なら漬けで酒気帯び運転                                    岡森利幸   2009/4/22

                                                                    

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2009/3/14 社会面

酒気帯び運転をしたとして道交通法違反に問われ「なら漬けを食べた」と無罪を主張していた東京都練馬区の家庭教師・大里被告(60)に対し、甲府地裁は13日、罰金25万円(求刑・罰金30万円)を言い渡した。

裁判官「被告の弁解は信用できない」

大里被告は、06年2月2日午後10時45分ごろ、交通検問で呼気1リットルあたり0.22ミリグラムのアルコールが検知されたが、大里被告は「スーパーで買った拳大のなら漬けを食べた」と主張した。検察側は、甲府署員5人が拳より少し大きいなら漬けを食べて呼気検査をし、5人ともアルコールが検出されなかった実験結果を証拠として掲出した。

0.22ミリグラムのアルコールが検出されて、無罪を主張するのはあつかましすぎる。この被告は、酒酔い運転ではなく、「なら漬け酔い運転」をしていたと主張していたわけだ。なら漬けなら違反にならないことを知っていた被告は、相当に賢い。でも、その賢さは家庭教師の仕事の範囲内で活かしてもらいたい。

確かに、なら漬けにアルコール成分が含まれていることは、世に知られていることだ。なら漬けを食べただけで、顔が赤くなる人もいるらしい。でも、呼気にアルコールが検出されるほど、なら漬けを食べたと主張するのは、明らかに疑わしい。なら漬けの成分にアルコールが含まれているのだから、なら漬けも酒類であるとみなして、罰せればいいことと私は思うが、お役所には、どうしても、なら漬けを酒類として分類できない、あるいは、食品のなら漬けでは「酒気帯び」にはならないという事情があるのだろう。

この場合、警察では、どこでどのくらいの酒類を飲んだかについては確証がつかめず、被告の主張を否定するための傍証を示すしかなかったようだ。署員の人びとが、被告が主張した、山盛りのなら漬けを食べて呼気を調べている図は、滑稽でもある。わざわざ実験して、そのうそを見破ろうとした検察側の努力は感心する。そんな「言い逃れ」を許すわけにはいかないという執念を感じさせる。「なら漬け酔い運転」をしていたと主張して刑罰が軽くなるなら、今後続々と、そう主張するものが現れてしまうからだろう。

検察側の努力によって、なら漬けを大量に食べたことによるアルコールであるとするのは、うそであることが実証された。被告が法廷でうそを証言したのなら、アメリカあたりでは偽証罪や法廷侮辱罪で厳罰に処されるところだろう。被告は、日本では厳罰にならないことを知っていた?

こういう人には求刑どおりの30万円を科すべきだろう。

 

 

一覧表に戻る  次の項目へいく

        バスケット部員にハトを殺させたコーチ