<個人山行記録>
2005年07月〜09月     ・八経ヶ岳〜行者還岳 ・至仏山 ・燧ヶ岳
<個人山行>  記録と感想
    日本百名山  八経ヶ岳       
2005−7−15,16
参加者:武藤、菅、岡、正木、中西
 (初日)
  行者還トンネル西口―弥山小屋―八経ケ岳―弥山小屋(泊)
 (二日目)
  弥山小屋―行者還岳―行者還トンネル西口

 満足度の高い余韻がいつまでも残っているので思いを綴っておきたくなった。
 年間雨量では屈指の大峰山、しかも梅雨明け宣言もなく予報もすっきりしない日程であったにもかかわらず両日とも晴れであった。 かなり以前のことであるが大台ケ原や山上ケ岳に登った時はいずれも雨具装着が記憶に残っているだけに坊主丸儲けの思いである。
 朝7:00事務所出発も登山口(行者トンネル西口)スタートは11:10(標高約900M)いかにも遠く運転して下さった武藤さんの前でくたばったら申し訳ないといつも以上に自分に気合を入れてのスタートであった。
 概に陽は真上にありひぐらし蝉の大合奏の中かなり急登が続いたが12:24稜線の大峰奥駆道出合に出た、かなりキツイ思いがした。 ここで昼食。
 12:50再スタート穏やかなアップダウンを繰り返し弁天の森13:10弥山小屋に14:40(標高1895M)に到着、アキアカネトンボが乱舞していた、小屋の主人が「このトンボが飛び交えば梅雨明けです」と長年の経験を披露している。どうりで快晴である。
 小屋に荷物を置き14:55大峰最高峰である八経ケ岳へ向かった。杉苔が一面に鮮やかな緑と柔らかさで見送って呉れる中、ところどころにオオヤマレンゲを鹿から護る柵に入ったり出たり....。
 柵のなかではいつも生まれて初めて知る花でもあるがオオヤマレンゲの白い玉子のような蕾と今が盛りとヒトデのようにバッチリ咲いた顔を見せて呉れた。フアンであった新珠美千代をおもいだした。

オオヤマレンゲ

八経ヶ岳山頂にて
 やがて15:40八経ケ岳(1915M)に到着幾重にも連なる大峰山の峰峰が展望できた。16:30小屋に帰着。
 小屋は200名収容可能のところ、三連休の前日でしかも天気予報からの不安からかガラガラである。通常30余名程が寝るであろう部屋に我々5人と単独行の女性2名、夫婦ずれ一組、計9人であった。
 小屋も大きく新しく、トイレは特に清潔であった、17:00からの夕食ご、長い夜のひと時星を眺めに外に出ると涼みも良く満天の星、飛行機もあちこち、教えられて観るとなんと人工衛星が幾つも(人工衛星は一つ、二つ?一台、二台?...)ゆったりとしたスピードで横切って行くのが見え感激。
(2日目)
 4:30分頃日の出を拝みに、真に好天を補償する見事な朝日でした、6:45昨日の尾根を経て行者還岳を目指してスタート。 昨日感激した杉苔に加え高さ10〜20センチの小笹の群生、これまた柔らかくやさしい緑のフアフア絨毯のよう。
 8:17昨日登って来た分岐に到着。更に行者還岳を目指して尾根道を行くと目の前を一匹のリスが姿を見せて呉れた、9:13トンネル西口へのもう一つの下り道の分岐に到着。気持ちの良い穏やかなアップダウンの続く尾根道である、バイケソウ(?)の群生があちらこちら、やがて10:52行者還の宿という無人小屋(ログハウス調でまだ新しい大きな小屋)に到着、いよいよ今回最後の急登、行者還岳の直下に来ると4〜50名のユニホームを整えた修験者達が下って来て、道を開けてしばらく修験道の山の雰囲気をあじあう、最後のひとふんばり最終目標三つ目の峰、行者還岳に10:52到着。

行者還から下山してくる、修験者

行者還岳・山頂にて
 一息入れてから行者還の宿まで戻ったところで、各自残りものを出し合っての昼食(11:22〜11:47)哀調のある声ではなく少しかすれ気味に聞こえるヒグラシの合奏、恐らく先程の修験者達の吹くものであろう法螺貝の響き、時折吹く涼しい風、おまけにひと声、ふた声うぐいすの鳴き声に送られて下山道へ。
 トンネル西口には我々が登った弥山への最短道と行者還岳への最短度とがあり、下りは後者を選んで下るべくその分岐に12:30到着、そこから稀に見る急坂(恐らく登りには利用したくない程で修験者の専用道とも思い度くなる)を頑張り13:15無事下山完了。
 2日間よく歩いたが見るもの、楽しむものの多かった山行であった、帰路天川村で入った温泉はカルシュウムたっぷりでまるで鍾乳洞のように浴槽の木が常時流れ放しの湯のカルシュウムでたっぷり幾重にも覆われておりいかにも効能多い気分にさせてくれました、満足でした。
    修験者の足 急がせる ひぐらし奏で
   トンボ 飛び交う 大峰山   
    梅雨明け 知らせる 法螺貝響                       
                                             記:中 西
尾瀬・至仏山(日本百名山)
7月22日 曇り
・毎年恒例のOB会に併せ、尾瀬百名山(至仏山&燧ヶ岳)の山旅のコースを計画。
・コース:戸倉=鳩待峠〜至仏山〜尾瀬ヶ原〜燧ヶ岳〜御池ロッジ(OB会に合流)
 この山旅に旅行社のツアー参加を計画していた、正木・井戸口さんと本田さんが参加。3人は、御池ロッジで別れた後、会津駒ヶ岳に登り帰宅。

・日程:
 21日:西大津=東京=沼田=戸倉(ロッジ長蔵・泊)
 22日:ロッジ長蔵=鳩待峠〜小至仏山〜至仏山〜山の鼻〜尾瀬ヶ原
     (第二長蔵小屋)
 23日:第二長蔵小屋〜(見晴新道)〜柴安嵩〜俎嵩〜熊沢田代〜広沢田代
     〜尾瀬御池御池ロッジ・泊(OB会に合流・3人とは、ここで別れる)
 24日:御池ロッジ=尾瀬沼山峠〜沼山峠〜大江湿原〜三平下〜沼尻平〜
     大江湿原〜沼山峠〜尾瀬沼山峠=御池ロッジ=高杖高原セミナーハウス・泊
 25日:高杖高原セミナーハウス=前沢曲屋=木賊温泉=会津高原駅=浅草=
     東京=西大津
                                     記:武 藤
 前日、ロッジ長蔵に宿泊、平日の為、宿泊者が少なく一人で部屋を使用。夕食には、各自に岩魚の串焼きが付く等なかなか豪勢である。東北からの団体さんがおり、食事中から歓談が続き東北の山の見所を聞く。秋田駒ヶ岳の千沼ヶ原が良いとの事。夏合宿時に寄る事に決める。
 朝食後ロッジの前で女将さん達と記念写真を撮り、ロッジで手配してくれたタクシーに乗り込み鳩待峠に到着。女将さんは、「尾瀬の自然を守る会」を結成、尾瀬の自然保護運動に力を注いだ、故:三代目平野長靖(ちょうせい)の奥さんでロッジの小屋主でもある。
 今日の天気は、曇りで少々肌寒い!準備を整え、歩き始める。最初は、クマザサの中の緩やかな道で有るが1866.9mのピークに向かい急登になる。高度が上がると霧が次第に濃くなり景色は期待できない。しかし、さすが花の百名山だけある、道端に色々と花が咲き乱れている。ピークを過ぎると小湿原が現れ道の脇に残雪が見える。
 お花畑だ、今日は、花を楽しむ事にする。初めて知る花も多くタカネシュロソウ・タカネアオヤギソウ・ウラジロヨウラク・タカネバラ・コマノツメ(至仏山の蛇紋岩地に生える)等、花博士の正木さん、本田さんがおり、大助かりでした。

タカネシュロソウ

タカネアオヤギソウ

タカネバラ

至仏山山頂にて

ウラジロヨウラク

トキソウ

ヒツジグサ
 しかし小至仏山付近から至仏山の下りにかけ至仏山の蛇紋岩は、濡れた泥を付けた靴底が滑りやすく危ない!大部以前になるが「比良雪稜会」の例会山行時、蛇紋岩上で滑り転倒、手首を骨折した人がいたとの事で、岩の角は丸く滑りやすく緊張する。
 至仏山頂上に11時半頃に到着、やはり山頂には人が多い我々も座る場所を確保、早めの昼食にする。本来、晴れていれば、360度の大パノラマが望めるはずだが霧が濃く何も見えない。写真を撮り、昼食もそこそこに寒くならない内に下山する事に。
特に、ウラジロヨウラクは、水滴を付けた濃いピンク色の花と緑の葉のコントラストが可憐で美しく見とれてしまう!また、見慣れた花も多く、ダイモンジソウ・ハクサンシャクナゲ・マイズルソウ・イワイチョウ・コバイケソウ・シナノキンバイ・ハクサンイチゲ・チングルマ等、途中オヤマ沢の水場を挟んで小至仏山迄の間、景色は見えなくとも花を愛でながらの楽しい山歩が続く!
尾瀬ヶ原が見え出すと霧が晴れ、ニッコウキスゲの群落が見えてくる。蛇紋岩帯を無事通過、尾瀬ヶ原に入る直前で、滑り止めの横棒が取れた木道で滑り、嫌と言うほどに尻餅を付く!大丈夫ですかと言われ仕方なく痛くない振りをして歩き出す!
 尾瀬ヶ原は、ニッコウキスゲ・トキソウ・サワラン・ヒツジグサ・モウセンゴケ等の湿原植物が咲き誇っている!上田代・中田代・下田代と尾瀬ヶ原の湿原には、ニッコウキスゲの大群落が、この時期に尾瀬に来られた事を感謝!今日の宿、第二長蔵小屋に入る。
 風呂に入り、食事も取り、ゆっくりした後、日も未だあり、小屋の周辺の湿原をのんびりと散策! 尾瀬の第一日目は、山の景色は、別にして花*花巡りの素晴らしい山旅でした!

モウセンゴケの花


ニッコウキスゲの大群落をバックに
尾瀬 燧ケ岳(日本百名山)      
7月23日 晴れ 
 燧ケ岳を目指す組では一番遅いスタートだったと思う。昨日と違い、よいお天気に足取りも軽く、武藤さんは次々と先行していた人たちを抜いていく。樹林帯を抜ける頃からは、ハイマツのなかにあちらこちらとハクサンシャクナゲが今を盛りとこぼれんばかりに咲いているのが眼に飛び込んでくる。昨日は尾瀬ヶ原一帯に広がる満開のニッコーキスゲを堪能し、今日はシャクナゲと、花尽くしに急登の苦しさも忘れさせられる。途中で振り返れば、昨日、歩いた尾瀬ヶ原の木道が伸び、その向こうには至仏岳山がどっしりと鎮座している。

山頂から尾瀬沼を展望

熊沢田代の風景
 最高峰の柴安ーの頂上からの360度の展望がまた素晴らしい。平ヶ岳、越後三山、明日に登る予定の会津駒ケ岳も目の前に見え、期待も自然に高まる。眼下には樹林の中に青い尾瀬沼が眺められる。その遠く後ろには、日光白根山、武尊山が控えている。山の名前を確認しながら頭に入れていく。
  パノラマを満喫した後に軽くお腹に入れ、一度鞍部に下って俎ーへ登り返すが、ピークまで思ったほど時間がかからなかった。ここでも少しの間、展望を楽しんだ後、尾瀬御池に向かい下山開始。途中、谷間に長い雪渓が残っていて、慎重に下っていくが、滑りそうになってヒヤッとすることも・・・    
無事雪渓を下りてほっとする。樹林帯を下っているとガーガーと聞きなれない鳴き声が・・見ると2,3メートル先の枯れ木のてっぺんに黒地に白いマダラ模様のホシガラスがとまっている。クリッとした目まではっきり見え、胸が躍る。その姿を武藤さんのカメラに納められなかったのが残念でした。 
 いつまでもこの場所に留まっていたい気持ちだが、もう武藤さんと本田さんは池塘のところで休んでおられるので、そうのんびりも出来そうに無いのが残念だ。 
 そして、池塘の側のベンチに腰をおろし、心地よい風に、池塘に映る青空と白い綿雲を眺めながらの素適な昼食タイム。そこに足を痛めた男の人が下りてこられ救援を待つことになったと話される。幸い、木道の整備をしていた人が連絡のために先に下山されて行った。私達が歩き始めてしばらくすると、救援機が来るのが見えてほっとする。            

広沢田代

ワタスゲの中の私達
 急な道を下がっていくと、また池塘が点在する広沢田代に着く。ここでもしばらくの間、お茶を飲みながら、のんびりと気持ちよく過ごす。あともう少し下っていくとやがて、樹林帯が切れると目の前には白い木道が真ん中に伸びたゆるやか草原が広がり、鞍部には木道を挟んで池塘が二つあるのも眼に入ってくる。熊沢田代だ。斜面の一部にはワタスゲが青空をバックに風にそよいでいる。足元に眼をやると姫シャクナゲの群落がある。盛りを過ぎているものの咲き残りのお花も可愛い。そして草原一帯にキンコウカのツボミが見られ、1,2週間後には黄色の絨毯で埋め尽くされるのが容易に想像できる。
 今日のゴールである尾瀬御池である。ここで武藤さんとは、OB会が開かれている御池ロッジへ向かわれるためにお別れです。至仏山と燧ケ岳と2日間ご一緒でしたが、明日の会津駒ケ岳へはか弱き女性三人だけの山歩きです。間違えやすい所など事前に教えていただきました。
                                           記:正 木