買いそびれた理由 Panasonic RX-DT8/9

高校を卒業する前、就職祝いに何か現地へ持って行くモノはあるかと親に訊かれた時、思い浮かんだブツが2つあった。
ひとつがMSXパソコン、もうひとつがPanasonicのRX-DT8か9だった。そうゲーム音楽の録音マニアだったのだ(後にライブ録音が+)。
出来合いのCDをベタコピーする人には必要ないが、自主制作には欠かせないレコーダーの機能、それが録音レベルの調整だった。

当時、知ってる範囲で録音レベルが調整できるのはアイワのシュトラッサー(型番失念)、ソニーのCFD-900(だと思う)、そしてこのDT8
か9。うち前者2機種は店に入荷が無く、パス*。DT9の在庫はあったが・・・ここで思い直した。「もうちょっと我慢すれば、そのうちボタン
一発で徐々に音量を上げ下げする機能もきっと付くのでわ?」と。結局、買って貰うのは新品のスーツだけにし、MSXは自分で稼いで
から揃えることにした。
 
*全国でも一・二位を争う低所得水準な郷里だったこともあり、ナショナル系列以外のハイエンド商品は、ほとんど取り寄せだった。


これが失敗だった。このDT8/9を最後に、手動によるREC LEVEL調整機能は省かれてしまったからだ。親に借金してでも買っておくべき
だったか? いや、ウチ貧乏だったしそれは無理だったろう。

そんなこんなで、その後録音メディアをDATに移行した際、REC LEVELをいじれるデッキ(選択肢は決して多くなかったが)を晴れて購入、
念願の録音編集が可能になり、録音機としてのラジカセは必要なくなった。今持っているのは、そんな判断を誤って悔しい思いしたのを
忘れないための、自戒の意味合いが強い(買い物に限ったことではなく)。

そんな今でも、DATを使うほどではない"チョイ録"には、部屋の片隅にあるコイツをドッコイショしてREC LEVELを弄ることが、結構ある。



RX-DT9の概観。今思い出したが、購入を見送った理由がもうひとつあった。それは、下位機種であるDT7の方が
スピーカー レイアウトに無理のない、スタイリッシュなデザインだったことだ。





この、とりあえず一通りのことは大抵できそうなゴテゴテ感がたまらん
(できそうな”だけ”では悲しいが、実際 当時一般に要求されたであろう大抵の機能は揃っている)。
今回は、グライコ側のバックライトが球切れ中なので直してやることにする。




裏ネジを外し、カセット蓋は開けた状態にして引っ張る。ポロッと取れたのが因縁のREC LEVEL 調整ノブ。




主要メカのほとんどは、このような引き出し状のフレームにマウントされており・・・




コネクタ類を外せば、あとはどっこいしょ、と引っ張るだけで簡単にメンテに移行できるようになっている。
ここで注意点を少々。①バックライトの上にあるキー類を外す際は、ユニット群裏側の基板をまず外してからでないと難儀する。
②チューナー基板の、アンテナへ行くケーブルのコネクタは小さく、忘れたまま引っ張ってしまうと基板から浮いてしまう。
③組み上げる時、スライドボリュームと、そのツマミとの位置合わせをしておかないと、手応えがなく分解し直すハメになる。





当時のパナ製ラジカセの構造的欠陥の中に、リーフスイッチの接点不良(カセットを認識しなくなる)と、このギヤ欠けがある。
勝手にリバース→停止の原因がこれだった。修理に出すより類似機のジャンクからかっさらってきた方が早いのでそうした。
時は金なり。




先人が手を入れた形跡がある。ということは二度切れたのか。




直径、長さ、要求電圧 共々
純正品より大きめだが、これしかなかったので無理矢理換装する。ホームセンターのカー用品
コーナーで260~300円くらい(注:原寸大ではありません)。




純正バックライト球と違い、コードと一体成形ではないうえ、交換球も元々ハンダ付けする製品ではないので、固定用バイス
なしでは辛い。結局、多芯線の間に電球のリードを挟みこみ、よじってからハンダ付けした。





二度あることは三度あるので、組み直してから思い直し、結局全灯交換した。。




それはそうと、自分の遣ったことながら、部品取りに使われた方のDT8ジャンクが、ちょっと可哀想。

音質について特に言及する点はないが、DT8と9との違いは、価格差ほどには感じられない。むしろDSP回路を通さない
DT8の音の方を自然と感じる人もいるだろう。臨場感を色々変えられるのは、それはそれでお遊びとしては面白いけど。

ネット上での評価はすこぶる高く、所有者として悪い気はしないのだが・・・何と言いますか、中にはほとんど裏付けのない
マンセーに近いようなサイトもあり、「 確かに多機能ではあるが、そこまでのモノだっけ?」、と、いうのが私の正直な感想。

これは恐らく、当時の中高生向けの少年誌で大々的に広告が打たれ、実際相当数のユーザーを獲得したDT7の上位機種
(つまり、憧れ)であったことと あながち無関係ではないと思うのだが、 どうだろう?


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