インドア派の城に戻る


 

◎ストーリー(後半)

何だか今回の話は、中世に行なわれた魔女狩りそのもののような感じもします。この後半戦では、さらに火あぶりにしようという展開になっていきま

すが、まさにそれも中世の時に行なわれたものです。主人公=魔女という前代未聞の結末を迎えてしまうのでしょうか・・・? では、後半戦をゆっくり

とご覧下さい。

 

さて、訳の分からない裁判(おいおい)が再び始まりました。よくサスペンスドラマでも、裁判が行き詰まった時、あるいは被告人が暴れだしたり

した時は、休廷を申し出て一息つく場合があります。なのでこの魔女裁判も、もしかしたら前半と後半の間に休廷をしていたのかもしれません・・・。さ

あ、まずは裁判長が「被告側弁護人。」と、弁護士を指します。それを聞いて立ち上がる弁護士。その立ち方といい、相変わらずキザに決めてくれま

す。「我々は被告の身の潔白を証明するために、被告に最も近い人間、すなわち被告の両親の証言を求めます。」 ここで、人形にされたミサの両

親が、その人形の姿のままで、いつのまにか証言台に立っております。「パパ、ママ・・・」と、人形までこいつらに取られてる!みたいな声を出すミ

サ。いや、なんせミサ自身が捕まってますからね。バッグに入れてた両親の人形も、必然的に敵の手に渡っていたわけです。はい、もう前半の話だ

けで、今この法廷にいる人間は全員、ミサの敵と結論付けていいと思います。弁護士は「黒井ミサの両親、黒井臣夫、奈々子ご夫妻です。」と勿体

つけるように紹介してから、「当法廷において、真実のみを証言すると誓いますか?」と、人形に向かって言います。しかし、人形にされたミサの両親

がしゃべるわけありません。「宣誓がない限り、当法廷での証言は認められない。」 少し間が開きますが、やはり黙ったまま。「なんてこった。最後

の切り札だったのに・・・。無口な奴ほど扱いずらいものはないですね。」と、もう嫌味満点のセリフを吐く弁護士。さらに人形のほうに顔を近づけて、

 「このデクの坊。」

と、とどめの一言です。ここで、やはり後半戦も元気のある傍聴席の笑い声。しかししかしミサは、席に帰っていく弁護士をものすごい形相で睨

んでおります。うわ!こりゃもう、絶対に腹わた煮えくりかえってますね・・・。今は張り付けにされて身動きの出来ないミサですが、ホントだったら

この弁護士、ミサに半殺しにされているかもしれません。さて、今度は逆に「原告側弁護人。」と、佐多を指す裁判長。佐多がゆっくりと立ち上がりま

す。そう、ゆっくりです。弁護士が俊敏でキザに見えるせいか、佐多の動きは反対にスローモーションに見えます。「裁判長。原告側は、被告の魔女

性を実証するために証人を呼んでおります。」と言う佐多。その証人とは、「被告の実の妹・・・黒井アンリ氏です!」 おお!ついにアンリ登場! 第

19話で秀美が死ぬ直前で言っていたように、もしかしたらミサの敵に回っているかもしれないアンリ。恐ろしささえ感じてしまいます。ところがところ

が、

 「こんにちは〜。黒井アンリで〜す。」

と、妙に拍子抜けしたような明るさで挨拶をするアンリ。ホントに私も度肝を抜かれました。ていうか、法廷という場所でこの明るさはお

かしいだろう!というのが、度肝を抜かれた後すぐに思った率直な感想です。傍聴席からは「L・O・V・E ラブラブアンリ〜!」と、大げさなまでに応

援する声が・・・。それを受けて「どうもありがとう。」と、満足そうに返事をして証言席へ向かうアンリ。おっと忘れていました! ミサにとっては、ようや

く妹に再会したわけで、真っ先に声をかけたい所ですが、何しろこのおかしな雰囲気ですから、そういう気持ちにはちょっとなれません。「アンリ・・・」

と、複雑な表情でつぶやくだけでした・・・。さあ、傍聴席もようやく静かになったところで、佐多がアンリに言います。「当法廷において、真実のみを証

言することを誓いますか?」 「誓っちゃいま〜す。」と、相変わらず明るさの絶えないアンリ。それにしても、被告側の証人がミサの両親。対する原告

側の証人がミサの妹。敵対する証人が両方とも被告の家族、というのも珍しいです。いや、おそらく絶対無二。他にはないでしょう。「原告

側弁護人。証人尋問を行なうように。」 お、いよいよアンリの証言が始まるようです。「さて、黒井アンリさん。あなたから見て被告、つまりお姉さんが

どういう人なのか聞かせてもらえませんか?」 今まで終始笑顔だったアンリ。しかしここで、急に悲しげな表情になり、ミサのほうを向きます。「お姉

ちゃん覚えてる? あれは・・・2年くらい前だったかしら・・・?」 2年前といえば・・・そうです。この第22話の最初で述べた、あのシンイチとの別れの

シーンです。そのシーンが、再びここでの回想シーンとして画面に出てきました。回想シーンはすぐに終わって元の法廷のシーンに戻りましたが、ミ

サはその時のアンリの悲しみを思い出したためか、今にも泣きそうな顔になっております。しかし、そんなミサの思いを打ち砕くようなアンリのとんで

もないセリフが・・・!

 「私、お姉ちゃんが大嫌いだった。

驚きのあまり、ミサの顔が一気にこわばりました! 逆に、アンリは怖い表情を見せ、「魔術が何よ。魔術が私達を幸せにしてくれた? 魔術で誰か

を幸せに出来た? みんな死んじゃったじゃない。誰も救えなかったじゃない。パパとママがああなったのも、みんなお姉ちゃんのせいよ。」 もう、登

場した時とはまるで別人のようなキツイ言葉を出すアンリ。さらに、

 「お姉ちゃんは人に不幸を呼ぶ魔女よ。」

そして次のとどめの一撃。「裁判長。私はここに証言します。私の姉、黒井ミサはまぎれもなく魔女です。」 それを聞いた裁判長は、「被告側弁護

人、反対尋問はあるか?」と弁護士に問いますが、「まったくありません。」 やはりミサの味方をしてくれません。「陪審員の評決を。」 今度はその

陪審員が札を上げる番ですが、全員が黒色の札を・・・つまりミサの有罪を主張しております。裁判長は不敵に笑いながら、

 「判決を言い渡す。被告はまぎれもなく魔女である。よってここに、死刑を宣告し、火あぶりの刑

  に処す。」

ついに最悪の判決が出ました。やはり笑い声が出た傍聴席。そして今ここで、すべてが仕組まれた罠だというのがハッキリと分かりました。というの

は、なんとなんと、

 原告側の佐多と被告側の弁護士が握手をしている!

ホントにもう、こんな光景は私は見たことがありません。さらに、今度は裁判長に負けないくらいの不敵な顔つきになったアンリ。実にこの法廷に登場

してから、@明るい、A悲しげ、B怖い、C不敵と、4つもの表情をたった数分の間で見せてくれているアンリ。その4つ目の表情、不敵な顔のまま、

ミサに向かって言います。「死んじゃいなさいよ、お姉ちゃん。そうすれば、楽になるわ。さあ!」 しかも、実の姉に向かってナイフを差し出すという恐

ろしさ・・・。「死んじゃう前に1つ教えて、お姉ちゃん。お姉ちゃんは一体何のために、何を生きる望みにしてきたの?」 「パパとママ、元通りに・・・。

みんなで・・・もう一度・・・みんなで静かに暮らせる日を・・・約束を・・・アンリとの約束を・・・守りたかった・・・。」 度重なる取調べと吊るし上げですっ

かり憔悴してしまったミサ。それでも、自分の気持ちを必死にアンリに訴えております。「約束?」 さあ、もうすでにアンリから渡されたナイフが、ミサ

の首の先まで来ております。ミサ絶体絶命のピンチ! ところが、今のアンリの一言でナイフがピタッと止まりました。「あの時、この場所で、私とアン

リは大事な約束をした。それを覚えてないの!?」 ここで言う「この場所」というのは、例の2年前にシンイチの記憶を消したあの橋の上のことです。

実はここのシーンでは、その2年前と現在とが入り混じって出てきています。なので、テレビを見ている人じゃないと、「この場所」というのが分からな

いと思うので、このように補足させてもらいました。とにかくこれで、

 「お前はアンリじゃないわ!」

と、目の前にいるのが偽者だと悟ったミサ。そしてなぜかここで突然、女の子の人形が倒れるシーンが一瞬現われました。この人形、実は、前半で

両腕を変な方向に曲げた男がミサに襲いかかった時に出ていた、あの人形であります。さあそれと同時に、まるで地震が起きたかのように、館内が

大きく揺れ始めました。慌てる佐多、弁護士、陪審員達・・・。そして、「法廷侮辱罪だ! ただちに火あぶりにしろ!」と動揺し出す裁判長。これは、

今のこの罠を打ち破る絶好のチャンス! ミサはすかさず呪文を唱えます。「アーサーザー、ナーサーザー、プライシス。アーサーザー、ナーサー

ザー、プライシス。アーサーザー、ナーサーザー、プライシス・・・」 先ほど佐多に言われてやった時は、逆十字の紋章でまったく通用しなかった呪文

も、今は正常に使えて効いております。「やめろ! すぐにやめさせろ!」 さらに動揺を増す裁判長。しかしミサは、かまわず呪文を唱え続けます。

そしてその呪文が一通り終わり、館内に強烈な光が差し込んできました。その光に目をくらます佐多、弁護士、陪審員達・・・。さらにここでついに、黒

ずくめをしていた裁判長の被り物がとれ、顔がハッキリと見えました。ん?この女は・・・!?

 

さて、お待たせしましたと言うべきでしょうか? ようやくここで、画面が白黒から通常のカラーに戻りました。ミサも完全に敵の罠を打ち砕き、張り付

けの状態から抜け出しています。そして、今この場所は、奇妙な人形部屋・・・。なるほど、実際はずっとここにいて、幻の裁判を見せられていたとい

うわけですね。それにしても、おかしな人形がいっぱい上から吊るされています。おっとここで、ようやく今回の黒幕がこの部屋に入ってきました。

形の服装をした気味の悪い女・・・。やはりそうでした。両腕を曲げた男を操ってミサを襲い、さらに裁判長になりすまして一方的な魔女裁判

を企てたのも、すべてこの女の仕業だったわけです。その名はリツコ。いや、この際名前なんてどうでもいいですね。そんな私の思いが伝わったの

か、ミサもリツコに対して名前で呼ぼうとはしません。

 「人形使い。お前は3つの罪を犯した。1つ、私の心に土足で上がりこんだこと。

  2つ、パパとママをあざ笑ったこと。3つ、妹の・・・アンリの記憶を冒涜したこと!」

このミサのセリフの最中に、リツコの顔が何度か画面に出てきますが・・・うわぁ〜やはり気味の悪さを感じさせます。特に、目しか映らないドアップ画

面では、背筋が寒くなるような恐ろしさを感じました。しかし、恐ろしさとは裏腹に、言葉のほうはハイオクターブです。「ミサちゃーん、そんなに妹に会

いたい? なら教えてあげる。探してごらん。逆十字に祝福された楽園の門を。」 「楽園の・・・門??」 「そこが私たちの発祥の地。」 ここまでは

穏やかに話していたリツコ。しかし、ここから先は急に沈んだ低い声に変わります。裁判の時に出していた、あの低い声です。「ここで裁きを受けて死

ぬほうが、幸せだったものを・・・。お前を待っているのは、地獄だ。」 「裁きを受けるのはお前の方よ!」 ミサは短剣を使って、リツコの体をふっ飛

ばしました。あっけなく壁に叩きつけられたリツコ。って、おいおい、あんた堂々とミサの前にやってきたわりには、メチャクチャ弱いじゃんか・・・。こ

れってもしかして、エコエコアザラク始まって以来の最弱キャラかもしれません・・・。リツコは既に生気を失い、両腕を90度曲げたおかしな状態で、う

わ言のように「地獄だ・・・地獄だ・・・地獄だ・・・」とつぶやいております。その姿を見て、「人形??」と驚くミサ。その時、後ろから、あの再三出てきた

女の子の人形がミサを襲ってきました! しかし、とっさの所で短剣でその人形を刺し、返り討ちにしました。その一撃で、左目からダラダラと血を流

すその人形。

 「操っていたのはお前ね!」

と言って、ミサはその人形を刺されたままの状態から、そのまま床に叩きつけました。同時にリツコもバタッと倒れてしまいました。リツコも実は操

られていて、操っていたのは人形だったという、何ともあっけないオチであります。しかし、ミサはかつてこれほどまでにピンチに陥ったこと

があったでしょうか? それを考えると、やはり強敵だったのかもしれません。

 

ミサは、再びあの橋にやって来ました。そこで、アンリとの約束のことを、もう一度顧みるミサ。ミサとアンリの約束、それは、

 アンリがまたどこかで泣いていたら、ミサが必ず迎えにいく。

ということでした。あの2年前の思い出に、出来ればこのままもっと長く浸りたいミサでしたが、そうは言ってられません。アンリは敵に連れ去られてい

るわけで、まさに今この約束を果たす時。「エコエコアザラク、エコエコザメラク・・・」と再び旅に出るカッコいいミサを写しながら、第22話が終結。エ

ンディングへと移ります。

 

これで、この第22話はすべて終わりです。今回は話は、ある意味色々すごかったです。序盤は音声なしのスタート、ほとんどが白黒シーン、いまだ

かつてない強烈で尚且つ卑劣な罠、そしてそれを仕掛けていたのは、たかが人形というオチ・・・。異色で見ごたえのある回だったと思います。

さて次回からは、いよいよ最終回に向けてラストスパート、ANRIシリーズとなる3話分の話となります。では、また時間が出来たら書きたいと思いま

す。


インドア派の城に戻る