パワハラを助長した保険会社                                 岡森利幸   2008/12/21

                                                                   R1-2008/12/27

以下は、テレビのニュース番組からの引用・要約。

毎日新聞朝刊2008/12/6 社会面

生命保険大手の「明治安田生命」の大阪市内の営業所に勤める保険外交員の女性(49)が適応障害(精神疾患の一種。今も休職している)になったのは、所長や同僚のパワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)が原因として、大坂中央労働基準監督署が労働災害として認定していた。

06年4月に就任した男性所長から、営業成績が低いことなどを理由に、職場での朝礼などで「お前が嫌いだ」などと暴言を浴びせられたという。女性は昨年3月、この所長が書類の管理ミスなどを理由に外交員から私的に罰金を徴収していることや、日常的に外交員を怒鳴りつけることを本社に通報。所長は営業所内に通報者がいると知り、犯人探しが始まったため、女性は自分が通報者だと告白した。その後、他の営業所員や同僚の保険外交員から約2時間に渡って「死ね」「営業所のがん」「早く辞めろ」などとつるし上げられ、退職を迫られたという。

この女性の通知に対して、この保険会社の本社は、問題の所長をいさめるどころか、ますますハラスメントをあおったことが伺える。

内部告発は、一種の「密告」であり、告発したものが不利益になるなど危険が伴う行為であるが、職場内の雰囲気を改善するためには、あえて本社に通知したことだろう。こういう人がいないと、今の社会環境では、職場がますます殺伐とし、働きにくくなるのだ。

所員に対して厳しい所長ほどその営業所の営業成績が一時的に上がるものだから、本社としては管理者の少しぐらいの厳しさには目をつぶる傾向がある。たぶんこの所長は、外面上は有能な管理者と思われていたのだろう。

私的に罰金を徴収しているのは、いい役得のようだ。自分のふところが暖かくなるのだし、それによって少しはミスが減るだろう(あるいは隠される?)。彼にとっては、大阪の営業所に来る前でもやっていた「得意技」だったのかもしれない。それらが本社に通知されたことで、この所長は、「恥をかかされた」とでも思ったのだろう。ますます感情的になったのだろう。

ずばり言えば、この所長は、悪徳商法業者の幹部に多いタイプだ。販売成績の悪い営業マンに対しては、怒鳴りつけ、みんなの前で恥をかかせるなど、攻撃の対象にするのだ。この女性は、営業成績が低かったことから、かっこうの標的にされたようだ。

他の営業所員や同僚の保険外交員が約2時間もこの女性をつるしあげたのは、もちろん所長の()(がね)に違いない。所長自身がやってはパワーハラスメントそのものになってしまうから、手下のものたちに指示したのだ。女性の同僚たちは自分が攻撃の対象にされてはたまらないから、しかたなく従ったのだろう。やり方が卑劣すぎる。

それにしても、同僚たちから「死ね」とか「営業所のがん」と言われたら、ショックは大きいだろう。味方と思っていた同僚から、なじられ、罵声を浴びせられたのだ。孤立無援の中では、どんなに気丈な人でも、涙が出るほどくやしいことだと想像できる。それも、所長が言わせたものだろうから、彼はとんでない「悪代官」である。それを本社が黙認していたことになる。あるいは、暗に示し合わせて、「そんなオンナは退職するように仕向けろ」と主導していたのかもしれない。

伝統ある明治安田生命が、営業所で悪徳商法業者のような管理体制をしいて、どうする?

(その昔、私の実姉が明治安田生命に勤めていたのに……)

 

 

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