国際電話のクレジットカード課金システムの怪しさ 岡森利幸
2007.8.18
R1-2007.8.29
以下は、新聞記事の引用・要約。
毎日新聞朝刊2007/8/17社会面 海外からクレジットカードを使って国際電話をかけた利用者に対し、1回40ドル以上もの請求が相次ぎ、苦情がカード会社に多数寄せられていることがわかった。 米国の通信会社「BBGコミュニケーションズ」(*1)が手数料だけで35ドル(約4100円)も課金していた。同社の国際電話は「1800」で始まる11桁の番号を打ち込むと同社のシステムに誘導されるしくみ。音声ガイダンスに従ってカード番号や有効期限と、相手先の電話番号をダイヤルする。相手が出なかった場合にも請求される。 しかし、料金体系に関する表示はなく、カード会社から請求が来て初めで高い」と感じるケースがほとんど。特に日本人観光客の多いグアム島などでは、電話のかけ方に関する通信会社の説明書と、硬貨やプリペイドでかける場合の「不明瞭な料金はいっさい不要」という説明書が並べて表示されている。このためクレジットカードでも「通話料以外不要」との誤解を一層招きやすくなっている。カード会社JCBはその会社に契約解除を決めた。 毎日新聞の電話取材に対して、BBCの担当者「国際電話の料金体系は非常に複雑なので明示できない」 |
そんな手数料は暴利である。悪質な「過大請求」だろう。クレジットだから、請求が後からやってきて、利用者がその額を見てびっくりすることになる。相手が電話に出なくても、課金されていたというから、相当にひどいやり方だ。苦情を言うのは、おそらくほんの一部の人であって、多くの人が被害にあっている可能性がある。JCBがその会社との契約解除を決めたのは正解だ。
2,3分話しただけで40ドル以上請求されたのでは、1分当たり20ドルになる計算だ。今どきそんな高い国際電話はありえないから、だれでも高いと気付くのだ。ただし、国際電話は高いものだという昔からの固定観念のある人は、例外かもしれないが……。
海外で電話するとしたら、日本で買った携帯電話が海外ではほとんど使えない(これも大きな問題点の一つ)から、ほとんどの人は、現地の固定電話器を利用するだろう。ホテルの備え付け電話か公衆の電話である。その場合、クレジットカードが使えることがわかっている人は、クレジットカードを利用するのだろう。クレジットカードなら、通信料金にクレジット会社の手数料が加わったとしても、普通はその3〜5%だから、通信料金の何倍もの手数料を取るのは、ほとんど詐欺である。この場合、その通信会社が、クレジット会社の手数料とは別に、べらぼうな額の「接続料」(この手数料の正式な名称は何というのかよくわからない)を取っていたのだから、苦情が出るのは当然だ。もしもこれがもう少し控えめな料率だったら、苦情も出なかったかもしれない。
硬貨やプリペイドでかける場合の「不明瞭な料金」という説明書は、皮肉たっぷりである。逆に、BBGコミュニケーションズを利用した場合の料金がよほど不明瞭なのだ。その後の請求書によって、やっと高額であることが「明瞭」になる。事業者が消費者に料金システムを明示せず、しかも、あたかも特別な課金はないかのように思わせる手口は、公正な取引からほど遠い。
そんな不当な手数料を取る会社を野放しにしていることがよくない。通話時にクレジットカードを利用するためのサービスを提供しているのだから、有料なのは仕方がないという考えもあるかもしれないが、その料率は一般のクレジットカード利用での加算料金の範囲内にあるべきだ。アメリカ社会および国際社会で、そんな会社を規制していないことがおかしい。そんな料金の高い会社は利用者がそっぽをむくから、自然に消滅するのが普通だけれど、日本人観光客のような国際電話の料金システムがよくわかっていない新参の人びとが次々に訪れるところでは、そんな会社はすぐには消滅しないし、多大な利益が上がるものだから、はびこってしまう。日本人観光客相手だけでも成り立つビジネスなのかもしれない。そんな会社は金によってホテルとの連携を強くするから、ホテルもそれに協力的になるのだろう。ホテルと結託して、各室に怪しい説明書を備え付けているのだ。
そもそもホテルから電話するなら、クレジットカードなど使わずに電話をかけられるはずである。チェックアウトのとき、宿泊費とともに電話代も精算すればいい。あるいは、空港などではテレフォンカードと同様にクレジットカードを読み込んで課金する公衆電話があって、そんな仲介通信会社を通さずとも、つながるだろう。私もそれを使ったことがある。
*1.BBG Communications そのホームページを見ると、仰々しい宣伝文句が並べられているだけで、実態が分かりにくい。通信会社を装っているが、それも疑わしい。メキシコ系の会社のようだが、国際的に悪評が高まっている。その子会社で、ぜんぜん別な名前の会社も同様な手口で「過大な接続料」を請求していることがインターネット上で報告されている。
最期まで自己中心の男