本谷山の北 クマガ谷

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本谷山北側には熊が谷、いぼし谷など目白押しである。ただケイソウ谷は遡行価値はなくなった。なをこの記録は古くなりましたのであしからずご了承ください。

クマガ谷右左俣 (熊が谷本谷) 中級

 林道を最上部まで登ると標高640m。最初はゴーロの谷がつづく。石積の滝が何本かあってインゼルもある。やがて石積の背後にいよいよこの谷の前半の難関に差し掛かる。23mの幅広滝は左のカンテ状の岩を登る。離れて見ると登りにくそうだが近づくとホールドも多い。しかし高さがあるのでザイルを結ぶ。8m、18mは登りやすい。滝が多く、息つく暇もないくらいだ。20mの左を巻くと熊が右谷が12mの滝となって合流している。左をとると石積のあと7m、3mと5mのナメを気分よく越えて行くと、6mの後ろに滝が連続して見えてくる。この6mと15mはなんとか登れる。

そして35mは堂々として前にたちはだかる。登れないので左を巻く。やがて上空が明るくなり15mの段状の滝を登ると左から人工林が高さ90mにわたって大きく崩壊した現場に達する。ここから快適滝登りコースで小滝ナメが次々と現れる。6mの立派な斜滝もあって、苔むした岩が美しい渓谷を形成している。厳しい滝登りをしてきた後のホットする一時だ。多くの日本庭園がこの風景を目指したのではと感じられ、心和む景色は見せたいものの一つ。

傾斜も緩なり、これで終りと思ったら、ゴーロの後にわかに騒がしくなる。木立ちより岩影が見え、さらに進むとその影が高さ70mの巨壁となって目の前にその姿を現す。我々はその光景に声を出さずにはいられなかった。岩壁が高さ30m奥行き5mの張り出しを抱えて、その上から水流を落とし、その壁に真横から高さ40m長さ60mの斜滝が結合している。だから水流部分は高さ30mの直瀑だが真横の斜滝を含めると70mになる。祖母・傾山系でも高さを誇る滝だ。

どうやって登るか。この斜滝を直登して左のカンテ登ることにした。中段までは簡単に登れたが、トラバースがきつい。しかたないので、ずぶ濡れ覚悟で滝の内側に回ることにした。傾斜が増して小さい岩溝をよじ登る。足元を見ると取り付き点がはるか下方に見えて足がすくむ。平地の岩場なら何でもない所だが、ここでザイルの応援を頼み、細かいホールドを登る。ここからトラバース気味に2mさがって滝の内側に回り込むと、岩が頭上に被さるので、心穏やかではない。上を見ると岩の間から水が落ちて、容赦なく腕やヘルメットを濡らす。一気にかけ登り、岩棚へと出た。

後ろ振り向くと、先ほど岸壁がブロック状に何枚も縦に走り、手前の滝が上空から落ちている。ものすごい光景に圧倒される。そして最後は2mのトラバースを下を見ないようにして越える。クマガ中谷後半の核心部はこうやって終わる。ここで時間切れとなったので帰路をそば道を下った。このそば道はクマガ西谷へ通じて林道へ取り付く。まずクマガ大滝の手前から美しい斜滝群を登る。今回は大滝を一人で登ることにした。初めは緩い傾斜で登るにつれて増してくる。ホールドを手探り登るが足が落ちそうなホールドは気合い一発で登る。

やがて岩の直下にくるとほっとするが長居は無用と最後のトラーバースにかかる。グレードはⅢ~Ⅳ級程度だが高さがあるので慎重に足をかけながら登るとハング斜滝の上部に出た。ここで連絡する。核心部を終えるとさすがほっとする。3m、5m、二条の斜滝4m、幅広斜滝4mと低い滝がつづく。ゴーロの後4mの直瀑、小滝を乗り越えると楽しいシャワークライムが二回つづく。10mの関門の滝は右を小さく巻くと滝の上に、水量がめっきり少なくなり、小滝、多段滝と登っていくと傾斜が緩くなる。次第に終りが見えてくるが水は涸れない。予定した高度に達したのでエスケープルートで下山することにした。

 

クマガ谷右右俣 中級

右俣はやや難しいがナメ滝は有名である。
 右谷の12mの滝は左俣から入る小滝二本の後は15mは流れの左を微妙なバランスで登るがリュックがあると登りにくい。次の23mは左を高巻くがやや難である。次はいよいよこの谷の見所登りどころ○○落としの滝が現れる。二段構成で深い釜を有し、この滝を登って意味あるものなる。

 

クマガ谷左俣(本谷) 中級

本谷は「九州の沢と源流」の著者、吉川さんの著書ではクマガ谷左俣になっているが地元では「本谷」言っている。本谷山の名前の由来もここから来ている。30mのトユ滝がポイントになっている。

 標高 860mまでは変化のないゴーロが続き、時折岩間にかかる石積の滝を乗り越えて行く。 750mころから自然林の中へ入ると傾斜が増しはじめて石積の滝が増えてくる。ようやく滝らしい滝が見えて、最初は右に壁を控える4mの多段、3mの直瀑。急なゴーロさかのぼると本格的な滝群となる。20mのくの字滝は簡単に登れそうだが深い釜を持っており、右から巻いて入ったがまともにかかる雨に押されて撤退。

しかも不安定な石がいくつもあり、高巻も危険と感じた。左を巻くと落石の音がした。4mの斜滝、幅広3m、釜を持つ斜滝、カンテ滝、トユと様々な滝を見物しながら登ると、この谷一番の見もの、側壁を持つ30mトユ滝が姿を現わす。滝は深い釜を持ち、右よりへつって滝の中へ、ポットホール状の横穴があり、三段構成でみごと。水量が少なかったので何とか登れたが最後の2mはハーケンが欲しい所。水量の多い時は高巻くことになる。ふたたび小滝群がつづく。 1mないし2mの滝はいずれも釜を持ち、つかったりへつったりして登っていく。こういう所は滝見物と様々な登りを体験できるので楽しい所。

9本目の斜滝の後、20mの斜滝直瀑は左の急峻な木の根バンドを高巻く、しっかりした木の根が要所にあるので難しくない。滝の上はトユと小さなナメがあり、傾斜がゆるくなって広河原がしばらくつづく。それが終ると第二部が始まる。5×2m、斜滝、3mの段状と次々と斜滝がつづくようになる。2×5のナメ滝はみごと。石積の後は15×20のトユ滝はラインがはっきりして美しい。最初木の根を登り、トユの中は30mのトユ滝を思い起こす。このあと斜滝の後めっきり水量を減らして傾斜が緩む。

 
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■イボシ谷の下山路

 このイボシ谷の下山は九折、尾平越えとも大きく離れているのが欠点だった。それだけに3時間近く要する。ところが笠松山からの下山路を使えば車を回す手間が省けるので大きく削減できる。地図でいうと下図の通り。縦走路から1時間20分でもとのイボシ谷に戻れる。縦走路からの下山口にはタオルに赤テープで目印しました。それ以後は20mおきの赤テープにそって下れば林道に出る。途中急に方向が変わりますが急登を避けたり無駄な登りを避けたり、見所を通ったりしています。

・藪も少なく笠松山への単独の登山道としてもいい。途中には展望岩もあり、祖母山の風景もいい。標高1200mから上は自然林で雰囲気もある。

■イボシ小谷は記録集バリハイ・裏谷記録集を参照のこと

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