世界初・MDラジカセ(・・・の後継機) SANYO PH-MD2100

思えば当時のソニーやシャープはカン違いをしていた。”MDが付いたんだからテープなんてもう要らないでしょ” と。

そんなハズあるか。

'95年当時の国内において、MDは確かに普及しつつあったが、それでも田舎のお爺ちゃんお婆ちゃんが使っていた
のは相変わらずテープだったろうし、私自身、慣れ親しんできたカセットテープを、メーカー主導の思惑でいきなり
外されてしまった製品に手を出すのは躊躇われた。
そんな折、ポッと出のサンヨーから登場した正真正銘のMDラジカセ。これは超高額商品であったにもかかわらず、
当時の電波新聞の売れ筋商品ランキング(ラジカセ部門)に顔を出すほどだった。当然だろう。やはり(テープを)
「使わない」と「使えない」は違う・・・。



※当時のカタログより

初代機PH-MD2000との違いは、モノラル長時間録音に対応したこと。定価は初代から据え置きの8,4000円。ただし、
MD2000に同梱されていた1枚1400円(当時)のMDブランクメディアは、付属品から外されている。
ぢつはこの機種、タイマー録音時にモノラル長時間モードを選べないという、マイナーチェンジの時点で発生した一大
バグ仕様が存在する。本機のセールスポイントって、そこじゃなかったの?
ではどうするか。タイマーで電源が入った録音スタンバイ中に、リモコンでモノラル録音指定の信号を送ってやれば、
留守録でもリモコンの信号を受け付ける。時計とにらめっこなので、留守録の使い方としては、あまり意味がない。

そのせいか、発売は96年の夏だったのに、秋のカタログでは早々にそのまた後継機のMD3000へ切替わっている。
このためMD2100の市場での出回りは少なかったと思われる。MD3000では、CDトレイがフロントローディングから
トップローディングに変更され、AMチューナーがステレオでなくなったなどのコストダウンが図られており、結果的に
こちらを早く買っておいたのは正解だったと思っている。

MDラジカセの先駆けとして井戸を掘ったサンヨーのオーディオは、今ではすっかりビクターやシャープにそのお株を
奪われた感があり、かといって今ではメモリオーディオとCD-R全盛で、MD自体が終息に向かいつつある。サンヨーは
MDをやめるなら、それに代わる別な何かを提供するべきだった。あきらめるのが6年早過ぎたと思う。

ちなみに10年経った今でも現役稼働中である。MD部(ソニー製)は、交換して1年半くらいに壊れるということを幾度も
繰り返し、都合5度ほど修理に出している。これってメーカーとしては赤字だったんじゃ・・・。CDピックアップは、ずいぶん
酷使したが故障知らずの大当たり品。今では老体を気遣って、CD・MD共に定期メンテみたいな掛け方をしているが。
気になる点は、スピーカー開口部のサランネットがシミッたれてきたことと、FL管のマトリクスが経年劣化でマダラ模様に
なってきたことだ。他の機器はこんなことはないから、よほどショボいFL管を使っているのか(本当の粗悪品は切れるが)。

    
斜め上から撮影。下からフロントローディングCDトレイ、スロットインMD、カセットは、イジェクトがガッチャンな以外はすべてフェザータッチタイプ。ここまで奢ってくれたのなら、
あと一押し、Panasonic RX-ED50あたりで採用された、「なんちゃってパワーローディング」で決めて欲しかった(電気信号でかちょ~んという音と共にフタ押さえが外れ、
あとはバネの力だけで粘度高いグリス塗ったギヤがゆっくり回って出てくる仕組み)。


   
上:トップビュー。筐体はMG6とほぼ同じだが、ボディは艶消し処理に変更され、部材のプラスチッキーさを極力排除する試みがなされた。こういう変更は大歓迎。
右:前面パネル。MDとCDのキーは独立している。同時に使うことはないが、最初ということで直感的な操作ができるようにとの配慮だったのか。

    
 フロスト処理のイルミネーションキー。もっとも、通常使用で点灯することはまずない(写真は店頭ディスプレイモード)


   
背面。ライン入出力端子を装備(ミニジャック)電池カバーのように見える所は開かない(AC電源専用)。
バックアップ用電池はなく、停電が長引くと設定はリセットされる。


        
上:カセットデッキ部。メタルテープの録音は出来ない。              
右:側面から。総じて精悍な意匠。

※MD3000は、Lo-Dのロゴ以外全く同じモノを秋葉原で見かけた。OEM(相手先ブランド)供給と考えるのが普通だが、
その逆に、サンヨーのMDラジカセ自体が日立からのOEM供給だった可能性もある。

私的メモ

時計の24時間表示←→12時間表示切換方法
 ①TAPEファンクション時に、リモコンの「DISPLAY」で現在時刻を表示
 ②リモコン「MEMORY」を押しながら本体TAPEのSTOPを押す

ビートキャンセル
 ①リモコン「MEMORY」を押す
 ②「PGM」点灯中にCDのスキップを押す

スペアナ表示切換
 本体「SOUND」ボタンを押したままVOLUMEの+を押す

FLの輝度調整
 電源「切」状態でTUNIGの-を押したままVOLUMEの-を押す

どこもやってなかった店頭陳列モード
 電源「切」状態でBASSを押したままPOWERを押す(TUNER時以外)

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