第22話 「魔女裁判」THE JUDGMENT
今回の物語は本当に異色です。なんと始まってから終盤近くまで、ずっと白黒映像が続きます。色的にもまさに異色であります。今はもうカラーテレ
ビが当たり前の世の中になっていますが、昔は白黒。カラーテレビが見れるのは、ごくわずかの裕福な家庭だったそうです。さて、こんなのどかな事
を言っている場合ではありません。この魔女裁判では、ミサが卑劣な罠にかかってしまいます。その罠とは・・・? それではご覧下さい。
もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。
◎今回の登場人物
黒井ミサ:黒魔術を使う少女で主人公
リツコ:奇妙度100%の人形遣い。魔女裁判では裁判長を担当。
佐多警部:顔も声も威圧感のある警部。裁判では原告側弁護人を担当。
那須刑事:佐多の部下。序盤でちょこっとしゃべるが、裁判では一言のセリフもなし。
弁護士:妙にカッコつけたがる弁護士。裁判では被告側弁護人を担当。
黒井アンリ:ミサの妹。ついに姿を見せるが・・・?
黄金コンビ:この話を見た翌日に死刑になる夢を見てしまったナレーション
(注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)
◎ストーリー
真っ暗な画面・・・その真ん中に、白字で「2 years ago・・・」と出ました。黒と白、冒頭でも言ったとおり白黒画像でスタートした今回のストーリー。2
年前のミサとアンリの会話のシーンから始まります。橋の上で1人の少年を見つめるアンリ。そこへミサがやって来ました。
ミサ「アンリ・・・」
と笑顔のミサ。しかし、アンリはミサのほうを向こうとはしません。
アンリ「見つかっちゃったね。やっぱり・・・」 ミサ「3日もかかっちゃった・・・」
この2人、かくれんぼでもしてたんでしょうか・・・? それにしても、この2年前のシーンの会話は音声ではなく字幕なので、編集が非常に楽で
す。さあ、ここでポケットからラブレターを出したアンリ。ちょっと見えにくいのですが、そこにはSHINICHIとアルファベットで書かれております。なる
ほど、今アンリが見つめていた少年、それがこのシンイチですか・・・。ミサも少年の存在に気づきました。
ミサ「あれがシンイチくん?」 アンリ「今日返事をする約束だったの・・・ でも・・・」
てことは、書いたのではなく受け取ったラブレターということになりますね。
ミサ「仕方ないわ。パパの・・・」 アンリ「またいつもみたいに! またみんなから私の記憶を消して、他の街へ行かなきゃならないんでしょ・・・」
これが魔術を使う者達の定めでしょうか・・・。悔しそうなアンリ。ミサも一旦は申し訳なさそうに俯きますが、すぐに意を決した顔つきに変わり、記憶を
消そうとします。が、その前に、
アンリ「やめて! 自分でやるから・・・」
と言い、次のように呪文を唱え始めます。
アンリ「エコエコヒプノス エコエコノーデンス 我が顔をみなもに流し 我が声を虚空に散らせ 我にまつわるあなたの記憶を門の彼方へ・・・」
すると、シンイチは記憶が吹っ飛んだような顔になってしまいました。いや、そんな大げさなもんではありませんが、少なくとも、これで彼の中にアンリ
の記憶は残っていないでしょう。泣き崩れてしまうアンリ・・・。きっと返事はOKと伝えたかったに違いありません。どうしようもない気持ちが揺れ動く
中、ようやくミサのほうを見ようとするアンリ。と、この後が気になるなと思ったところでサブタイトル紹介。
〜「魔女裁判」THE JUDGMENT〜
実は、この気になる続きの部分が、今回の話の後半のほうで重要な鍵となってきます。
さて、時は2年前から現代へと戻ります。画面も、一時的ですが白黒から普通のカラーに戻りました。踏み切り音がカンカンカンカンと鳴り響いており
ます。ちょうど電車の下の通りでしょうか・・・。ミサがそこを歩いていましたが、何とも奇妙な男を見つけてしまいました。その男、ずっと立ち止
まった状態で操り人形のように両腕を変な方向に曲げております。おそらく見ている人みんな、何だこいつは!と思ったことでしょ
う。しかし、ずっと立ち止まってるなと思いきや、突然ナイフを取り出し、ダッシュでやって来てミサに襲いかかります。ナイフをかわしても尚も襲いか
かってくるその男。実はこの乱闘シーンのところどころで人形が出てきますが、その人形、この男と全く同じ動きをしております。どうも誰かが人形を
使って男を操り、ミサを倒そうとしている模様・・・。このままではやられると思ったミサ。ついに自前の(?)短剣を取り出し、相手のナイフを受け止め
ました。しかし、この男の様子はやはりおかしいです。やはり操られているのか、この男自身にまるで生気がありません。「アーサーザー、ナーサー
ザー、プライシス。」と呪文を唱えるミサ。呪文が効いたのか男は倒れましたが、ここで操っていたと思われる女の姿が一瞬現われました。不敵にニ
ヤッと笑うその女・・・。それも、まるで人形のような声を出して笑うので気味悪いです。この笑みからして、どうやらミサを罠にハメることに成功したよ
うです。ここで、画面はまた白黒に戻りました。とりあえずその場をしのいだミサ。突然の出来事だったので、グッタリとその場に崩れました。
しかし、すぐさま気を取り直し、短剣を元の太ももの所に戻しました。ところが、倒れた男のところに、いつの間にか2人の男が立っていました。佐多
警部と那須刑事であります。那須はしゃがんで倒れた男を見、「死んでます。」と佐多に死亡確認をします。「初めから死人だったのよ。」と言って愛
想もなく帰ろうとするミサ。愛想もなくってところが、彼女らしいと言えば彼女らしいですが・・・。そんなミサを「警察の者だ。」と言って帰さまいとする佐
多。一方の那須は、相変わらず男の状態を見ております。「心臓を一突きか・・・」 いやいや、ミサは心臓など狙っていないはず。当のミサも、気に
なって那須のほうを見ております。「これが凶器です。」と血だらけになっている凶器を佐多に見せる那須。よくみるとこれ、ミサの短剣ではありませ
んか! そしてミサも、さっき太ももに戻したはずの剣がないことに気づき、慌て出します。
「私じゃないわ!」
しかし佐多は、「殺人の現行犯で逮捕する。」と言って容赦なくミサに手錠をかけました・・・。
逮捕されれば当然取調べがある。ミサも今、厳しい取調べを受けております。目の前の電気スタンドに目をくらませながらも、「私は殺してない!」と
懸命に容疑を否認するミサ。そんなミサの顔に、タバコの煙を吹きかける佐多。うわ、これはもう120%オヤジのすることですね。感心できま
せん。当然ミサも咳き込んでおります。ミサの苦痛に歪む顔を見ても何とも思わない佐多。そのまま尋問へと移ります。「名前黒井ミサ。年齢17歳。
住所不定。学校には行ってない。職業・・・」とここまで言いかけた佐多に対し、「占い師。」とふてくされるように言うミサ。しかし、佐多はまたタバコを
吸いだし、「無職。」と決め付けるように言い返します。これでミサは強制的に、いわゆる住所不定無職の人間にさせられてしまいました・・・。「仏さん
は梶山健介35歳。真面目なサラリーマンで妻子持ち。去年からテレクラにハマって、女子高生に合ってたそうだ。」 さらに、「変態プレイに嫌気がさ
したかな? んん?」と言って、ミサのあごをいやらしく触る佐多。「おじさんに連絡して。」と言うミサ。今までは自分の力で何度もピンチを切り抜けて
きたミサでしたが、ここでおじのサトルに助けを求めるとは・・・よほどやばい状況になっている事がミサ自身にも分かっているようです。ところが、そ
の要求はあっけなく却下されました。「その住所に黒井なんていう字ありませんでしたよ。」と、同じく取調室にいる那須が言います。ここで、1人の警
官が室内に入り、佐多に耳打ちで伝達事項を伝えます。こういう時って必ず耳打ちなんですね。他のサスペンスドラマでもよくあるパターンです。さ
あ、それを聞いた佐多は再びミサに「凶器の断片からは、お前の指紋しか出なかったそうだ。」と、絶対にお前が犯人だろと言わんばかりのセリフを
吐きます。
「彼はとっくに死人だった。何者かが魔術で操っていたのよ。」
これを聞いて「面白い子だ。ええ?」と言って、またまたミサのあごを触る佐多。ひょっとして、あごフェチでしょうか? いやいや、これ以上の発言は
おかしな方向に行ってしまう恐れがあるのでやめておきましょう。佐多はミサのあごを触ったまま、
「かわいい顔してるからって、大人をからかっちゃいけないよ。この殺人犯がっ!」
と言って、今度は乱暴に頭を机の上に叩きつけました。
取調べも長期化してきました。その証拠に、灰皿の上に佐多のタバコの吸殻が、みるみるうちに増えてきたからです。もう山盛り、ものすごいヘビー
ですね。そんな佐多に「準備できました。」と言って、ミサの顔をあるミラーに向けようとする那須。そのミラーとは・・・そうです。警察と言えばマジッ
クミラーであります。そのミラーの向こう側では、今回の事件の目撃者数名と警官が1人待機しておりました。その警官が、「え〜、この鏡はマジッ
クミラーになっていますので、向こうからこの部屋は見えません。」と言って、一緒にいる目撃者達に説明をしました。それを聞いてミラーからミサを見
る目撃者達。「あ! あいつだよ。俺見ましたよナイフで突き刺すところ。間違いないっすよ、俺確かにこの目で見ました。」 「あの子です。あの子魔
女です。私みたもん。夜の公園で、あのあれ、生贄の儀式って言うんですか。絶対あの子魔女よ。」 「僕、塾の帰りに見たよ。お姉ちゃんがほうきに
乗って、空を飛んできて、裸で黒い服の人と抱き合ってたの。」と、次々と順番に証言しております。中でも私が一番気になったのは、次の目撃者で
す。お坊さんの格好で暗い表情で暗い声を出す不気味なこの男。「赤ん坊の腹を引き裂いて、腹わたをえぐり出していました。はい。」と言いますが、
私は思わず、
あんたがやりそうだよ!
と、ツッコミたくなりました。とどめは、「私、血を体中に塗りたくって踊ってるとこ見ました。超ヤバイよあの人。」という女の子の証言。とにかく、ミサの
不利となる証言ばかりする目撃者達。そもそも、あの現場に5人もの目撃者がいたとはとても思えないですし、事件とは関係のないことまで言ってい
ますから、どう考えてもこれはおかしいです。でも彼らは、「あいつ魔女だよ! 間違いないっすよ!」 「そうよ魔女よ。早く火あぶりにしちゃいましょう
よ。」 「魔女だ!」 「魔女よ!」 「魔女だよ!」 「魔女だわ!」 ・・・と、さらに追い討ちをかけ、ミサを魔女に仕立てあげていきます。マジックミラー
でこれらの声は聞こえないはずなんですが、まるで聞こえているかのように、どんどんと苦しんでいくミサ。それを見て、ざまあないなという感じの顔を
見せる佐多と那須。ミサはついに耐えられなくなり、その場で気絶してしまいました・・・。
翌日、ミサは意識を回復しました。が、そこは取調室ではなく、奇妙な造りの裁判所。その館内で、なんとミサは貼り付けの状態にされていま
した。手足を縛られ、まったく身動きが出来ない状態に・・・。そんなミサに向かって、
「やあ。お目覚めですか、お姫様。」
と、何とも馬鹿にしたご挨拶をする弁護士。その時の仕草も、妙にカッコつけています。そして、なぜか傍聴席から沸いてくる拍手と笑い声。「ここは
どこ? 何なのこれは!?」と、まったく事態の呑み込めないミサに対し、「おやおや、覚えてないんですか? あなたが昨日の裁判でさんざんわめき
散らし、暴れたからですよ。」と、裁判に出席したであろうと思われる人達を見せる弁護士。その人達、次のセリフからして陪審員なんでしょうが、全
身に包帯を巻くほどの大ケガを負っています。もちろんミサは、昨日裁判に出た覚えもなければ、ましてやケガを負わせた覚えもありません。やは
り、敵の罠にどっぷりとハマっております。「陪審員にこれ以上悪い虫を与えたら、いくらこの私が優秀な弁護士であっても、君の勝ち目はありませ
ん。裁判は神聖なものです。気をつけて下さい。」 「裁判??」 なるほど。よく見ると、原告席に佐多と那須が、そして妙なマスクをかぶった新たな
陪審員も数名来ております。「まあ任せておきなさい。今日の私達には、とっておきの切り札があるんですよ。」と言って、ようやく被告席に腰をおろす
弁護士。さあ、裁判の始まりです。貼り付け状態のミサの真上には、黒ずくめの服装をした裁判長がいます。「開廷を宣言します。原告側弁
護人、冒頭陳述を。」と、かなり低い声でしゃべる裁判長。これを聞いた佐多はゆっくりと立ち上がって、冒頭陳述を始めます。「さて、裁判長ならび
に陪審員の皆さん。もはや、これ以上の審議は無意味です。被告の有罪を決定づける証拠は、山ほど挙がっているんです。」 さらに、
「被告、黒いミサは疑いもなく魔女なのです!」
ここでもまた、ミサのあごを触る佐多。一体何回触れば気が済むんですか! そして、また傍聴席から湧き上がったくる拍手と笑い声。どうやら、ミ
サが特に嫌な目に遭っている時に起きているようです。笑われたり魔女と言われたりお姫様とバカにされたり・・・とても耐え切れるもんじゃありませ
ん。「想像をし得る限りの最も忌まわしい存在、それが・・・魔女。魔女は魔女であること自体が罪なのです。いいですか・・・」と、今度は陪審員達のと
ころにやって来た佐多。
「魔女は、生きながら火あぶりにすべきです!」
またまた起こる拍手と笑い声。おまけにここでは、「そうだそうだ。」という声も聞こえてきました。ついに落胆の表情を見せてしまったミサ・・・。そんな
ミサの隙を見逃さない佐多は、すかさず次なる攻撃に移ります。「今のを見ましたか皆さん。アンリボメッチョ作、魔女裁判官心得に知らされる、被告
が魔女である兆候、8項目その1。尋問中に被告が目を伏せたり恐怖を示す場合。」 「何を言うの!」 「8項目その4、急に被告が怒りだした場
合!」と、さらに次のセリフを用意していた佐多。この佐多には口喧嘩じゃ勝てないかもしれませんね。それにしても、彼は警察官のわりに、どうして
これほどまでに魔女のことに詳しいのだろうか、という疑問が生まれますが・・・。そんな彼の青字のセリフは、まだ続きます。「悔しかったら、魔術で
も使ってこの場から逃げ出してみるがいい。」 ここで呪文を唱えて脱出を試みるミサですが、あえなく失敗に終わり、逆に痛手を負ってしまいまし
た・・・。「無駄だ。その祝福の逆十字の紋章が、お前の魔力を封印してるんだ。もう、自分で魔女だと自白したも同然だ。」 ここで出ました逆十
字。これでもう、今回の件にアンリをさらった敵が関わっている可能性が濃厚となってきました。裁判長が今度は、「弁護側、反対意見はあります
か?」と問います。ミサの味方となるはずの弁護側。しかし弁護士は、
「まったくありません。」
って、おいおいそりゃないだろ! またもや盛り上がる傍聴席。この館内には、ミサの味方は1人もいないんでしょうか・・・?
ここでこの話の前半が終了です。一方的に進行していく魔女裁判。影で操っているのは誰か!? ミサはこの罠を脱出することが出来るのか!?
そしてアンリは・・・!?
後半は、こちらです。