ロシアが脅威とするミサイル防衛システム                            岡森利幸   2007.6.9

                                                                                                                       R1-2007.6.15

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2007/6/5人びと・民族・地球

 プーチン大統領「我々にとって欧州の新たな攻撃目標が出現することだ」

米国のミサイル防衛システムの東欧配備を再び非難。

毎日新聞朝刊2007/6/8人びと・民族・地球

 プーチン大統領が特に「ロシアへの脅威」と非難しているのはポーランド、チェコへの米国のミサイル防衛システム配備計画だ。サミット開催前、ロシアは「(東欧への)対抗戦略の拡大もありえる」と強気の姿勢をちらつかせた。

 米政府はミサイル防衛システムの東欧配備計画に対するロシアの激烈な反応を予測できず、戸惑いを隠せないのが現状だ。

プーチン大統領が、アメリカが進めているミサイル防衛システム配備計画に過剰反応を起こしたのはなぜだろう。

この計画は2012年までにポーランドに迎撃ミサイル10基を配備し、チェコに高性能レーダー基地を設置するものだ。「イランなどのテロ支援国家のミサイルからヨーロッパを守るためであり、ロシアを攻撃するものではない」とアメリカがいくら説明しても、プーチンは納得していない。そのシステムは飛んでくるミサイルに対して迎撃するものであり、敵対国の地上施設を破壊するような戦略的な攻撃兵器ではないことは誰の目にも明らかだが、プーチンのいう「ロシアへの脅威」というのは、いったい何なのだろうか。

考えられるのは、この配備によってロシアのミサイルが無力化されることを恐れているのだ。ロシアはまだ多くの大陸間弾道弾などを保有している。保有していることが大国のステータスであり、大国として世界に、特に東欧諸国に影響力を保ちたいのだ。ミサイルを持っていることで、「脅し外交」あるいは「威圧的外交」が可能なのだが、迎撃ミサイルによってその力が弱められてしまう。ミサイルが脅威でなくなることは、外交上の力が弱まることである。

プーチンが「アメリカがミサイル防衛システムを配備するなら、ロシアはミサイルの照準をヨーロッパに合わせるぞ」などとアメリカを脅迫していることが、おどしを得意とするプーチンの姿勢をよく表している。

アメリカのミサイル防衛システムの実効性(命中精度に関して)には疑問がもたれるが、配備されるのとされないのとでは、人々の、あるいは国々の安心感に差が生じる。ロシアの「威圧的外交」には、心理的に少しは対抗できるのだろう。

ミサイルで(おど)すというロシアの発想は、北朝鮮と同じようだ。

 

 

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