入札辞退と転売で国有地を安く手に入れた議員                岡森利幸   2009/1/21

                                                                    R1-2009/1/23

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2009/1/20 社会面

大前繁雄衆院議員が理事長を務める学校法人「大前学園」が国有地を不適切取得。

兵庫社会保険事務局の売却した国有地について、一旦落札したのに「額が高すぎた」として契約を辞退、その後、知人の経営する会社に安い価格で落札させてから転売を受け、結果的に当初落札額より7100万円安く購入していた。大前議員は「国会議員として道義的な責任があった」と認めた。

07年12月、旧西宮社会保険事務所の土地(約730平方米メートル)と建物(鉄筋3階建て)の入札で、2億2千万円で落札した。ところが、入札会場で兵庫社会保険事務局の担当者が通常明かさない2位、3位の入札額も公表した。2位の入札額は1億2400万円だった。その後、大前学園は契約を辞退した。再入札が08年2月に実施されたが、前回辞退したため参加できない大前学園に代わり、大前議員に依頼された建設会社が入札に参加し、再入札が2回不調になった末、結局、1億4400万円で落札した。この会社は大前学園側に1億5500万円で転売した。

兵庫社会保険事務局は、なんと、いいかげんな土地取引をしたものか。その担当者が入札会場で通常明かさない1位、2位、3位の入札額を明かしたのは、何の意図があったのだろうか。

「もっと安くても、売りましたのに……」と告げたかのようであり、まるで商売っ気がないのだ。社会保険事務局ならではの感覚のようだ。金銭感覚にうといということが、社会保険事務局の体質なのかもしれない。

それで、「禍根」を残す結果となった。2位との差がそんなに開いていたのなら、1位が辞退したくなるのも無理はないだろう。でも、落札者が「額が高すぎた」という理由で、決定した取引の契約を辞退するのは、重大な入札ルール違反だろう。ふつうなら、そんなルール違反は許されない。その値段で買いますと言って置きながら、「高すぎた」という自分勝手な理由など、通用するはずもない。

そんな入札ルール違反に、「はい、そうですか。それなら、入札をやり直しましょう」と対応した兵庫社会保険事務局は、ぼんくらのようだ。「商取引のいろは」も知らないのではないか。

競合相手を排除する入札のようなシステムでは、「買うと宣言したもの」を取り消すためには、普通の商取引の慣習では、理由は何であれ、その取引額の「半額」を違約金として払わなければならないはずだ。

入札金額をばらしてしまったものだから、再入札では、うまくいかなかったのは当然だろう。

それに、社会保険事務局が、国有地の「土地ころがし」を許したのも、問題だと私は考える。この場合、大前議員に依頼された建設会社が土地・建物を入手し、ほどなく、それを「大前学園」側に転売した。転売を目的とした業者に国有地を売ったのは無神経すぎる。

国有地を払い下げるときは、実際に土地を活用したい人や法人を対象にすべきであり、「土地ころがし」を目的にした業者の参入を排除すべきだろう。そのためには、その不動産に関して5年あるいは10年の転売を禁ずるということを土地取引契約書に明記すればいいことだし、入札前の条件とすることだ。そうしなければ、転売することで利益を得ようとする業者が暗躍してしまうことになる。そんな業者が土地の値段をつり上げ、不当な利益を得るきっかけになるのだ。約20年ほど前の土地バブルの教訓が、ぜんぜん活かされていない。社会保険事務局で、不要になった土地は、売り払ってしまえば、「あとはご自由に」ということか。

また、国有地を安く手に入れたいと画策するのは、田中角栄元首相以来、身に付いた国会議員の習性なんだろう。(皮肉を込めて)

 

 

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        レーザー手術を多用した美容外科理事長