実母を常習的に暴行していた長男と鬼嫁                    岡森利幸   2010/12/23

                                                                    R1/2010/12/27

以下は、新聞記事の引用・要約。

読売新聞朝刊2010/11/9 社会面

大阪府寝屋川市で同居していた実母(86歳で死亡)に日常的に暴行を加えていたとして、暴力行為等処罰法違反(常習的傷害)に問われた長男(56)と妻(25)両被告に対し、大阪地裁はいずれも懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。

両被告は共謀し、昨年1月〜今年8月、自宅などで母の綾子さんの頭をフライパンで殴るなどして、約2週間のけがを負わせた。綾子さんは今年8月、自宅窓から転落して死亡した。

目上の人に敬意を示さなければならない国、特に親孝行を絶対のモラルとし、母を常に思いやる国(お隣の国を想定している)では、これは「死刑」になってもおかしくないケースだろう。それは大げさかもしれないが、執行猶予の判決では甘すぎる、と私は思う。年老いた親を虐待した典型例だろう。しかも、この例では夫婦二人して共謀してやっていたというから、罪が重くなくてはならないところだろう。これでは世間に示しが付かず、高齢者の受難が絶えることがないだろう。メディアによると、こうした例が近年増えているというのだ。

それに、寝屋川市というと、人々が接近して住んでいる市街地で、隣の物音がよく聞こえる土地柄だろう。近所の人たちは、見て見ぬふりをしていたのだろうか、という状況にも私は(うれ)いてしまう。季節の風よりも近所づきあいの冷たさを感じてしまう。記事の中に「自宅などで」と記述されているのは、自宅以外の場所でも、暴行があったということだ。

暴行されていた実母が「今年8月に自宅窓から転落した」ことに注目したい。実の息子のその「鬼嫁」に一年半以上に渡って暴行されたため、〈耐えられなくなり、絶望して自殺した〉と考えるのが妥当だ。裁判では、暴行と「自宅窓から転落した」との因果関係は不問に付されたようだが、私はこれを単なる暴行事件ではなく「暴行して自殺に追い込んだ事件」として、つまり殺人事件として取り扱うべきところだったと思う。状況証拠はいくらでも示せるだろう。実母を死ぬまで暴行していたという、その執拗さに異常性すら感じられるのだ。

こんなゆるすぎる判決には、それなりの理由や情状があったのだろうが……。新聞報道では伝えられていない、家族の中の重大な確執(嫁と姑の)があったのかもしれない。例えば、嫁の料理にけちをつけたから、フライパンで殴ったとでもいうのだろうか。暴行した理由が何であったかに私は関心をもっているが、どんな理由が示されても、私は納得できそうもない。86歳の高齢者に暴行を加えるとは、弱いものいじめの典型だろう。しかも、その人は自分を生み育ててくれた恩人ではないか。

彼らは、裁判長には反省の態度をたっぷりと見せ付けたのかもしれないが、私は、かげで舌を出している姿を想像してしまう。実母がいくら憎たらしい人物だったとしても、自制心がなさ過ぎる。いくら邪魔な存在だったにしても、怒りをぶつける対象にしなくてもいいだろう。それは人間として、やってはいけないことの一つだろう。

「テメーら夫婦は最低の人間だ。最低同士の似合いのカップルだ」と罵倒されても、彼らは文句を言えないところだろう。

 

 

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