I love Rock'nRoll! 音楽観を変えた思い入れのある1枚 “この1曲”
- Music for the life, Flowers by the window. -




#1 ROCK N' ROLL LOVE LETTER DEDICATION/青春に捧げるメロディー』’76
「お待たせしました。これがローラーズから君たちへの愛のレター!」


日本の近代洋楽ポップカルチャーを 語る上で、私にとって BAYCITYROLLERS は特別な存在です。


BCR は1965年スコットランド エジンバラで アランデレクロングミュアー兄弟が中心となり結成、
地元クラブ等で精力的に活動を続け、70年にシングル「Keep on Dancing/朝まで踊ろう」で デビュー、
これが全英チャート9位のヒットを記録し 一躍 その名が知れる事になります。

74年 メンバーチェンジにより レスリーマッコーエンエリックフォークナースチュアートウッディウッドが加入、
その後も シングル全てを ヒットチャート上位に送り込み、同年 発表された1stアルバム『Rollin' /エジンバラの騎士』では
全英アルバム・チャート最高1位を獲得、この頃から全世界のティーンの間で人気に火が付き、
社会現象ともいえる BCR の快進撃が始まるのです。

日本で一般的に認識され始めたのは オリジナルメンバーのアランが脱退し イアンミッチェルが加入した
76年頃だと思います、そのイアンも僅か半年余りで脱退、新メンバー パットマッグリン に取って代わり、
タータン ハリケーン 吹き荒れるまっただ中、遂に待望の来日を果たします。

彼等が最初期に打ち出した音楽性は ジェントリーズやフォー・シーズンズ等のカバーでも知られるような、
ドゥーワップの流れを組む60年代ソフト・ロック、ティーンエイジ・ポップ路線の王道ともいえる
甘く切ない旋律が特徴的で、ローラーズといえば まず このイメージを抱く人も多いはず、
なので当時 彼等のファンだという男子は相当な勇気を強いられたのではないでしょうか?

かくいう私も その1人、自転車通学で田んぼのあぜ道を
タータンチェックのマフラーなびかせ さり気なく主張していました。(笑)

最初に手にしたレコードでもある76年発表の4thアルバム『DEDICATION/青春に捧げるメロディー』には、
I Only Want To Be With You/2人だけのデート」 「Money Honey」等、彼等の代表作となる
名曲が多数収録されており、今聞いても決して色褪せることのない至極のポップアルバムです。
中でもイントロのギターや、間奏のストリングスが印象的な「Rock N' Roll Love Letter」 は、
彼等の絶頂期を具現化した楽曲の1つではないでしょうか。 この曲はダリル・ホールと活動を共にした事もある
ティム・ムーアのカバ―で、オリジナルに比べ より 軽快なアレンジになっています。

晩年期にはアイドル路線から変更を図るも それ等は決して上手くいく事は無く、
様々な葛藤からか メンバー間の確執や音楽性の違いが表面化し 81年にひっそりと解散、
第二のビートルズとまで呼ばれた彼等にしては あまりにもあっけない終焉でした。
パンクやニューウェーブが台頭し始め、音楽界全体に大きな変革を齎した あの時世、
ローラーズが どう進もうが、そこに生き残る術を見出すことは難しかったのかも しれません。


70年代後半、世のティーンを凄まじい程の熱狂の渦に巻き込み、淡い幻影を残し去って行った
スーパーアイドルグループ “ベイ・シティ・ローラーズ” リリースから半世紀以上 経過した今も、
彼等が残した数々の名曲は、初恋の頃に似た 青春の甘酸っぱいテイストに満ち溢れています。