エンジン発電機の排気ガス                                        岡森利幸   2008/1/17

                                                                   

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2008/1/9社会面・

北九州市八幡西区御開の送水管工事現場で7日起きた事故で、死亡した3人の死因は一酸化炭素中毒と判明。

現場では当時、ガソリンを使った発電機を運転していた。

発電機が出す一酸化炭素による中毒で、今回の送水管工事現場では、助けようとした人まで亡くなっている。工事現場では発電機がよく使われており、その扱いに慣れていたはずの人たちが事故にあったことに、私は不可解さを感じている。彼らは発電機がそれほど危険なものとは思っていなかったようだ。

一酸化炭素は、無色無臭の気体なので、気づきにくい。空気が変だと感知してからでは、もう遅いというケースが多いようだ。一酸化炭素がある濃度で充満すると、ほとんど逃げられずに、意識を失って倒れてしまうのだ。発電機による一酸化炭素中毒の事故が後を絶たないから、防止策を考えなければならないだろう。

ガソリン・エンジンが空気を吸って二酸化炭素や窒素化合物を含む有害な排気ガスを出すことは、誰でも知っていることだが、その中に一酸化炭素も含むことは、あまり知られていない。不完全燃焼すると、その排気ガスに一酸化炭素が多く出るのだ。使用条件によっても、その排出量は異なるだろう。ガソリン・エンジンは理想的に完全燃焼する方がまれであるのだから、ガソリン・エンジンは一酸化炭素を多かれ少なかれ出すものだという認識が必要だ。

屋内や、換気の悪い閉じた空間で、ガソリン・エンジンを動かすと、その中にいる人が一酸化炭素中毒になる可能性が高いのだ。屋外で使うものだと分かっていても、外が雨だったり、ケーブル長が短かすぎて電気器具にとどかなかったりという事情で、屋内で使用してしまうケースがあるかもしれない。

ガソリン・エンジン式発電機は、私が住んでいる地域の防災備品としても、倉庫に備え付けられているから、一般の人がしょっちゅう使うものではないけれど、たまさか使用するときに、その扱いをよく知らないで、事故を起こす危険性がある。

メーカーは、事故を起こした発電機の製造物責任が問われそうだ。そもそも排気ガスの中に一酸化炭素が含まれることが問題なのだ。使用上の注意として、使用者に周知させることが特に重要なことだろう。取扱説明書に記述することはもちろん必要だが、取扱説明書をじっくり読んでから使う人は多くなく、非常時にはそのひまもないだろう。周知に一番有効と思われるのは、この発電機の本体の目立つ位置に注意書きのラベルを張ることだ。技術的に一酸化炭素を完全に除去できないのだから、そのメーカーにおいては、「一酸化炭素で中毒死することがありますから、屋内などでは使用しないでください」などと、分かりやすくラベルに書くべきだろう。それによって売れ行きが落ちようとも……。

さらに、政治的に「屋内で使用したら、違反」とし、罰則を設けるようにしないと、この種の事故は減りそうもない。

 

 

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