ロシア検察の捜査対象                                             岡森利幸   2007.1.26

                                                                                                                       R1-2007.2.2

 

毎日新聞朝刊2007/1/17人びと・民族・地球面

元露中佐リトビネンコ氏の毒殺事件で、ロシアのチャイカ検事総長は,露最高検の検察官を近くロンドンに派遣し、リトビネンコと親しかったロシア人政商ベレゾフスキー氏と、チェチェン独立派指導者ザカエフ氏から事情聴取する方針を明らかにした。またイスラエルに亡命中の元ロシア石油大手ユコス幹部のネブズリン氏も捜査する方針という。

3氏はいずれもプーチン政権の弾圧を受け、国外に逃亡した人物。

ロシアのやっていることは、見当違いの犯人探しだろう。

3氏には、リトビネンコ氏を殺害する動機はないし、むしろ彼らは協力者たちだ。逆に、3氏はロシア政府にとって不都合な人物ばかりだ。ロシア政府を批判し、その権力構造をあばこうとしたリトビネンコ氏は、ロシアのシークレット・サービスにつけねらわれていた状況があった。ロシア政府にとって都合の悪い真実をあばこうとしていた「裏切り者」リトビネンコ氏の口封じのために、ロシアの関係機関の手によって殺害されたとみられる。ロシア政府の方にその殺害の動機があるのだ。

イギリス警察(ロンドン警視庁)は、ロンドン市内のホテルでリトビネンコ氏に放射性物質ポロニウム入りのティーカップを勧めて飲ませたという人物を特定し(*1)、起訴するに充分確かな証拠をもっているとされているのに、ロシアは、世界で注目されているこの事件の真相を意図的にそらすかのようにふるまっている。ロシア検察が犯行の真相を隠そうとしているだけでなく、捜査に乗じて政治的反対派を弾圧しようとしていることが、見え見えである。ロシア検察が行政機関の一部門として、行政のトップの意のままであるかのようだ。(大統領に検事総長の任命権があるためか?)もっと分立性(自主性)がないと、検察としての正義を貫くことはとてもできない。

 

*1. イギリス警察は、元ロシア情報機関員のアンドレイ・ルゴボイ氏を容疑者と断定している。彼はそのとき同席していたロシア人ビジネスマン、ドミトリー・コフツン氏とともに、その直後にロシアに帰国した。イギリスは彼の身柄引き渡しを要求しているが、ロシア政府は応じようとしていない。

 

 

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