比例代表非拘束名簿方式の参院選                                   岡森利幸  2007.9.1

                                                                     R1-2007.9.3

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2007/7/15社会面

参院選の比例代表で、各党が個人名より政党名を強調している。

私は、政党名より個人名を強調したい。特に参議院は、『良識の府』ともいわれており(名ばかりだけど)、衆議院で議決された法案を再度見直す役を担っている。衆議院で党利党略のために強引に通された法案などを、広い視野に立ってもう一度審議するところが参議院だと私は思うのだ。形骸化して、参議院も党利党略のためにあるのなら、意味はない。ても、参議院の決定権は、上院に位置しながら、予算案の議決などで衆議院に引けをとるのだから、変な立場である。私は、法案が憲法に違反しないかだけでも審議してほしいのだが……。

拘束名簿方式の比例代表制では、だれが当選するかは、投票する国民が蚊帳の外に置かれる。つまり、党が独自に優先順位を決めてしまい、その名簿の上位者が、党が獲得した票数に応じる数で議員になってしまう。

党が優先順位を決めることには、党内の駆け引きや、候補者の力関係、特に集金力で決ってしまうところがある。党が候補者を選ぶことで、候補者自身の個人的な発言力は小さくなるか、あるいは失ってしまう。党の方針に右へならいするだけの、数合わせの議員たちが誕生しやすい。また、候補者を支援する特定の団体からの集金力がものをいうから、業界と政治が結びつきやすい。

それに対し、政党内の個人が得た票数によって選ばれる方式は、党の一部の幹部による意図的な候補者の格付けが無くなり、候補者同士に競争が生じるから、本来の人物本位で選ぶ方式に近づく。かつての全国区の復活という向きもある。確かに、全国の有権者の支持の多さで、集金力よりましな集票力によって、候補者が選ばれることになる。知名度が高い人を候補者にすれば、票が集まるだろうと目論見で、非拘束名簿方式が導入されたのだが、その目論見は成功しているのだろうか。その動機は不純でも、拘束名簿方式よりは、国民にとってずっといい。ただし、メディアに登場することが多いような、単に知名度が高いだけの人が選ばれがちになるのは仕方がない。

毎日新聞夕刊2007/7/30 07参院選開票データ

比例代表区の投票状況

    政党名を書いた 個人名を書いた

共産   3,931,542      476,395

公明   3,517,417    4,244,907

自民   10,543,574    6,001,122

民主   18,829,335    4,426,907

さて、7月29日に投票が行われた参院選での比例代表区の投票状況は、おもしろい結果になっている。

共産党と公明党の票が、対照的になっている。共産党支持の人は、個人名をほとんど書かず、党名だけを書いているのに対し、公明党支持の人は、個人名を書いた人が多い。これは、共産党支持の人は共産党の候補者ならばだれでもいい、だれでも同じと思っているのだろう(皮肉を込めて)。公明党支持の人は、だれが上位になるかを気にして個人名を書いたのだろう。地区によって候補者が割り振られていたのかもしれない。党内の勢力分布がそれによって変わってくるのだろう。

自民党支持の人は、どちらかというと、個人名重視だった。投票者たちは彼らの得失を考えて個人を選んだと、私は見る。だれが当選するかで地元や支持団体に影響してくるのだろう。

民主党支持の人は、政党名を書いた人が断然多かった。民主党を支持して投票したのではなく、自民党に投票したくなかった人(反自民の無党派層)の多くが、民主党の候補者に適当な人物がいない(これも相当な皮肉)ので、民主党の党名を書いたにちがいない。

 

 

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        機体のボルトが外れた