格を下げられた格付け会社                                      岡森利幸   2008/11/18

                                                                    R1-2008/11/20

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2008/11/18 総合面

金融庁が格付け会社の登録制を導入する方針を固めた。格付け会社を検査・監督の対象に加える。

格付け会社は、企業の財務状況や証券化商品の信頼性を第三者的に分析、評価している。しかし、サブプライムローンを組み込んだ証券化商品にも欧米の格付け会社が高い格付けを与えたため、同ローンの焦げ付きが広がるとともに、安全なはずの高格付け商品の価格も急落した。「格付け会社の甘い審査が世界に金融危機を拡散させた」との批判につながった。

なるほど……。あやしい証券化商品が世界的な規模で買われたのは、格付け会社によって高く格付けされていたことが一因であったわけだ。

今回の金融危機では、結果的に、専門会社による格付けの多くが間違っていたことになる。企業の財務状況は、会計制度が厳しくなって、かなり正確な情報が公に得られるので、格付けを行なう側は比較的妥当な評価をしているのだろうが、証券化商品については、それを専門にする会社においても分析が難しいそうだ。証券や株のように値が変動するものは、投機的思惑が入って、ことさら予測が難しいし、資金が回収不能になるなどのリスク予測は、下手な計算式では表せない。それを強引に数値化しては、かならず誤差が伴う。リスク分散させるために複合的に物件が組み込まれているものについては、さらに、どんな内容が組み込まれているかをひとつひとつ詳細に調べなくてはならないだろう。特に不動産投資など、企業の業績の推移と違って、焦げ付きと判明するまで、それが察知しにくいところがある。調べたとしても、それらの「焦げ付き」を予想するのには、明確な根拠など、なきに等しいから、サイコロを振って決めるしかないだろう。

証券化商品を買う側にとっても、リスクがあるのは分かっていても、自分では詳細を調べられず、調べようともしないで、それがどれだけかを推し量るためには、格付け会社が出す情報を唯一当てにしていたのだろう。それが商品の品質保証と考えていたのだろう。

「少々のリスクがあっても、格付け会社が『ランクA』にしているのだし、高い配当を期待して買ってみよう」ということになる。つまり、自分でリスクを考えるのを止め、格付け会社の『格付け情報』を当てにして、甘くておいしそうな証券化商品を買い込んだ人や金融機関(企業の金融部門を含む)がたくさんいたことになる。それらの証券化商品には、食べてみなければ分からないような、毒性の強いものが含まれていたのだ。

第三者的立場にいるといっても、やはり証券業界との関連が深い「格付け会社」としては、買う人が少ないと商売にならないから、多くの人に商品を買わせるためには、少々甘い格付けをしていたのだろう。

投機的な(バクチ性が高い)証券化商品で大損した人たちや、そんな状況にあたふたしている政府が、怒りの矛先を格付け会社に向けた構図になっているが、それは天気予報が外れたことで気象庁に文句を言っているのに似ている。

 

 

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