本文へジャンプする

ぬくもり通信 No48

98歳の義母の毎日を通して・・・ご利用者のご家族様から・・・

 

自分でやっている事ができなくなる日が、いつ来るのか?入院と転倒さえ予防できれば、長い自立の日々を自分のものにできるのか?
家族は何を、どの程度介助することがよいのか・・・。私の実践の日々が、いつの頃からか始まりました。時間がかかっても自分でやりとげる、昨日できたことは今日も、先月できたことは今月も、去年できたことは今年もきっと大丈夫と背後で見守りました。
元来の落ち着いた行動と用心深さが、長い月日、転倒を寄せ付けず、34年4ヶ月の同居生活で、一度も入院することはありませんでした。
98歳を迎えた日々も、運動靴にバギーで買い物、道路そばの庭の花に足を止め横断歩道を渡ってしっかり前進。遠くから見て安心していました。好きな食物を手にとって、買うことを決め支払いも一人で大丈夫でした。包丁をたくみに使い桃や梨の皮をむくだけではなく、電子レンジ・トースター・電磁器具の使用もみごとでした。「これ(炊飯器)で私だけのごはん炊いていいの?」思いっきり軟らかいご飯も一食分ずつ冷凍できていましたね。「自分の歯が半分しかないから噛めない」と言いながら、ひとくち40回を、私は数えていました。
食事用のお盆に夕食をのせ、ドアの前では左手でお盆を持ち、右手でドアを開け、キッチンのスイッチも毎日忘れずに消しました。
私の思っていた通り、毎日毎日の積み重ねが、休むことなく動かす手足とささいな事も決断する頭脳が98歳を堂々と生ききったと思います。不安だった入浴介助を、ぬくもりのヘルパーさんにお願いして一年、朝から掃除を行い、ヘルパーさんを待ち楽しい語らいもできました。私は今、整理された部屋で、最期まで潔く自分らしく、長い月日を自立していた義母をふり返っています。(こすもす記)