高層建築の周辺住民との妥協点                                  岡森利幸   2007.6.20

                                                                                                                       R1-2007.6.27

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2007/6/14身近な話題面

横浜防衛施設局は、横浜市金沢区内の米海軍池子住宅を18階建から15階以下に、横浜市に見直し案を出した。横浜市は環境への配慮と建物の高さの見直しを要請していた。

他の変更として、△南側の一般住宅に圧迫感を与えないように建設場所を南側に、△緑化を図るため地上立体駐車場を地下駐車場にする。644戸の戸数は変わっていない。

米軍池子住宅の建設をめぐって周辺住民の間から「景観が悪くなる」として反発の声が上がっていたが、18階建の当初の計画を見直し、やや低い高層建築にするという。それなら妥協点が見出せそうだ。

高い建物が近くの場所に建つとなると、周辺の住民はこぞって反対するのが常である。周囲住民から嫌われる有料老人ホームなどは、特にその傾向が強い。

「景観が悪くなる」というのが住民たちの主な理由だが、実は、高層建築物に対する圧迫感が一番の理由だと私は思っている。大きなものに対する畏怖の感情は本能的なものだろう。権力者が人々を驚かせ、平伏させるためには、大きなものを作ればいいのだ。古墳時代の巨大な前方後円墳や、奈良の大仏、城の天守閣、戦艦大和などはその典型だろう。

しかし、それが見慣れたものになれば、どうということはないのだ。地方から都会へ行き、地下鉄の駅から出て、都会の中のビルの谷間に立てば、最初は誰でも、その高さや垂直の壁にすごいと思うが、数分経てば、それがもう当たり前の景観になる。

まだ見ぬ巨大なものに対しては、人々の恐怖のような感情がなかなかなだめられないのは仕方のないことかもしれない。例えば、10階建の建物ができるとしても、周辺の2、3階建ての家に住む人々はそれを高すぎると言うだろう。それが建設されるまでは……。計画段階において、高さに関して反対されるのは自明の理なのだ。そんな人びとをなだめるためには、最初は実際の計画より高めに提案し、住民との話合いで妥協した結果として、もともとの計画の階数にすればいい。

建設業者にとって18階建も15階建も基本設計は同じだろうから、痛くもかゆくもない譲歩なのだ。

 

 

一覧表に戻る  次の項目へいく

        クレジット販売の誘惑