品質管理に難あり SANYO PH-PR910
丸っこいデザインを貫くための前面パネルがパカッと開き、そこからCDトレイが出てくるギミックを搭載した
「プリミエール」*の後継機種。地味だった初代に比べ押し出し感のある外観になったが、「前の方が好き」と
言う人もいるから分からない。外観の大きな違いは、PR910にはLSIゲームの電子ブザーに使われている
ようなツィーターが付いた(後日、丸くないプリミエールも出るわ、プリミエールの名を冠したタダのラジカセ
も出るわで、「プリミエール」シリーズのコンセプト自体謎に包まれたままである)。
*初代
こだわりの先輩に”ラジカセでこれだけの音が出せれば必要十分”と言わしめた音質。ではあるのだが・・・
※当時のカタログから メタル録音対応、ドルビー倍速録音、ピークサーチ、録音中にテープが終わるといったん巻き戻し、
テープエンドでブツ切りにならないようフェードアウトで録音してくれるなど、ボタンの少ない見た目に反し機能は充実している。
これでフェーダー機能をユーザーに開放してくれれば、個人的にはDT9やシュトラッサに並ぶ高機能録音機となり得る器だった。
・購入時点から表示部内にゴミとホコリが入っていた。
・CD一曲目再生時、カツカツと何かがぶつかる音がした(他曲へスキップ→1曲目へ戻るとその時だけ直る)。
・購入後半年で、片側のツィーターからパチパチ音がするようになった(停止時においても)。
・・・と外観検査や品質管理に問題のあるラジカセだった。そのため手持ちの機種にはディスプレイの内側に
スキマテープを貼り、防塵処理とした。
・CDトレイ開閉中、ボタンが一斉にビカビカ点滅するのは、ちょっと子供騙しというか幼稚な印象を受ける。
もしこれをやるなら、トレイOPEN時→内側から外側へボタンを順次点灯、CLOSE時→外側から内側へ(略)
などとした方が、良かったのではないかと思う(あるいは、じわーっとした明滅を繰り返すとか)。
・ボタン数を減らしすぎ、リモコンがないとかなり何も出来ない。店頭で単機能な印象を与えたかも知れない。
・1バンドで、かつ大雑把なスペアナは競合機種(松下のRX-DT901など)と比べ非常に寂しいモノだった。
・カセット走行方向を、CDの曲番表示を使い回して表現する所も、やはり競合機種の凝った表示に比べて
貧乏ったらしかったかも。
反面、
・光るまで何色かわからないイルミネーションキーは良かった。
・チューナーの性能もかなり遠方のAM放送を受信でき、重宝はした。
・音量表示はマニアックなことに、音量1、2、3・・・でなく、「VOL - 46db」(例)、というようなデシベル表示。
これにより、後日"20デシベルの騒音" "53デシベルの静音設計"といった表現がピンとくるようになった。
これはイイものだ。なんでやめたのか。
ちなみに”ミニCDラジカセ”として売られていたが、横幅568.5mmは小さいとは言わないよーな・・・(ビクター
RC-QW3あたりなら、Wカセットでもミニを冠せると思うが)。ちなみに本機は、ラジカセでは出にくい音域を
3D方式で増強することで共鳴ボックスを不要とし小型化に成功したとある。といっても個人的にはデカい
方がスピーカーボックスにゆとりがありそうで好きではある。
あと、ネット上のコミュニティで、本機の音を「カーオーディオのような」と評する人がいた。実際使用されて
いるアンプICは、カーオーディオ用の中・高級機向けだったりする(音ゲーで有名なメーカーの業務用
ゲーム基板にも乗っかっていたICで、個人的になじみ深い)。
怒りのホコリ除去作業中 もし店頭展示品でこういうゴミやホコリの混入を見つけていたら、恐らく購入意欲は削がれていたと思う。表示部はラジカセの、
言ってみれば顔にも相当する部分であり、ここがアレなら他の部分の造りだって、疑われて当然(実際、そーだったわけだし・・・)。
そういえば、今年初頭にヨドバシで物色したICレコーダーの店頭ディスプレイでも、三洋製にはやっぱりディスプレイにホコリが侵入しており、萎えた。
これでいいだろ(私の部屋もなかなかホコリっぽいが) 個人的に、表示はチマチマしてる方がいかにも精密機器っぽくて好きなので、本機の見やすい
大型ディスプレイの採用が、かえって「・・・スキマだらけで、大味?」な印象を店頭で受けた。CS(お客満足度・・・?)とは、難しいモノである。
黒は飽き飽き、だが赤や黄色はちょっと、というニーズに応えるメタリックブルー(フロントのみ)。黒は普通に置いてあったが青がなかなか見つからず入手に苦労した(途中、もう黒でもいいかと諦めかけたが、初心貫徹で)。このほかに、機種は違うがエントリーモデルでは紫色というのもあった。
結構いい色だったので、上位機種に展開されなかったのが残念。・・・だから促販シール剥がせってば。
本機の、LEDを随所に取り入れたデザインは、かなり後のクラビアのような電飾ラジカセの走りだったかも知れない。
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