大江戸線停電事故 岡森利幸 2007/11/03
R1-2007/11/08
以下は、新聞記事の引用・要約。
毎日新聞朝刊2007/10/24社会面 20日早朝に発生した都営地下鉄大江戸線の停電事故で、東京都交通局は、停電区間の架線に電力を供給している練馬、中井の両変電所のうち、練馬変電所の送電スイッチが切れていたため中井変電所からの電流が過電流になったことが停電の原因だったと、23日発表した。20日未明に練馬変電所を点検した業者が点検後にスイッチを入れ忘れた人為的ミスと推定している。 交通局によると、一つの変電所だけに過電流が流れると、ブレーカーが作動して送電が止まる仕組みになっている。事故は朝のラッシュ時で、運転本数が増えたことから、過電流の状態になった。 |
送電システムが、情けないほど、弱すぎる。信頼性の面で、2系統の構成になっているようで、なっていない。一方の変電所からの送電が止まっても、もう一方で十分な量の送電ができなくてはならないだろう。人為的ミスのせいというより、システムが悪い。一方の変電所だけでは電力供給が不足するというのでは、システム設計上、話にならないほどお粗末である。公共交通機関とは思えない。
交通局はこの事故を業者の人為的ミスとして単純に片付けるべきではない。作業者は、おそらく徹夜の作業で、うっかりしていたのだろう。未明の作業は人が一番眠いときだから、注意が散漫になるのは当然だ。システムとして、そんなケースを想定し、一方の変電所の送電が止まることは「常にありうる」としなければならない。
20日の明け方から、練馬変電所からの電力供給が止まっていたのに、ラッシュ時になるまで、交通局は気がつかなかったのだろうか。
この事故では停電後の、乗務員による乗客の避難誘導が遅すぎたことも指摘されているが、練馬変電所からの送電が止まっていることへの対応が遅すぎる。交通局がその日のうちに原因を発表しなかったところを見ると、中井変電所が過電流になるまで、気がつかずに、ほっておかれたようだ。中井変電所が過電流になる恐れがあったのなら、練馬変電所の送電が開始されるまで、ラッシュ時の運転本数を減らすなどの一時的な対策があったはずだ。
中井変電所だけでも、ラッシュ時の送電が可能であると、計算していたのなら、その安易な計算見積もりが根本原因といえるだろう。ラッシュ時の電力量を甘く見ていたか、あるいは中井変電所のブレーカーの容量設定を間違えていたのだろう。
ともかく、一方の変電所だけでもラッシュ時の運転が可能なようにシステムを見直すべきだ。たった一区間の二つの変電所のうちの一つが送電停止したために、路線全体の運転本数を減らすことは、一時的な対策ならばいいが、マニュアル化したなら、笑われるだろう。
さらに、一つの変電所で電力供給が可能なものを三つ備えるならば、変電所の点検作業を日中でも可能にすることができて、人為ミスも減るだろうと私は考えを広げている。それはコストの面で現実的でないにしても、保守性に関しても念頭に入れておくのがシステム設計だろう。
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