中国の地方都市で燃料不足により火葬が延期                岡森利幸   2010/11/23

                                                                  R1-2010/12/27

以下は、新聞記事の引用・要約。

The Japan Times 2010/11/22 asia-pacific

中国で重油の全国的な不足のため、チョンチン市(重慶)の一つの火葬場が炉のための燃料を切らせ、先週、10体の火葬を順延する事態となったことを政府系メディアが伝えた。その火葬場では、地方紙が報道した後に大手製油所が市への重油の供給を増やしたので、最近の数日前には炉を点火できるようになったという。

読売新聞夕刊2010/10/25一面、社会面

(日本国内では)ゴミのリサイクル技術として導入されたゴミ固形化燃料(RDF)の施設が、採算が取れなくなっている。自治体の財政負担が増している。

「燃料不足で火葬ができない」とは、エネルギー不足ぎみの中国での象徴的な出来事だ。石油、天然ガス、石炭などの燃料は世界的にも慢性的に不足気味で、21世紀中盤になれば、さらに悪化することが予想されているのだが、今、中国で火葬ができないほど本当に差し迫った燃料不足が起きているとは考えにくいところだ。需要の急激な増大に供給が追いつかない面もあるのだろうが、今回は、石油の大手メーカーが価格を吊り上げるために一時的に特定地域への出荷量を絞って品不足にさせたのだろうと私は思っている。メディアが騒いだので、石油会社がすぐ対応したことで、その様子が伺える。

 

火葬には燃料を多く必要とする。具体的にはどれだけ必要なのかを私は知らないが、水分の多い人の人体(体重の約60パーセント)を燃やし尽くし、骨だけにするためには、かなりの燃料が必要であることは確かだ。燃料を燃やせば、それだけ地球温暖化を加速させることになる。

ちょうど、ゴミ固形化燃料が売れないという報道があって、私の頭の中ですぐにひらめいたのが、これを火葬の燃料にしたらどうかというアイデアだ。火葬に必要な燃料を、売れ残っているゴミ固形化燃料で賄うのだ。一石二鳥のアイデアだと思える。ただし、ゴミ固形化燃料の生産にはコスト的にまだ問題があり、現状では高価な商品になっているようだ。でも、火葬場をごみ処理施設の隣に設置するなどでトータルのコスト低減をはかれば、なんとかなるかもしれない。

燃料が本当に不足する事態になれば、火葬などせずに、遺体をそのまま土の中に埋める「土葬」も見直されるべきだろう。熱で分子レベルに還元され、煙といっしょに煙突から空に吐き出されてしまうより「土に(かえ)る」ことの方が、よほど自然だ。土地のない都会では無理だろうけれど、法律的に土葬は可能で、日本の地方では今でも一部の遺体は土葬にされているという。

「オレの骨なんか、リッパな墓に入れてくれなくてもいい。海にでもどこにでも散骨してくれ」というような人のためには、いっそのこと、その遺体をごみ焼却炉の中でいっしょに燃やしてしまったらいい?!

縄文時代の貝塚(ゴミ捨て場)には人骨も発見されるというから、それも一つの合理的な方法だろう。それに抵抗感をもつ人(一部の人はそれを倫理観という言葉に置き換える)が世の中にはまだ多いと思うが、燃料不足が差し迫り、深刻な事態になれば、そうも言っていられないのだ。

 

 

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