた――。
そんな脅迫的言動(上記のセリフは私のフィクション)が琴光喜の家族にも及んで、琴光喜は震え上がり、警察に泣きついたことでマスコミにも知れるところとなり、事件が本当にばれたのだ。琴光喜は、脅迫の被害者であって、同情されるべき立場にあった。
ご存知の通り、他の親方や力士たちも野球賭博をやっていたことが大相撲の一大スキャンダルとなって吹き荒れた結果、琴光喜に対しては、急きょ編成された特別調査委員会の「解雇以上の処分にあたいする」という助言もあり、理事会が前代未聞の解雇処分を決定した。琴光喜の反省し謝罪している姿が、痛々しい。解雇処分を甘んじて受ける場合ではなく、見せしめ的な解雇になったのだから、「言い訳」の一つ言い放ってもおかしくない場面だった。ヤクザな男に脅されたショックからまだ立ち直れないでいたのだろうか。
賭博は違法なことだが、密かな楽しみの一つでもある。人は多かれ少なかれ射幸心を持っているから、賭博をするのだ。公私の中の「私」の部分で、ほどほどにやっている限りは、目をつぶってもいいことだと私は思っている。プライベートの自由は、人権に関係するのだ。。部屋の中で射幸心があおられるぐらいの野球賭博ごときのことで、相撲協会が文部科学省所管の公益法人だといっても、反省する機会も与えずに、それが世間にばれたとたんに、目くじら立てて「公職追放」のような厳罰を加えるのは、やりすぎだろう。賭け事がそんなに反社会的なことだろうか。
賭け事がそんなに悪いというのなら、公営の競馬や競輪など開催すべきでないし、宝くじもサッカーくじも、賭け事と同一線上にあるものだから再考してほしい。主催者側が一般の人から、かなりの割合で金を巻き上げている現状にも疑問符がつく。賭博を禁ずるのは「暴力団の資金源になる」からという理由があり、結果的にそうなのだが、資金源を絶つために、一般の人の楽しみを取り上げるのもどうか。資金源の賭博をとやかくいうよりも、暴力団の存在が問題なのだ。暴力団を何年たっても取締れない警察がふがいなさすぎる。これでは、まるで琴光喜がその暴力団とグルになっているかのような扱いだ。
今回の騒ぎでは、視聴者からNHKに、〈そんな悪いことをするような連中の相撲は見たくない、大相撲中継をするな〉という意見が強く出ているというが、そんなことを言う人たち自身、プライベートでも清廉潔白だろうか。
〈そんな悪いことをするような連中〉が土俵の上で、ころりと負ける姿を見るのも、密かな楽しみなのだ。題名に掲げたように、琴光喜については謹慎させた後、降格させ、平幕から土俵に上がらせるのが、妥当なところだった。逆境からはい上がっていく姿が見ものだった。本人のためにも、大相撲のためにも、その方がよかったと思う。
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