役者気分が抜けない?森田健作知事                          岡森利幸   2009/8/4

                                                                    R1-2009/8/5

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2009/5/22 社会面

森田健作知事(59)は、「剣道二段」は自称で、全日本剣道連盟の認定を受けていないことを明らかにした。(記者との)定例会見で質問を受け、「四十数年前、恩師の範士から「分かった。二段許す」と言われた。だから剣道二段と言ってきた」と説明した。

毎日新聞朝刊2009/7/4 社会面

森田健作・千葉県知事が自民党を離党した。支部長を務めていた「自民党東京都衆議院選挙区第2支部」も解散を届け出た。3月の知事選で「完全無所属」を名乗り、初当選した。

森田健作知事は、その昔、青春ドラマの俳優だった。いわゆるタレントとしてその知名度を生かし、長じて政治の世界に入った人である。そして今年(2009年)の3月の知事選で次点に大差をつけて当選したのだから、大したものである。千葉県民の大多数の期待に答えられるのか、注目したい。ただし、千葉県民が青春ドラマのイメージを引きずっているとしたら、やはり幻滅するだろう。

その知事の言動の怪しさが相次いで発覚している。

「オレは剣道二段だ」と自慢げに言っていたことが、実は正式なものでなく、自称だったことがばれた。まだ十代だった40数年前から、タレントのプロフィールとして剣道二段と称してきたという。

知事選では、「オレは無所属だ」と広言しておきながら、実は立派な自民党員だったこともばれた。知事に当選後、7月になって、こっそりと離党届を出したのだ。「自民党東京都衆議院選挙区第2支部」の支部長を務めながら、知事選に出たのだから、もしも知事選に失敗したら今年の秋までには行われる衆院選に自民党の公認を得て出馬しよう、と考えていたのだろう。知事になれたのだから、その用はなくなったのだろう。

彼は、知事選で無所属とすれば、無党派層の票を多く獲得することができるとふんだのだろう。あえて自民党の公認を得ず、自民党員であることを公言しなかったことが、結果的に大成功につながったようだ。千葉県では、ゆらぎはじめた国政の影響を受けて、反自民の風が吹いていると感じたのだろう。「機を見るに敏」ということになる。しかし、自民党員であることを隠して知事選に出馬したのは、経歴詐称に近い行為だろう。

また、政治家にありがちな、政治資金の問題についても報道されている。過去に企業(たとえば、ドンキホーテ)からの多額の献金を、個人的後援会(政治資金管理団体)を通じて受け取っていたり、タレントとして講演会に出演した時の謝礼金を政治資金の献金と混同して処理していたりという疑惑が付きまとう。そのほうが節税になるらしい。ともかく、千葉県知事選では、その自民党員として得た政治資金で選挙活動していたことは確かだろう。

自民党に所属していたとしても、彼にとっては政治家になるためのコネや資金を得るための手段であって、政治的な主義主張があったからではなかったのかもしれない。自民党員というのは、むしろ仮の姿であって、無所属が彼の本質ではないか、と私は思ったりする。

彼は役者として、役になりきることに努めてきた人だ。特に青春ドラマの熱血漢を演じることで、ファンをひきつけてきた人だ。ファンが求める理想像に自分を合わせてきたのだ。剣道二段などと自称しても、多くの人は疑わないし、その役のイメージに合うものだ。タレントとして人気を得るにも、選挙で浮動票を得るにも、そんなハッタリをきかすことも必要ということだろう。しかし、世の中には重箱の隅をつつく人がいて、そんな些細なハッタリがばれると、おもしろおかしくニュースとして取上げられてしまうのもしかたのないことかもしれない。

これからは、知事としての役を演じる時である。森田健作劇場の開幕である。彼は演じることにかけてはプロフェッショナルのはずだから、ソツなくやれることを私は期待したい。県民の多少の幻滅はあっても。

 

 

一覧表に戻る  次の項目へいく

        暴力団抗争の裁き