<個人山行報告>
−2007年7〜9月− ・キタダケソウを求めて
・リシリシナゲシを求めて
・写真で見る:礼文島
南アルプス聖岳
<山行報告>     
南アルプス:北岳▲3192.4m
 世界で北岳だけに咲く、キタダケソウを求めて日本第二の高峰:南アルプス北岳のお花畑へ!
日 時:2007年7月4日(水)〜7日(土):3泊4日     武藤:記
   7月4日(水):西大津(21時発)=名神(京都東)・中央(韮崎)

 7月5日(木):芦安駐車場:泊(3〜6時)(7:10バス)=広河原(8:11着)(8:30発)〜大樺沢二股〜小太郎尾根分岐〜北岳肩ノ小屋〜北岳山頂〜北岳山荘:泊(16:30着)(歩行:約8H)

7月6日(金):北岳山荘(7:00)〜北岳吊り尾根〜北岳山頂〜肩ノ小屋〜小太郎尾根分 岐〜大樺沢二股〜(14:00着)〜広河原(16:00バス)=芦安温泉泊 (歩行:約6H)

7月7日(土):芦安温泉=中央:韮崎IC=天竜峡温泉=名神:彦根IC=西大津
 7月5日〜6日の梅雨の晴れ間に、南アルプス:北岳(3193m)にキタダケソウを見に行ってきました!このキタダケソウは、世界でも日本第二の高峰、北岳の山頂付近にだけ咲く貴重で珍しい花です!花期も6月中旬〜7月初旬と天候が不順な時期で標高も高く幸運に恵まれないと、なかなか見られません! 
 何故かこのキタダケソウは、白い石灰岩の大岩の付近しか咲かない様です!この石灰岩は南太平洋イースター島付近の海底で作られ百万年前からの地殻変動で隆起、移動し北岳の山頂に押し出された様で氷河期、北方の大陸からやって来た花とが出会い此処だけに見られる不思議な花です!

キタダケソウ
 7月4日(水)天気予報を見ると南アルプス市の天気が5〜6日に掛け晴れの予報!
急遽、夕食後自宅で仮眠を取り21時に車で出発。
7月5日(木)3時前に夜叉神峠手前の芦安温泉駐車場で車を止められ車内で6時半頃迄仮眠、7時10分発の広河原行きのバスに乗り8時11分着、8時半歩き始める。
 広河原山荘で登山届けを書き大樺沢二股に向かう。大樺沢の雪渓に入る今年の北岳は春先に雪が降り、例年になく雪が多いとの事。軽アイゼンは持参してきたが大樺沢の雪渓以外、雪上を歩くこともなくアイゼンは全く使用する事はなかった。!
 10:40大樺沢二股から急登となるが左側に八本歯の雪渓を眺めながら花も多くなり写真を撮りながら、ゆっくりと登るが久しぶりに背負う10K近い荷物が高度が上がるごとに堪える!小太郎尾根の分岐付近には残雪が多く残り、雪の端を巻くように登ると稜線に出る。ここからは視界が開け回りの山々が見え始めハクサンイチゲ等の高山植物が足元の両側に拡がり眼を楽しませる。正面には北岳も望め快適な歩きとなる。
 14:25北岳肩の小屋に到着、この辺りにキタダケソウを小屋の人が育てているお花畑が有るようだが残雪に埋まっている様だ。当初はここに泊まる予定だったが時間も早く明日の事を考え北岳山荘まで足を延ばす事にする。
 北岳山頂に15:30到着、40年振りに訪れた山頂でしばし感激に浸る!ここからの眺めは素晴らしく正面に未踏の富士山・左回りに鳳凰三山・甲斐駒ヶ岳・仙丈岳・塩見岳・間の岳等、以前登った山々が懐かしく見える!眼下に北岳山荘が、そして遠く中央アルプス・北アルプスの山々まで360度の展望を楽しむ!

北岳肩の小屋

甲斐駒ヶ岳

間の岳・右後方塩見岳を望む

北岳山頂にて

ハクサンイチゲ

キタダケソウ
 キタダケソウの咲くと言う吊り尾根分岐から大岩付近に向かうが、どれがキタダケソウか解らない位ハクサンイチゲが群生している。この花がキタダケソウかと想う花を写真に撮り、北岳山荘に向かう。山荘前は入り口が解り難い位、残雪が有り、雪の上を歩いて山荘に16:30頃入る。小屋は10人位の宿泊者だけと少なく、殆どの人がキタダケソウ目当てに登ってきている!
 小屋の前は入り口が分かり難い程の残雪があるが飲料水だけで顔や手を洗う水は無い。部屋からは富士山が望め1部屋3人だけの快適な空間である。食事もご飯が山小屋とは想えない位美味しい、まずまずの夕食を済まし早々と寝る!

 7月6日(金)5時半朝食、7時の出発まで寝床に潜り込む、今日は昨日調べたキタダケソウの咲く場所を探し、写真を撮り下山するだけだ。今朝は昨日と異なり霧が濃く景色は望めないが花の写真だけなら問題はない。朝食時に他の登山者から得た情報を元に花を探しながら歩くがハクサンイチゲだけでキタダケソウがなかなか見つからない。やっと大岩の辺りでキタダケソウを見つけ写真を撮るが盛りは少し過ぎた花が多い。吊り尾根分岐まで戻ると強風で夫婦連れの二人が風を避け避難している。聞くと肩の小屋から登ってきたようだが霧と風で引き返すか迷っているようだ。

イワウメ

キタダケソウ

コイワカガミ

タカネザクラ
 二人と別れ北岳山頂を越え稜線上を戻るが風も強く景色も見えないので下山は早い。小太郎尾根から大樺沢二股までの道程は、風も無く花を眺めながら、のんびり下山。新しい靴の為、足の指が痛くなり何度か靴ひもを締め直し靴擦れに気を付けながらのゆっくり下山だが14時頃、広河原のバス亭に無事到着、16時のバスで芦安温泉に戻り宿を取り温泉で汗と疲れを取り長年の念願だったキタダケソウの山旅を無事終える。
日本百名山:利尻岳(1721m)
リシリシナゲシを求めて
日 時:2007年7月20日(土)〜27日(金)7泊8日
・20日(金):西大津(21:30)=敦賀港(23:30)
・21日(土):敦賀港(1:15発)=苫小牧港(22:30着)=東横イン札幌北口:泊
・22日(日):東横イン(5:30)=稚内(12:30)=稚内港(15:30)=レンタカーで島内一周=鷲泊港(17:30)=
        宿・宝生丸:泊
・23日(月):(4時半出発)・歩行:約9:30(登り5:00)〜(下り 4:30)宿(送迎)=三合目登山口〜甘露水〜
        第一見晴台・六合目〜第二見晴台〜長官山〜沓形分岐〜利尻岳山頂(北峰)〜沓形分岐〜
        長官山〜第二見晴台〜第一見晴台 〜甘露水 〜登山口=利尻温泉=(送迎)宿宝生丸:泊
・24日(火):宿宝生丸(送迎)=鷲泊港(10:05)=礼文島(10:45)〜(17:25)=稚内(19:20)
・25日(水):稚内(5:30)=旭川(12:00)=美瑛観光=吹上温泉:白銀荘泊
・26日(木):吹上温泉(6:00)=富良野山(往復)=苫小牧港(23:40発)
・27日(金):敦賀港(20:30着)=西大津(22:30)
・利尻岳登山:23日(月)晴れ
コース(歩行:約9時間)
 三合目登山口〜(0:10)甘露水〜(1:15)第一見晴台・六合目〜(1:10)第二見晴台〜(0:40)長官山〜(1:45)沓形分岐〜(0:30)利尻岳山頂(北峰)〜(0:25)沓形分岐〜(1:00)長官山〜(0:25)第二見晴台〜(0:55)第一見晴台 〜(0:45)甘露水〜(0:10)登山口=利尻温泉

 前日、利尻島に到着、レンタカーで島内を一周、雲が厚く利尻岳は時々顔を出すだけだ!登山口を確認し車を返却後、宿(宝生丸)の車が迎えに来る。
 この時期に咲く、リシリシナゲシが宿の前の手作りの花壇に咲いている!聞くとこの辺りに飛んできたシナゲシの花の種を捲き繁殖させているそうだ?一寸、拍子抜けだが黄色の可憐な花で島では、このシナゲシを育て絶滅しそうな利尻岳に戻そうと努力しているが、利尻山頂付近の崩壊が激しく又自然環境も厳しくなかなか難しい様だ!
  夜食は、さすが漁師の宿、生きたウニの殻を割った物、生ウニ、焼きウニ、鍋ごとのウニの吸い物とウニづくしの料理&一品料理が数点並ぶ豪華版だが宿泊費は信じられない安さである!生ビールを3杯も飲んでしまう、最後は残ったウニをご飯に載せウニドンブリにして終了!食べ過ぎ飲み過ぎに明日の登山が心配になる?

夕食膳

殻付き生ウニ

焼きウニ

ウニの吸い物鍋
 朝4時半おにぎりを作ってもらい宿の車で鷲泊登山口へ登山届けを書き5時登山開始。歩き始めて甘露水の分岐を過ぎ半時間位で先程歩き始めた女性二人を抜き樹林帯の中を進むと標高300m位で海上を覆っている雲の上に出る。ここから上は雲もなく景色が楽しめそうだ!昨日コンビニで仕入れた弁当を朝食に休憩している処に先程の女性二人が到着、二人は京都と大阪の人で以前私が勤めていた会社と関連有る会社に勤めていた!
 朝食を済ませ、先に歩き始める。しばらくするとダケカンバのトンネルの中を登山道が続く、このダケカンバのトンネルが長く又、木の枝が低いのでやたらと頭をぶつけるので閉口した。途中、御夫婦のガイド連れを抜き長官山手前の尾根筋に出る頃から視界が開け休憩している人達も多く見られる。賑やかな若者7・8人のグループ、親子3代(祖父母・父母・子供2人)の6人(お祖父さんがリーダーで歳は私位か?)元気なお母さんで長男が小学3年の時、奥穂高に一緒に登った記念の写真をテレホンカードにしているのを見せてくれる。ここで初めて利尻山をバックに写真を撮ってもらい先に歩き始める。ここから花が多くなり、エゾノコギリソウ、イブキトラノオ、ゴゼンタチバナ、アズマギク、チシマフウロ、オトギリソウ、エゾツツジ、ホソバツメクサ等多くの花が登山道の脇を飾る!

エゾノコギリソウ

アズマギク

チシマフウロ

ホソバツメクサ
 長官山から9合目上部に赤茶けた崩壊の激しい登山道が避難小屋の向こうに見える。いよいよ最後の登りだが、ここからは2時間行程で疲れた足に滑りやすい火山岩のゴロゴロした急坂は堪える!登山道の脇にロープが張られているが危なくて便りには出来ない!山頂に近づくと急にお花畑が拡がり、エゾツツジの濃いピンクの可憐な花(10cm位の高さで花は1〜2輪)の群落が目立ち綺麗だ!
 9時45分に山頂到着、狭い山頂部に社が建ち、北峰から南峰に続く道はロープが張られ通行止め右側は崩壊が激しく右前方にローソク岩がそそり立つ。
 左側には、お花畑が拡がり利尻岳だけに咲く、ボタンキンバイの群落が、そして足元にリシリリンドウが数株咲いている!
 しかし此処までリシリシナゲシを見た人がいるか聞いたが誰もいない!登山口の案内人は避難小屋付近に数株咲いていると言っていたが?       
やはり日本で唯一の野生のケシを見るのは、幻に終わるのかと想うと少し残念だ!

ローソク岩(手前崩壊部分)

エゾツツジの群落

ボタンキンバイの群落

ボタンキンバイ

リシリリンドウ
 山頂で少し早い昼食、宿で作ってもらったオニギリを出すと15cm位のとてつもなく大きなオニギリが一つ、岩海苔(貴重な利尻産の岩海苔らしい)が巻かれ中にウニがタップリ入っているのに又驚く!回りの人達も羨ましがるが大きすぎて食べきれず残してしまう!ごめんなさい!
 利尻山頂は風もなく1時間位ゆっくりする。先程の三世代の下の子供がお母さんの膝枕で可愛いい寝息をたてている!山頂は20人位が座ると一杯となり押し出される様に下山を始める。下りは登りより火山岩のゴロゴロに気を遣うが滑り右肘を擦り剥く!急坂を2/3程下った処で先程の女性二人が1時間半以上遅れで登ってくる!
        利尻山頂にて(巨大なオニギリを手に)


野生のリシリシナゲシ
 東京から来たと言う男性二人連れと避難小屋と長官山の中間点で休憩、ガレ場から吹き上がる涼風を受け休んでいる時、一人がガレ場の下の方に黄色い花が咲いていると声をあげる、良く見るとリシリシナゲシだ!急いでカメラを取り出しロープを越えガレ場の草付きを注意深く下りカメラを構えるがシナゲシの咲いている場所が崖の駆け上がりで近づけない!ズームを一杯にして撮るが旨く撮れているだろうか?そこに外人の人が来て私の姿を見て「クレージー」と叫ぶ! 崖の上に咲くリシリシナゲシ念願の野生のリシリシナゲシが見られラッキーだ!
 下りはダケカンバのトンネルも目線になり頭をぶつける事はないが潜り抜けるのが結構辛い!このトンネルを抜けてからは快適な道となり甘露水に到着、空のポリに甘露水を入れ無事下山!
 利尻温泉まで整備された遊歩道を歩き温泉に入る。先程転んで擦り剥いた傷が痛むが汗と疲れを取り着替えサッパリし宿からの迎えの車を待つ。
 今晩も又、ウニづくしの料理&冷えた生ビールを飲みながら食堂の窓から見える利尻岳の雄姿を眺め登頂の喜びを噛みしめる!しかし利尻は遠い天候に恵まれ念願の登頂&リシリシナゲシに会えた事を感謝し寝床に着く!明日は礼文島ドライブ&ハイクだ!
 最後に、お世話になった「宿宝生丸」様にお礼を!車の送迎&リシリシナゲシの種を有り難う御座いました!
来年、滋賀県にリシリシナゲシが咲きましたら連絡致します!
 尚、「宿 宝生丸」は、今年10月から「ホテル雲丹御殿」としてリニューアル予定です!
 HPアドレス:http://www11.plala.or.jp/yado-housei/ まだ、工事中の様です!
写真で見る: 礼文島ドライブ&ハイク
24日(火):快晴
 コース:利尻島(鷲泊港)=礼文島(香深港)=スコトン岬=澄海岬=高山植物園=地蔵岩=桃岩展望台〜元地灯台(往復ハイク)=香深港=稚内港=稚内温泉:車内泊

 礼文島ドライブ&ハイクは、雲一つ無い快晴で紺碧の空の色を映した海の色が素晴らしく綺麗でした!
・スコトン岬では、珍しいゴマフアザラシまで見られたのは幸運でした!
・初めて見る遅咲きのレブンアツモリソウは、白く想像以上に可憐で可愛い花でした!
・礼文島から見る利尻富士は、まさに洋上のアルプスでした!

フェリーから利尻岳を望む

スコトン岬のゴマフアザラシ

澄海岬

レブンアツモリソウ

礼文から利尻岳を望む:1

礼文から利尻岳を望む:2
<個人山行>
南アルプス:聖岳
2007・7・28〜29晴れ
 仕事の都合で例会の北岳に参加できず、イライラしていたところに、知り合いから「聖岳」への誘いを受け、前回、小聖までしか行けていないし何時かは・・と思っていましたので 二つ返事で同行することにしました。
7/27
 夜出発:夜道をひたすら便が島登山口「聖光小屋P」に。
 12:00到着。テントにて仮眠

7/28 AM6:00聖平小屋に向け出発・西沢渡で川渡り、荷渡しは新調されていました。
 11:30 聖小屋手前の聖岳との分岐に到着。
聖から下山してきた人の情報だと上はガスと強風との事。登頂は明日にする事に。
 11:40 聖平小屋に到着。ここで明日までタップリ時間がある。小屋は建て増しされていた。トイレも建て替えられて水洗トイレ。綺麗で人気も良かった。最近はどの小屋も水洗化しているようです。

7/29
 5:00  聖に向けて出発。天気はまずまずの晴れ。小聖までは前回歩いているので再びのお邪魔です。
小聖からの展望は、抜群、聖岳がそびえています。
 7:30 少しのアップダウンを繰り返した後、聖岳へのジクザグの登りです。待望の聖岳に到着。バンザ〜イ。
ガスの切れ間から360度の展望です。
 8:00 下山開始。標高差2000メートルを一気に降りることに・・・
13:00  聖光小屋Pに到着。足がかなり疲れていました。歳を感じました。
              やまもと記

写真は聖に続く稜線