今のとこ最重用モデル Panasonic RX-DT707

 2007年暮れ。本機はカセット不動により廃棄される運命にあったが 偶然通りかかった もったいないお化けの私によって
サルベージされた。別にそれを、お客に出そうって訳じゃないから いーのだ。
元々姉から預かっているDT901型の部品取り用にでもなれば御の字、程度に思っていたら(カセット部とCD部に互換性が
ある)リモコンまで頂き使っているうちになんと、こちらの方が使用頻度が格段に高くなってしまったのだった。理由は後述。



 '91~2年発売の本機のグレード位置付けは いわゆるアッパーミドル。中高生でも買(って貰)えるように、最上位機種の
DT909型から一部機能を省略したモノ*。具体的には、909に あったバックライトやスペアナ表示が無い。あとテクノボイスも。
その差、定価で1,2200円。因みに 当時の一万円は、今の一万円より使いでがあった。学生だったら尚更。

* ここによると、707の方が先行発売だったかも知れない。
http://panasonic.co.jp/design/masterpieces/1990s.html
もっとも、こういう自画自賛サイトって、信用してないんスけどね。ラジカセのラウンドデザインの先駆けは、松下じゃないことを知ってるので。
 
 この省略が、実売価格でどれだけの差になったか判らないが、本機に限らず9系が高くて泣く泣くこちらの7系にしたという人は多かった。
電器屋で、隣の上位機種に比べ明らかに 光らない 踊らない 喋らない では、仮に売り場で妥協したつもりでも後々未練を
引きずる買い物になったろう、比べちゃったら。オトナ買いはできない中高生だと予算の都合がシビアなのでそうなる。
相対価値のスグ下がるパソコンとかと違うので、この手の買い物は、本当に欲しいグレードを、少し無理してでも買って
おいた方が満足度は高いと私は思うんだけど、どうですかね?




 しかし、かつてのハイエンドを諦めてDT707にした諸君(または、「別にこっちの方でいいしー」と敢えて707にした貴方)、
その選択はあながち間違いではなかった。なぜか。

1、球切れの心配がない

古いラジカセの中には、表示部の球切れに神経質になるあまり、以前より気軽に電源を入れられなくなってしまったモノが
多くある。そんな中、この「バックライトが元々無い」新参モデルは、私にとって格好のセカンドユースとなり、そしていつしか
メインユースに昇格することになった。

2、スペアナを経由しないピュアサウンド

DT707にもイコライザはあるが、回路がシンプルなのか他の理由なのか、901のグライコを経由した音よりもいい音で鳴る。
901は2台共、グライコを「フラット」にしても同様に訛った音なので、経年変化というより901の特性かも知れない。
この追試のために909を入手しようって気にはならないが、同じ傾向がDT8と9との間に見られる。

3、週末、お目覚めタイマーは切ったがテクノボイスのOFFを忘れ、結局土曜も朝起こされた、なんてことにはならない。



これだけハイエンドモデルに囲まれた私が言うのだ。
間違いない。




写真の部分は開閉する。蛇が鎌首をもたげる様子になぞらえて「コブラトップ」の名称が付いている。
で当時の雑誌広告のキャッチコピーは「音に噛まれろ」。表示の見やすい角度に調整したりはできない。




インジケータは消灯時から色バレしないクリアタイプ。これが当時はさりげない高級感を醸していた。なぜ過去形なのか?
それは・・・巷のヘンな改造車が、こぞってクリアテールに走った結果、逆に無個性な印象に変わってしまったから。。。
話は前後するが、この操作部のほとんど無いフロント部は、どこか丸目4灯なクルマを連想させる(コブラはボンネットを)。
機能とは別に、パンチネットからCDトレイに及ぶ張り出し部は、サーフィンラインかプレスラインのようにも見えてくる。
(ここは、平凡すぎて後からシワ2本取って付けたDT901型のそこと違い、デザイン上のワンポイントになってもいる)。
ほかにもパンチネット形状に無意味な部分が見受けられる(写真の部分は正にそれ)など、本機の意匠担当は多分に
クルマなフォルムを意識していたのでないか。





背面から。外部入出力(AUXなど)はある。これがまた本機の使用頻度を格段に上げている理由の一つ。
外部アンテナ端子はない。





カセットのタイプを判別するリーフスイッチには、思わぬ落とし穴が。素材の問題か、接点の煤けた部分が
テープそのものを認識しなくなってしまうのだ。
接点を磨くためにカバーを外す。
製造時期によって、カバーを取らずにすき間から磨けるタイプと、そうでないタイプが存在する。
これは前者だが、研磨を確実に行なうため外している。
外すコツは、根元の方が浮いてくれやすいのでそちらから外し、浮き上がったら爪楊枝などで
元に戻らないよう歯止めをした上でもう一方を浮かせて外す。
無理に外そうとすると、ここのカバーを留めている小さな突起が折れてしまう(私は一カ所やってしまった)。




右→研磨前(黒っぽい部分は、実はカーボン塗料らしいのだが、ココが接触不良なら塗料無くしても接点確保した方がマシ)
左←研磨後(接点だけ また別な素材がディップされているようにも見えるので、削りすぎないようにした)





受け側のツメを折ってしまい、固定できないので外してしまったカバー。元々付いてない箇所もあるし、無ければ無いでも
動作はしているのだが、短絡防止など何らかの意味があって付いているのだろうからちと不安だ。気を付けよう。




念のため錆止めも湿布しておいた。取り付ける時も根元からの方が開きやすい。




本機のカセットデッキ部は、まだ非常に良好な状態で時が止まっていた。かなり早い段階で接点不良を起こしてしまったのか。
コブラ閉じてると、あまりにノッペリし過ぎてメカメカしさがなくなってしまうので、常時開けたまま使っている(←防塵になってない)。

替わりが無くて いささか大事にしすぎているビンテージラジカセを尻目に、「家電は使ってナンボでしょ」という当たり前のことを
再認識させられた中庸モデルである。そんなわけで、フランクに常用している。

だが結論:
・ハイエンドも、必要に応じてバックライトを消灯可能にして欲しい(DT8/9みたく)。
・DSPオフ時は、マニアックな手動切換えで回路をスルーできるように(当然、スペアナは沈黙)。
・お目覚めタイマーにも曜日の概念を・・・
・何より 大事にしているモデルの保守パーツ、それが提供できないなら後継機が存在しないこの状況を以下略


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