敗戦を言い訳した星野監督                                   岡森利幸   2008/8/30

                                                                    R1-2008/9/6

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2008/8/29 スポーツ面

全日本アマチュア野球連盟の松田昌士会長は28日、北京五輪で4位に終わったことについて、「しっかり反省してもらい、強くなってほしい」と話した。また星野仙一・日本代表監督が帰国会見などでストライクゾーンの違いや判定を「敗因」に挙げたことにふれ、「プロの日本がそういうことを言っちゃいけない。ひきょうな日本人になってほしくない」と苦言を呈した。

毎日新聞夕刊2008/8/29 特集ワイド面・『寝ても覚めても』冨重圭似子

メダルなしに終わった星野ジャパンに批判が集まっている。監督の采配(さいはい)がおかしいとか、選手に根性がないとか、選手の選び方が間違っていた、などと袋だたきの状態だ。

星野監督が、真っ先に敗因として挙げたのかは、球審によってバラバラだったストライクゾーンである。……(相手チームにしても)お互い様なのだから、監督が敗因に挙げるのは潔くない。問題は、日本の打者がバラバラのストライクゾーンに、全く対応できなかったことだ。

いやはや、てきびしいお言葉だ。味方であるはずのアマチュア野球連盟の会長からも苦言を呈されては、どうしょうもない。星野監督は「敗因」を下手に語って、「ひきょうもの呼ばわり」されてしまった。

反省することの一番重要なことは、敗因を分析することだろう。しかし、それを言葉に出すと、すべてが言い訳や責任転嫁の口実に聞こえてしまうものだ。そんな言い訳を聞かされた日本の多くの人たちは、ムカッとして、「お前が最大の敗因だろう」ということになる。

「強いものが勝つのではなく、勝ったものが強い」などという言い方も、「ふてくされた」敗者の言い草であり、評判を落とすのも無理はない。

 

「球審によってバラバラだったストライクゾーン」という分析は、正しい。それが「遠因」であることは確かだ。冨重圭似子さんが指摘しているように、日本の打者がバラバラのストライクゾーンに全く対応できなかったことが日本チームの弱さだったのだから、それを強調すればよかった。「球審によってバラバラだったストライクゾーン」と言うだけでは、それを聞いた人々は、短絡的に「球審のせいにするな」と怒り出す。冨重圭似子さんのように一歩先に進んで考えては、くれないのだ。

「判定がおかしかった」のは、野球の微妙な流れを変えてしまう要素になる。「きわどい判定」があったことも事実だろう。球審が、日本チームにとって、ほんの少し「良い」判定をしていたのなら、試合の行方はどうなっていたかわからなかった場面がいくつもあったのだろう。それにしても、負けた監督がそれを言うのは、負け惜しみでしかない。解説者ならば、事実を事実とし、仮定を仮定として語ればいいのだが……。

ただし、私は、正しい分析をしている監督を「ひきょうもの」とは思わない。その分析結果を活かして次の試合につなげることを期待したい。負け惜しみをバネにして次につなげてもらいたい。私に監督を選ぶ権限があったとしたら、負けた試合のことをろくに分析もせず、一言も弁解をしないような「潔い」監督なら、すぐに辞めてもらう。

 

補足すれば、北京五輪での日本チームの成績は、4位に終わった。韓国・キューバ・アメリカが、それぞれ金・銀・銅メダルを獲得した。今回は、星野監督に「ツキ」がなかったのかもしれないが、ほぼ、各チームの実力どおりの順位で、妥当なところだろう。なにしろ、勝ったものが強いのだ。星野監督には、4位を勝ち取った「勝因」を語ってもらいたいところだ。さらなる上を目指すなら、韓国チームの強さを分析し、見習ってほしい。

 

 

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        退場を宣告されていた星野監督