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ラブルオーディオにおける操作体系の課題 (4)
「ワンタッチ再生」というフィーチャーがある。
従来のオーディオ機器では、再生するにあたって
1、まず電源スイッチで電源を入れ
2、次いで「再生」を押す、
のツーステップを踏んでいた*。
ワンタッチ再生とは、機器の電源がOFF状態でも 「再生」ボタンを押すだけで電源も同時に入り、操作をワンステップ省略できるという 地味に画期的な機能であった。
*よ
くよく考えてみれば、外付けタイマーとの連動が前提な据え置き型でもない限り、電源スイッチをオルタネイト動作にする必然性は
既になくなっていたのだ。もっとも、ワンタッチ再生のアイデア自体、”電源スイッチとは、そういうもの”という既成概念に捕らわれていたためか、電源の
ON/OFFが電気的に行なわれるようになってからも、しばらくは出てこなかった。
元々「電源スイッチ」の概念がないテ
レコがウェアラブルオーディオの原点だったこともあり、このワンボタンで表示通りの動作が即始まるワンタッチ再生/録音機能は
自分に大ヒット。再生ボタンでスグ再生、録音ボタンでスグ録音。「そうだ、これで良かったんじゃないか」と
まさに目からウロコの操作体系だったのだ。
しかし、この直感的な操作感覚は、ウェアラブルーディオがOSを積むようになると、逆に悪化した。
一度ワンタッチ再生/ワンタッチ録音に慣れてしまうと、より新しいはずのモデルでも、いちいち電源を入れてから、 再生ボタンや録音ボタンを押せるようになるまでの待ち時間が非常に煩わしく思えてきたのだ。それは、実際には数秒であっても 要らぬツーステップ操作を強要されることに対する苛立たしさである。
録音ボタンが「ここを押せ!」とばかりにその存在を主張していながら、実際に押してみると ”あ、それは電源ON以降の挙動ですから~”、とばかりに録音しない録音機、というのは やはり変だろう。
上、もしくは左: 電池切れではなく、電源OFF状態からの録音に対応していないレコーダー。下、もしくは右:電源がOFFであろとワンタッチで録音/再生が可能なレコーダー
また、「再生」マークが書いてありながら、押しても電源が入るだけ、という挙動は、これも変だろう。 最後に電源切った時が音楽フォルダの再生中だったにもかかわらずだ。
音楽モードで電源を切ったのに、次回起動時「再生」ボタンだけでは再生できないプレーヤー
の
んびり構えてられればこれでもいいかも知れないが、そうでない状況で電源を入れて~録音(再生)ボタン押して~というような二度手間踏みたくないわけだ。都内環状線などで 乗車率200%の”痛勤”をされている方ならきっと頷いていただけるはずだ。
なお、ここで改善の余地ありとして引き合いに出させて貰ったメーカーの最新モデル(2007年5月現在)は、ホールドスイッチで電源のON/OFFを行なうようになっており、録再に至るアクセスが更に悪化した。ホー
ルドスイッチとは、あくまで携行時の誤動作を防ぐためのもの。手元に常備し、アイデアを吹き込むといった使い方をしている身として、あれは統廃合のやり過ぎ、改悪*だと思う。
*脱線:録音キーを、赤いプラスチックにするのではなく、顔料を溝に流し込むことでさりげない色使いを実現したデザインは、評価に値すると思うのだが。
もし どうしても、OSを立ち上げてから録音、の様式を譲れない、というのなら、取り説にひと言断り書きを入れれば良い。”ワンタッチ録音の場合、起動から録音開始までの数秒は録音されません”。
さ
らに妥協するなら、録音キーを押しながら電源を入れることで、OS起動直後に改めて録音キーを押さなくても録音が始まる、というのでも(過渡期としては)許そう。
或いは、
電源キーでの起動時は録音レベル設定スタンバイに、ワンタッチ録音時はAGC録音、という風に使い分けられるようにする、とか・・・。
戻
る