11月20日  青海島の奇跡



11月20日(土)、本日はまたまた青海島。1週間に3回も釣りとは久しぶり。
で、今日は私に永田に中野さんと中村君の4人での釣行。
本日、朝便は予約で一杯とのことで、夕マヅメ狙いの半夜便での釣行であります。

本日は、私と中村君、永田と会長の2人ずつに別れ、それぞれ別の磯に上がります。

で、私と中村君はBコースの小壁狙いだったのですが、ここも別の渡船屋と磯割りが決まっているようで
空いてれば上がれるってことだったみたいなんですけど、残念ながら先客あり。
とりあえず裏の大壁で時間を潰し、夕マヅメに小壁への瀬代わり狙いで行きます。

で、船は私と中村君を大壁に下ろした後、会長と永田さんを乗せて鯖島の8番ってところに行ったらしい。


とりあえずこの大壁、水深があり、絶好の真鯛ポイントってことで、太仕掛でスタート。

本日の仕掛け。

竿    シマノ ファイアブラッドダイブマスター 
リール シマノ テクニウムMgc3000D
道糸  シマノ ハイパーデュラハイスピードミュー 2号
ハリス サンライン トルネード1,5号、1,7号、2号
針    がまかつ  クロマルチ4号、5号、6号  鬼掛 沈め探りグレ 4号、5号、6号、7号
浮子  キザクラ   黒魂(管付に改造して、浮力は0シブと00位と3B) 黒魂R00号
釣研  スリムチヌ (改造して浮力は0シブ位)


とりあえず太仕掛けながらも本命はクロってことで、浅い棚から攻めていきます。
しかしながら、全く持ってクロの反応はありません。更には、餌盗りがもの凄く、ツケ餌と撒き餌を
全く離した所に入れても、1投ごとにツケ餌が無くなります。

で、足元に撒く撒き餌には、50cm前後の巨大なハゴイタ(ウスバハギ)が列を成してホバリングしております。
そんな状況の中、中村君の所に状況を確認に行くと、彼も全く同じような状況のようです。

んー・・・  とか思いながら、鯖島行った永田と会長はどうなんかなと、とりあえず永田に電話を入れてみると、
永田は釣り始めてからパタパタッと、25cm〜足の裏を4、5枚キープして、今はアタリが止まったとの事。

「そっちにはクロがおるんじゃー・・・。ええねぇ。」とか言いながら、会長の状況を聞いてみると、なんと
開始から1時間は経とうかって頃なのに、魚が釣れたとかそれ以前に、まだ仕掛けも、撒き餌すらも投入
していない模様。 
「たいじ何しよるん?」って永田に聞いて見れば、朝っぱらからウンコに行って、まだ戻ってきていないとの事。  
まずは会長、ここでサクッとウンコで朝マヅメを逃します。

で、私ら。 
相変わらず海面には餌盗りだらけで釣りになりません。lここで、業を煮やした中村君が、ハゴイタ退治を始めました。

「ハゴイタって旨いん?」って聞いてみると、「刺身にしても鍋に入れても、めっちゃ旨いっすよ!」との答えに、
私も初めてのハゴイタ退治に挑戦。

いつぞやは大事な私の浮子を何個も天に返してくれたここ青海島のウスバハギども。 今日こそ積年の恨みをと、
棚を20cmに設定して釣り開始。

しかもこのハゴイタ退治、中村君は器用に掛けたりバラシたりしていますが、私にはなかなか掛かってくれません。

足下に撒き餌を撒いて、ツケ餌のボイルをそーっとウスバの前に持って行ってやると、発見と同時にのそーっと
ツケ餌の前にやって来て、ホバリングしながら口の中に入れたり出したり。
ウスバが口の中にボイルを入れた瞬間、「ピシッ」と合わせを入れるも、なかなか針に掛かってくれません。
「あーくそっ、むきー、あふぅ」とか、一投ごとに変な声がでます。このウスバ釣り、魚を見ながら釣る釣りだけに、
非常にもどかしい釣りです。

そして繰り返すこと数投目、ようやく私の針にもハゴイタがフッキング!
しかしこの魚、ウマヅラハギの親戚だけあって、歯も馬のような感じ。掛けても歯だけに掛かってることも多く、
数秒やり取りした後、痛恨のバラシ。  ってことも多発。 ほんと非常にもどかしい。

ハゴイタ職人の中村氏曰く、この魚は、掛けた後、上を向いてるうちに一瞬で浮かせて掬うか潜られるかの
どっちかだとのこで、一瞬で掬う事ができれば「セーフ」って感じなのだが、いざ潜られてからのやりとりと
言えば、これが結構強烈。そりゃ、50cmもの魚を相手にするんだから当然っちゃー当然か。
レバーブレーキで糸を出しながらやり取りしているうちに、歯から外れてのバラシとかが多発。
んー、益々もどかしい・・・。

そんなバラシを繰り返す中、ようやく私もなんとかウスバの取り込みに成功。
たくさんのもどかしいシーンを乗り越えて、苦労して苦労して、ようやく取り込んだ巨大なウスバハギ。なんか、
今日の釣りはこれで満足した。もう帰っても良い。そんなことを思いながらもウスバをもう1匹追加したところで、
目の前を泳いでいたウスバ達の姿が消えた。 ハゴイタの時合終了。

それと同時に、あれだけたくさんいた餌盗りたちも、一斉に海から姿を消しました。
餌は、ほぼ毎投残って帰ってきます。時刻はそろそろお昼です。

そんな中、鯖島行った永田達はどうなったんじゃろかいと、休憩がてら電話を入れてみると、永田はまたも
数枚のクロをキープした模様であるが、ウンコで朝マヅメを逃した会長さんは、まだフグとベラしか釣れて
ないらしい。そしてこの時、彼との付き合いが長い私は、彼の特性から直感的にひとつの仮説が脳裏に浮かびました。

「あいつ、今日はボーズかも・・・」

まだまだ夕マヅメ等のチャンスはあります。しかし、この時私は強くこう感じたのです。それは、長い付き合いの中で
養った、彼の習性を知り尽くした上での直感とでも言いましょうか。

速攻で中村君に報告です。
「たいじ、まだ釣れてないんて。あいつ、今日はボーズ喰らうかもよ。」

まぁ、この時点では私らにもクロは釣れてない、いや、正確に言えば私は手の指サイズの、超ミクロな
クロを釣っている。自慢じゃないが、私はクロの顔を見ている。

そして、ようやく瀬代わりの2時。クロのいない大壁を後に、いざ小壁へ!ってところでプチハプニング。
なんと小壁に、別の渡船屋の上げたお客さんが、未だ元気にルアーをキャストしていらっしゃる。

速攻で中村君と協議し、船長に鯖島へ行って貰うことに。 で、上がったところは鯖島の3番。
結構ゴツゴツしてて足場の悪い場所であるが、水深もありそうで良さげな感じ。

そして、3時半から4時半までは、それはもう入れ食い状態。
石鯛口太それから尾長。みんな違ってみんな良い状態。     釣りの上手な中村君がですけど。

微妙な微妙なライン操作と仕掛けの落とし方で、次々と魚を釣り上げていきます。
「今ラインが動いた。今合わせる!」とか言われますが、一向に合わせのタイミングがわかりません。
ライン10cmの動きを見分ける、それはそれは超繊細な釣り。

豪快に竿を引ったくっていくイメージのある尾長ですが、この場所で私が掛けた尾長3匹のうちで、竿ごと
引ったくって行くような、指をラインがバチバチ弾くような豪快なアタリは、一度もありませんでした。
微妙なラインでのアタリの取り方を教えて貰いますが、私にはイマイチちんぷんかんぷん。
ラインが動いたかな?で合わせた何回かのうちの3回が、針にかかってくれました。それらの尾長も、
1バラシ、1取り込み後の手滑りリリース、キープしたのはわずかに30cmクラスの小長が1枚のみでした。
そして、4時半頃から回収の5時半までは、何故かパッタリと釣れなくなり5時15分、納竿。

少し物足りませんが、ウスバはおるしクロの引きも味わった。そして何よりの収穫は、繊細なクロのアタリの
取り方を伝授してもらったこと。 習得には数年の月日を要しそうであるが、これはほんとに、非常に良いことを
教えてもろーた。  見上げる鯖島3番からの満月は、それは美しゅうございました。

それはさておき、鯖島8番へと渡った永田さんと中野さん。
回収の船を待つ間、中村君が話しかけてきます。「中野さん、やっぱり釣れなかったんですかねぇ・・・」と。
そして私は答えます。 「これまでの経験上、ほぼ100%に近い確率でボーズでしょう」と。
そして私は付け加えます。「多分、私らと合流する時、彼は本気で泣きそうな顔をしているはずですよ」と。

中村君は向こうの釣果を気にし、電話をかけようとしましたが途中でやめました。
お楽しみはやっぱり最後まで取って置こうとの考えのようです。

そして、先に鯖島8番からの回収を終え、我々のいる3番に永田と会長がやってきました。
荷物を船に載せるのを手伝ってくれながら、案の定会長が私に話しかけてきました。

会長「おっさんよ、俺、久しぶりに完敗の、完全無欠のズボズボズーボじゃ・・・」

私「うん。知ってる。多分そうやろうって、大体予想はついてた。中野さんなら間違いなくやってくれるから、
  最後まで彼の事を信じてあげてと、中村君にずっとそう話してたから。」

これが、私らが最初に上がった大壁とか、ほんとにクロが居ない釣り場なら仕方ない。
しかし、残念ながら同じ磯で、永田は2桁の釣果をあげている。にも関わらず、中野さんに釣れたのは、
フグとチャリコとそれからベラと。みんな違ってみんな良い状態。加えてクロは、たった一枚の木っ端の
顔すら拝んでないらしい。まさに、喧嘩上等天下無敵、完全無欠のズボズボズーボーである。

しかも聞けば、終日彼は0号の浮子と1,5号ハリス。しかも、驚いたことには、ツケ餌は1日ボイルのみで
通したらしい。以前、山陰のとある岬で真鯛を釣ったのもボイル、尾長を掛けたのもボイル。

その忘れられない経験から、彼はとにかくボイルなのである。餌盗りの居るなしは関係なし。生に比べて、
食い込みの悪さも関係なし。とにかくボイル。ひたすらボイル。 この仕掛けに、何の変化も加える事無く
1日中貫き通すこの信念、まさに男の中の男である。
  
しかも氏は、1,5号ハリスを4回も飛ばされたと言っていたが、にも関わらずハリスを上げることもせず、
潮の流れ、海の変化等々に一切媚びる事無くなく自分の信念を貫き通した。 この彼の男釣りを、一体誰が
真似できるであろう・・・。 クロをターゲットに釣りに行くのにオキアミ生を持って行かない釣り人、なかなか
お目にかかれないと思う。 ある意味奇跡。

で彼は、そのハリスを飛ばされた4発をすさまじいアタリだったと表現していたが、隣に居た永田曰く、
「多分全部フグだと思うよ。」とのこと。

いや、でも永田。信じてあげようよ。彼のこと。彼がすさまじいアタリだったって言ってるんだから、その魚の
正体、2発位はフグだったかもしれんけど、残りの2発はウスバだったんじゃないかと思うよ。ほら。奴も歯が
鋭くてハリス切るし、ボイル大好きだから。 

ってことで本日は、中野さんの才能を改めて見せつけられた1日でもありました。


で、後日談。
とある用事で中野さんに電話をかけた中村君。 電話に出た会長の第一声は、
「はい。私が伝説のボーズ男の中野ですが。」  だったそうな。  彼の伝説にもまた、終わりは無い。





出港前。
本日、最初に上礁した大壁(右)と、
ほんとは午後から瀬代わりするはず
だった小壁(左)
私と中村氏をおろした後、鯖島に向かう船。
会長は、のんきに手を振っていた。
釣り終了後、鯖島3番から見上げる満月
今日の釣果の一部です。
1枚しかお持ち帰りが無いはずのクロが
一杯いるのは・・・

隣で爆釣させてた人に貰ったからです♪