胃ろうの患者たちを見て「エイリアン」 岡森利幸 2012/2/23
R1-2012/3/27
以下は、新聞記事の引用・要約。
毎日新聞朝刊2012/2/7 総合面 自民党・石原伸晃幹事長、胃ろうのBS番組で、「エイリアン」と発言 「意識がない人に管を入れて生かしている」 |
胃ろうとは、口から食べ物をのみ下せなくなった患者に対して、腹に穴を開けて管を通し、直接に胃へ流動食を注ぎいれる方法だ。主に、食べる気力もなくなり、意識を失っている終末期の患者に適用しているし、さらに、口から食べると誤嚥し、肺に入れてしまう恐れのある患者にも適用を拡大させている。口や鼻から管を入れるよりは、楽らしい。食事の際に、看護職員がつきっきりで介助して食べさせる必要のある患者にも、胃ろうを使えば、その手間が省ける。機械で自動的に管から食料を送り込めばいいのだから、世話はない。出るものがあっても、オムツをさせておけばいいから、患者を寝たままにさせて置ける。トイレにも行かせなくてすむのだ。
患者に意識があろうとなかろうと、患者の消化吸収・排泄器官と血液循環が働いていれば、今の医療では、ベッドの上の患者を何日も、さらには何年も生かし続けさせることができる。ただし、患者にとってその期間、「生きている」という実感がまるでないことは確かだろう。患者には、食べる楽しみも、もちろんない。
その延命治療を止めたら、患者はその日のうちに死んでしまうだろう。医療機関は、殺人の容疑をかけられ、刑事事件に発展するかもしれないから、やっかいな問題だ。患者の遺族は、「病院側が治療を放棄した!」と言い張って損害賠償を要求できるかもしれない。
医療機関としては、診療報酬や治療費、差額ベッド代などを国や患者家族からいただけるのだから、いつまでも治療を続けても、なんら不足はないから、わざわざ延命治療を止める理由は何もない。だらだらと延命治療を続けることになる。大病院ほど、そんな治療設備が整っているから、「入院期間」が長くなる傾向がある。当然、その分、医療費も高くなる。
石原伸晃氏が胃ろう患者を見て「エイリアンのようだ」と表現したことに、とやかく言う人は、一度その病棟を見て回ってはどうか。
最近の時代の流れでは、延命治療をしてもらうかどうかは、本人が意思表示するようになりつつある。先の病棟の患者らがその意思表示した結果であれば、文句のないところだ。
一人っ子政策の威圧的な標語