地域住民に気兼ねするF15戦闘機 岡森利幸 2011/12/30
R1-2012/1/6
以下は、新聞記事の引用・要約。
毎日新聞朝刊2011/10/8 社会面 F15事故、燃料タンクなどが落下したのは、タンクの破損によるものか。空対空模擬ミサイルの羽根の一部も落ちた。タンクの取り付け部が主翼に残る。 |
毎日新聞朝刊2011/10/29 社会面 空自が(問題の)タンクを外してF15訓練を再開する方向へ動いている。周辺自治体に説明し、了解が得られ次第、再開する。 |
毎日新聞朝刊2011/11/1 社会面 空自は小松基地を除く6基地でF15の訓練を再開した。小松基地は周辺自治体の了承が得られず、再開の見通しは立っていない。 |
毎日新聞朝刊2011/11/2 社会面 (燃料タンクなしで飛行の)宮崎県の基地所属F15が、また落下事故を起こした。円形アルミ部品、右翼と燃料タンク間の緩衝材を落とした。 |
毎日新聞朝刊2011/12/3 社会面 小松基地、F15タンク落下事故、配線ショートが原因だったと発表した。配管の継ぎ目を固定するナットが脱落し、配線が機体の振動で配管の継ぎ目部分でこすれ、表面を覆うビニールの被服がはがれて配管とショートしたらしい。 |
毎日新聞朝刊2011/12/10 社会面 F15がまた部品落下させた。茨城・百里基地所属の機が、尾翼の一部を落とした。 また、別のF15が模擬ミサイルのガラス製先端部を落下させていた。 |
毎日新聞朝刊2011/12/17 社会面 F15事故対応を巡り、一川防衛相が発言、「自分の選挙区だから厳しめに」 訓練が再開されたのを受け、地元3市長を訪ねて経過を説明し、再発防止を約束した。 |
毎日新聞夕刊2011/12/20 社会面 19日午後0時半ごろ、那覇空港から緊急発進(スクランブル)しようとしたF15戦闘機が滑走路を逸脱し、横に約10メートル外れた地点に止まった。滑走路は午後2時6分まで閉鎖された。実弾を積んでいたため、安全確保のため機体を移動させるのに時間がかかったという。閉鎖の影響で、全日空機計2便が米軍嘉手納基地に一時着陸した。 |
F15戦闘機というと、日本が保有する最強の戦闘機で、空の防衛の要になっている。機体の価格にしても、相当に高価なものだ(約100億円)。世界的にも最強の戦闘機の一つであり、最新鋭のステルス戦闘機F22には一歩譲るけれども、今でも第一級の主力戦闘機として任務についている。その戦闘機が、燃料タンク(増設用)の一つを落としたからといって訓練飛行が中止されてしまうのは、おかしいことだ。その第1の理由が、地域住民への「気兼ね」なのだ。いまどきの日本の「軍隊」にふがいなさを私は感じてしまう。自衛隊は地域住民に「厄介者」扱いされているかのようだ。防衛省にしても、戦闘機を飛ばすのに地域住民の顔色を伺っているようでは、日本を防衛する気概があるように見えない。
ただし、この事故は、単に燃料タンクなどが落下させたというだけでなく、実は、燃料タンクは破裂したもので、ことによっては、機体が壊れ、墜落していたかもしれないのだ。その破裂によって、空対空模擬ミサイルの一部も吹き飛んでしまったことが記事にある。その機が模擬ミサイルでなく本物のミサイル(実弾)を搭載していたら、その誘爆によって、燃料タンクどころか、F15の本体が落下していた可能性が高い、と私は推測する。重大事故につながる危険がいっぱいだった。事故調査に真剣に取り組むべき案件だから、原因が判明するまで、燃料タンクを付けての飛行を中止することは納得できる。
しかし、偶発的な機器の故障であれば、さらに類似的な事故が他国(特にアメリカ)でも起きていなければ、そんなに心配するものではない。日本では、「原因も分からずに再開するのは、心配だ」という人が多くいて、「ひとつ事故が起きれば、当分停止」ということが通例のごとくなっている。気やすめのために、あるいは人々の記憶が薄れるまでの間、停止する必要があるわけだ。
問題の燃料タンクを外せば、もう燃料タンクの落下は起こりえないのに、小松基地周辺の地域住民が、燃料タンクを外しても承認しないというのは、相当におかしいし、その承認なしに、つまり、ごねている地域住民の反対を押し切って訓練飛行しようともしない航空自衛隊は、相当になさけない。
でも、戦闘機の騒音(通常の旅客機とは桁違いに大きい『爆音』を発する)を考えると、地域住民としては、理由があれば、それにかこつけて飛行訓練を中止させたいところなんだろう。
燃料タンクを外して飛行を開始すると、それがないために右翼と燃料タンク間の緩衝材が落ちるという事故が起きだした。航空自衛隊としては、F15の機体に次から次に新たに問題が発覚して、頭が痛いことだろう。航空自衛隊の幹部は神社(軍隊といえば、靖国神社)へ行ってF15の厄払いでもしてもらったら?
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