サッカー試合中にゴール直前の選手を射殺                   岡森利幸   2009/3/28

                                                                    R1-2009/4/2

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2009/3/18 社会面

イラク中部ヒッラで15日におこなわれたアマチュアのサッカーの試合で、終了間際に同点ゴールを決めそうになった選手を相手のサポーターが射殺した。選手は頭を打たれた。イラクの警察当局は観客の一人を逮捕した。

こともあろうに、ゴールを決めそうになった相手チーム選手を、観客席からサポーターが銃(おそらくカラシニコフのライフル銃)で撃ち殺すとは、ひどすぎる。スポーツ精神にもとる暴挙だ。ゴールされたら、一点差の勝利で終る試合が引き分けになってしまう、あるいは延長戦になる場面だったが、サポーターとして、それほどまでして試合に勝ちたいか?

サポーターにとっては、イエスなんだろう。なにしろ、サッカーは1点を争う競技であり、1点が入れば、試合はほとんど決まってしまうのだ。ゴールのチャンスが巡ってくるなど、たまにしかなく、決定的なチャンスがあったとしても、そのシュートがバーに当たって跳ね返されたりして、その選手やサポーターも頭を抱えることになる。味方の選手たちがなかなか一点を入れられないのに対し、味方のゴールは、守備の隙間をつかれて、簡単に割られたりして……。サッカーほどフラストレーションのたまる競技はないだろう。おそらく、撃たれた選手はそれまでに何度か得点して相手チームのサポーターたちの恨みをかっていたのだろう。それが勝利を脅かす「不倶戴天の敵」のような存在だったから、サポーターが銃で「にっくき敵」を打ち倒したのだろう。

イラク中部ヒッラ(ヒーラともいう)は、首都バグダッドから南に100kmほどにある地方都市の一つである。イラク戦争からようやく安定をとりもどし、人びとがサッカーを楽しめるようになったようだ。しかし、戦争体験の生々しい人びとにとって、サッカーは興奮を高めるのに十分刺激的だったのかもしれない。

アマチュアの試合だったから、出入りがある程度自由だったのかもしれないが、観客が競技場にライフル銃を持ち込むのが許されていたのだろうか。銃をもった人がうろうろしていても、多くの人びとは、慣れてしまって無関心を決め込んでいるのだろうか。

観客席で男が銃を取り出し、選手に狙いをつけたのに、周囲の人々は止めようともしなかったのだろうか。

それにしても、走っている選手の頭を撃ちぬくとは、撃った犯人は、射撃の腕前が相当いい人だろう。歴戦のつわもの?

それによって相手チームのサポーターたちが激怒したに違いないから、今度は彼が撃たれる番かもしれない。刑務所に入っていれば、安全か。

 

 

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