外務省のODAばらまき                                          岡森利幸   2007.9.16

                                                                     R1-2007.9.27

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2007/8/31まち・くに・世界

外務省概算要求ODA13%増

外務省は31日午前、08年度予算の概算要求を発表した。概算要求基準(シーリング)で今年度当初予算比3%減とされていた政府開発援助(ODA)関連予算は同13.9%増の5173億円。ODAを「外交力強化の重要なツール」と位置づけ、強気の要求を通した。

ODA13.9%増とは、あつかましい要求だ。シーリングを完全に無視して、それをはるかに超える額を示した。

外務省がODA(政府開発援助)を「外交力強化の重要なツール」とするのは、金をばらまけば外交力が高まると思っていることをよく表している。自分たちの外交能力の乏しさを金で補おうとしているのだろう。そんな外交力は、そのうち「金の切れ目が縁の切れ目」になるだけだ。

国連で、宿願の安全保障常任理事国に選ばれるためにも、彼らはODAをもっとばらまく必要があると考えているのだろう。それでは公職選挙で、金品を有権者に渡すのと同じやり方だろう。そんなやり方は、だれが見ても、アンフェアである。中には、金でなびく国があるかもしれないが、それに反発する国も多くなるだろう。

国連総会で各国のODA供与の目標値が定められているとはいえ、少しは自国の財政事情を考えるべきだろう。07年6月末時点で、国の債務残高は836兆5213億円に膨らんでいるのだ。それでなくても国の財政が厳しい状態にあって、すべての省庁で緊縮財政が強いられているのに、外国で税金が湯水のごとく使われてしまうことにはとうてい納得できない。外国に金をばらまくために、我々は税金を納めているのではないのだ。

彼らは予算を分捕(ぶんど)るという感覚で、国庫から引出しては外国で使っていたし、今後も使おうとしている。もう金銭感覚を失っている。外務省ではODAだけでなく、モスクワの一等地に新しく設営した日本大使館の豪勢なことはその典型的な例だ。中央が地方を手なずけるために交付金を上乗せしたり、公共事業を推し進めたりする手段と同じ手法が国際間でも通用すると思っているのだろう。結局は、そんな土木工事が国の財政を基礎から傾かせたのだ。

ODAが発展途上国の人びとに本当に役に立っているかには疑問がもたれている。ODAの一部は、現地の住民が望まないような、自然破壊的な土木事業にも展開されていると伝え聞いている。ODA事業の多くが、利権を得ている各国の政府関係者や、取引先の業者たちの懐を暖めるぐらいにしか役に立っていないだろう。

札束をちらつかせて外交で優位に立とうとするよりも、ビジネスや科学技術、文化の面での交流を促進し、信頼され尊敬されるような国を目指すのが本筋だろう。そんな成果は目に見えにくいけれど……。

毎日新聞夕刊2007/9/13社会面

9月12日、会計検査院の調査でODAを巡って、国際協力機構(JICA)から業務を受注した「応用地質」社が668万円を不正請求していたことが分かった。

同社が01、02年度に行った「イスタンブール地震防災計画基本調査」のボーリングや地震データベースなどの業務で、再委託の費用668万円の使途が確認できなかった。

再委託の費用668万円は、どこへ吸い込まれてしまったのだろう。これもODAの問題の氷山の一角だろう。ODAが日本企業の利権にも、つながりやすいという一つの例だ。

外務省所管の独立行政法人JICA(外務省を始めとする各省庁の官僚の天下り先になっている)がODAを一手にとりしきっている実施機関だ。JICAは応用地質に委託したまま、その会計明細をろくにチェックをしないから、不正請求されても、会計検査院から指摘されるまで気付かないのだ。書式と数値さえ整っていれば、請求されたら、金をいくらでも出すという典型的なお役所仕事をしているから、JICAは使途不明な金にも気付かないのだ。それにJICAは、イスタンブールでの業務ならば、日本企業に丸投げするより、トルコの地元企業に委託したほうが安上がりだったはずだ。JICAは国際的に事業を展開するような、ビジネス能力を持っていないのだろうか。日本企業に丸投げしたのでは、日本企業が外国で公共事業をしていることになるのだが……。

 

 

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