アメリカ潜水艦の接触事故                                     岡森利幸   2007.1.26

                                                                                                                       R1-2007.1.30

 

毎日新聞朝刊2007/1/10一面

米原潜接触事故(現地時間8日午後11時15分ごろ、ペルシャ湾・ホルムズ海峡付近で川崎汽船のタンカー「最上川」と)。

ニューポート・ミューズが潜行していた状態で、海峡通過中に起きたと米海軍中央司令部が声明を出した。

川崎汽船の記者会見で、最上川側が原潜側に船籍と船名を再三問い合わせたにもかかわらず回答がなかったことを明らかにした。「通常の商船同士ならありえない」と怒りをあらわにした。

米原潜は、何さまのつもり?

米海軍中央司令部の声明には、謝罪もなければ、原因の説明も何もない。

これは、問題のある交通事故だ。『接触』というより、『衝突』というべき事故だろう。事故の対応は、国際的にマニュアル化されているはずだが、原潜側の対応は、非常識だったということだ。事故を起こしたときの最低限のマナーも情報交換もなかった。当て逃げに等しい行動だろう。この海域が戦闘区域で、原潜の作戦行動中の出来事だったかもしれないが、それにしても誠意がなさ過ぎる。

原潜の艦首が、原油を満載していた大型タンカー「最上川」の左舷の船腹に当たった。タンカーは自力で近くの港に緊急に入り、停泊した。ダイバーが潜って調査した結果、その船底が5メートルの長さでへこみ、数箇所穴が開いてバラストタンクに4000トンもの海水が入り込んでいたことがわかった。その場で浸水を止めるための応急作業をしたというから、本格的な修理も必要になるだろう。それでも大事には至らず、原油流出もなかったのは、最近のタンカーには、原油漏れを防ぐために、二重底などの強化対策が施されているからだ。

衝突のとき、原潜はほとんど浮上に近い深度で航行していたようだ。おそらく真の原因は公表されないだろうが、原因は、原潜「ニューポート・ミューズ」が充分に深く潜行していなかったことによるものだろう。アメリカ軍の内規で、一般の船が往来する航路下を潜航するとき、潜水艦は何メートル以上の深さを保たなければならないというきまりがあるはずだが、ニューポート・ミューズはそれを守っていなかった、と私はにらんでいる。

船の往来がはげしいホルムズ海峡では、海難事故がおきやすいところだ。日本政府閣僚の一人が口にした「軽微な接触」という認識では、再発を防止できない。大事故になる可能性もあったから、日本政府は、アメリカ海軍に対して厳重に注意すべきところだろう。それとも、日本政府には、『アメリカ軍は日本の占領軍』という認識が抜けきっていないために、何も言えない?

 

その後、原因調査も終わらないうちに、次のニュースが入ってきた。

毎日新聞夕刊2007/1/30まち・くに・世界面

日本タンカーとの接触で米原潜艦長を解任。

米海軍第5艦隊は29日、「指揮能力の信頼性に欠いた」として、原潜のマシュー・ワインガート艦長を解任したと発表した。

彼の指揮能力の欠如に関して具体的なことは言及していないが、問題が起きた後の対応の悪さで評定されたのだろう。

 

 

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ロシア検察の捜査対象