AMラジオ対応ICレコーダー SANYO ICR-RB78M

カ セット派には少しカテゴリ違いと思われるかも知れないが。。。

少し前、あるメーカーの製品展示会にて、来場者 (私じゃないよ)と説明員がメモリオーディオを手に会話していた。来場者:「これ、AMは聴けないんですかね?」 説明員:「AMなんて今の若者聴きませんからFMだけでも困りません よ」。

・・・そうなのか? 私まったく逆で、AMしか聴かないんだが(もう若くもないが)。

数 あるメモリオーディオの中でもAMラジオチューナー録再モデルは珍しい。先の説明員の、需要が無いからってのはウソで、メモリオーディオがウリにしてきた 「小さく軽く」とトレードオフになってしまうので二の足を踏んでいたからに他ならない。

だから、外でAM録りた い人の潜在需要を掘り起こすべく あえて軽量・コンパクトに背を向けた故・ NHCの「VR-R1670」や、サン電子の「トークマスター」あたりが出るまで、AMチューナーの録再型ICレコーダーというのはなかなか出てこなかっ た。

そ んな私も、結構最近まで、通勤中に聴くラジオを録りたくなった時のた め もっとずっと大柄で、重たいAMラジオ付きカセットテレコを常に持ち歩いていた。本当に役立つ日々の情報は、エンタテイメント寄りのFM放送では得ら れないと思っているからだ(FM特有の、あの変に外人かぶれしたDJ風のしゃべくりが肌に合わない、ってのもある)。その 程度にはヘビーなAMリスナーとくれば、本機の登場は まさに『待望の』がつく福音、エバ・アンフェリコ。実は、内蔵メモリが256MBな先代モデルの頃からマークはしており、1GB版である本機の 発売を知ったその日にネットで注文(2007年12月初)。最近では、同型でメモリを2GBに増強したICR-RB79M型というのもある(電池持続 時間は同じ)。どこ行っても売ってないサンヨーAVにしては珍しく、地元量販店が旧モデルでない現行品を置いているのを見た。これは、同じコンセプトの 「トークマスター」や「存」 が、流通経路限定だったりマイナーだったりするため ほぼ一択になっているからだろう(2008年7月現在)。 

半年ほど毎日使い続 け、以下のような感想を得た(順不同)。



AMラジオが録れるなら、多少のサイズアップは目をつぶろう。


○    さすがに小振りとまでは言わないが、 かつてのマイクロカセットレコーダー並みには小さい。
        ポケットに入らないこともなく、身につけるように持 ち歩く(ウェアラブる)にも私的にはまぁ許容範囲なサイズ。携帯
        電話やPHSを常時2台とか持って使い分けてるような人なら、たぶん苦にならない。

×     ただ(昔のカセットプレイヤーよりは軽いハズだが)ストラップでぶら下げるには加速度が付きす ぎて、たびたび
        ポケットから飛び出してはあっちこっちにぶつかりまくって早くもキズだらけに・・・。特に表示部は、デジカメ用の
        プロテクタを貼ってみたが 時既に遅しだ。 外に持ち出すモノだけに、サファイアガラスにしろとまでは言わんから、
        せめて裸で取り扱えるのがウリなDVD-R記録面並みの強度が欲しい。『傷付かない強さを持て』。

○    デ ザインは、炊飯器のシルエットのような同社のSDプレイヤーに比べれば、かなりスタイリッシュ(?)だ。
        というのは主観でしかないが、変に奇をてらわない意匠に好感が持てる。
        一時期の相川製品みたく、機能はいいが見た目で躊躇、というようなことは無かったということだ。

○    サンヨーAV恒例 ”表示部内にひそむゴミ”が、今回(私の個体に限って言えば)なかったのも大きな特長だ。たまたま
       当たりだったか、それとも何らかの改善努力が なされているのか。使ってて、ヘッドホン/マイク端子から侵入してくる
       気配がなければ合格としよう。

◎    最大のフィーチャー、ラジオ番組を、5プログラムまで留守録できる(居てもいいけど)ウィークリータイマー。
        これは、ラジカセなどで潜在需要はありながら、ほとんど実装されなかった機能だ(理由は後述)。
        サンヨーは、オーディオ関係部署がなぜかビデ オ事業部と一緒になっていた時期があり、その時予約録音のノウハウを
        接収したと思われる。全体的な操作が難を覚えるのに比べ、プログラム操作だけは初搭載の割に洗練されており
        マニュアル無しでも簡単にセットできる(Gコード全盛になったら手動 予約の操作性を蔑ろにした録画機の増えたこと)。

○    受信感度はそこそこ。私の現所在地は田舎なので障壁が少なく、これといった問題はない。が・・・エリアバンド-
       プリセットを遠く外れた局の受信は期待しない方がいいだろう。

○    既知のエリアバンドプリセット局が画面に表示される。ドットマトリクス表示を活かしたナイ スなフィーチャーである。

○    ソニーの充電池サイクルエナジーで、普通にAMラジオを9時間10分ほどタイマーで録れる。あらゆるモノの値上がりが
       気になる昨今、汎用の乾電池や充電池が使える点は今後も要チェック項目の一つになるだろ う。

○    これは、HDレコーダー等では当たり前ではあるが、電源ON時でもタイマー指定時間になると録音を開始する。
       プライオリティとしては、音楽聴いてる最中でさえ録音に切り替わる。で、ああっ忘れてたよ、ありがとー! となる。
       ちなみに従来のラジカセでは、電源ON中 = 在宅中、と判断され、留守録が作動せず録音し損ねるのが常だった。

○    再生中、聞き逃したフレーズをボタン一つで少し戻って聞き直せるプチ巻き戻し機能。
       それでも私の使い方で5秒は戻りすぎだが一般的には妥当か。

○  録音日時表示はありがたい。留守録だと、最初のイントロがまったく同じ番組が多 いから・・・。
       (セグメントの上限で、排他表示になるのは惜しいが)。

△    サンヨーのICレコーダーは、長らくUSBダイレクト接続(A端子を持つ)がウリだった。本機はミニB端子。
        ミニB端子とそのケーブルがある程度普及した今、ただでさえサイズ的 に不利な本機にさらにA端子で
        サイズアップするのは避けたいとの判断か。賢明だと思う。
        レコーダーに限らず、USB直付けタイプは便利な反面、USB端子それ自体が無骨なこともあり、トータル
        デザインで優れたモノは見たことが無い。この先も出ないのでないか(キャップ紛失したりとか)。

△    Mac非対応。無理矢理USBポートに挿せばどうなるかは、Macユーザーじゃないので判らないが、アップル社の
   スタンス自体が『iPod買ってくれ』状態なので、本機をあえてMacに接続したい人は 困っている模様。
   (もっとも、iPodがAM録れるようになったら仮に対応させても徒 労)。

△  音楽聴くのにボリューム20段階はちょっと大雑把。倍の40段階は欲しい。
      
×    これはもう 何度でも書くが、電源OFF状態から①録音ボタンで録音始まらない②再生ボタンで音楽聴けない
×    チューナーボタンでラジオ始まらない・・・ ホールドキーは、何のため?
×    録音前のフォルダの指定はそんなに重要か? 再生前のステータス確認は不可欠なのだろうか? 昔ながらの
       電源ボタンがイニチアシブ握ってる仕様でないと落ち着かないのか。クイックな操作感を犠牲 にしてまで?
       私にとっては精神衛生上大きなハードルなので、ここは大きく減点対象とさせていただく。

×    なぜ、電源OFFの機能を「再生」キーに割り付けるのだろうか。再生は「動」の挙動、ではOFFは「静」と「動」、
       どちらのイメージが合っているか。

×    これも何度も書いた気がするが、ホールドキーがありながら、電源ONを長押しにする必要が、どこにある?

×    電池が切れかけの時も残量インジケータがまだ録れそうなそぶりを見せてしまい、録音失敗することがある。

×    強力なクレジットカード多重債務防止機能付。
       是非是非、東芝製「ボイスバー」みたく、磁気カードを壊さないセラミックスピーカー を・・・

×    ホールド状態なのに、何事もなく起動するフリをして『・・・SEE YOU!』とか言って切れるのはフェイント。

×    タグを使った曲名表示には非対応。○○○.mp3 ×××.wmaのようにファイル名しか表示しない。
       あくまでエントリーモデルに毛が生えた位置づけでしかないなら、これは致し方ないか・・・

×    些細なことだが敢えて挙げさせてもらう、ファイル名などのスクロールがぎこちない。
       操作メニューでのスクロールがぎこちないのは、ムードが問題ではないので、別にいいのだ が。

×    メニューは上下に並んでるのに、カーソル移動は左右を使うのは直 感的と言えず、何とも奇妙な操作感覚だ。

○    「巻き戻し」「早送り」の配置は、これでいい。もしこれをタテにレイアウトされていたら、メーカーによって
        正反対だったりするためワケが分からなくなる。

×     『すべてのダミー穴はカッコ悪い』との持論を持つ身としてはスピー カーのダミー穴は不要。

×    マイク/ライン入力の切替はない。抵抗入りケーブルが別途必要。(← オールインワンを目指した本機なら、
       これは解決策とは言えない)。

×     「FM/AM」のフィーチャー表示が、綺麗に密着していない(貼って 剥がして、また貼ったような色をしている)。
        さらに私の手持ちでは、左の「M」が部分的に欠けてもいる。上の低解像な写真でもよく見れば判るはず。
        これは悲しい。

望    メモリ残量や電池残量を、表示部だけでなく、LEDの色や挙動(点滅等)でお知らせできないか、切れ る前に。

望    プログラム予約は、単発の他に「毎日」を選べるが、月曜から金曜まで(土日を除く)と、日曜を除く毎日、
        も選べるようにして欲しい。

望    同じくプログラム予約は、標準的なラジオ番組放送時間の単位に合わせて指定時刻から10分間、15分間・・・
       となっているが、 開始時刻と終了時刻を指定できるモードにも切り替えられれば さらに良い。
       (「お手軽さ」では現行の方が勝っているのは承知)
   というのは、内蔵時計が常に正確なら不要だが、例えば30分の番組の留守録を、時計の狂いを考慮し31分間
       録音したい時というのがあるので。

望    このモデルにこそACアダプタが欲しいところ。エンドレス録音モードも欲しい(時間的に古い所を順次上書き)。

望    そのついでにUSB充電機能。脱落防止策の打たれていない電池蓋を頻繁に開閉したくない。

望    このモデルにこそインデックス(頭出し)付加機能が欲しいところ。なぜなら、モードを切り替えたりPCに繋いだり
       するとレジュームが消失してしまうからだ。うっかり長時間録音された内容を中断してこれをやると、また元の所を
       探すのがイヤになってしまう。

望    また、このモデルにこそファイル分割機能が欲しいところ。
       停止位置からぶった切る、A-B区間でぶった切る(3分割)、停止位置から前後○分を、停止位置以前か以降
       ○分を別ファイルに書き出す、など。
       そのユーザーの意志で切り出した部分は、前述のエンドレス録音時にも上書きされることがない ようにする。

望    時計の精度は月差で約12秒ほど(遅れる方向)。これは時報で補正をかける「トークマスター」に一日の長がある。
       ラジオ放送受信できれば、電波時計のような装置ナシでも正確な時計にできるのだった・・・。

望    ラジオ聴いてる最中、急な電話番号やURLに対応する 遡り録音機能。これは「存 DR-A800」に一日の長がある。
       ところでPCパーツといいコンセプトカーといい、日本語の命名 流行ってます?

望    ファームウェアの入れ替えで、DRM対応/非対応を切り替えられればよい。
       著作権付きと野良mp3をそれ一台で聴ける(私個人としては、DRM付きの圧縮ファイルな んて、買う気せんケド)。      

望    電源OFFの状態でも、時計表示と電池残量表示は欲しい。その状態からさらに停止系のキーを押せば、その表示も
       消してさらに節電モードへ。

望    再生中、何分中の何分 今経過しているのか分かるようにして欲しい
       一番簡単なのは、表示切換でカレントファイルの残り時間を(リメイン)表示する。

望    5プログラムでは(私は)足りない。今の倍くらいあれば何とか。

望    ワールドモデル(英語表記というだけでなく、海外の周波数帯もカバーしていること)。

望    これでAMステレオだったら、かのソニーの迷機、WM-GX822型を超えていたかも知れない(受信性能は ほぼ互角だが
        臨場感が違う。本機で録音 GX822で録音 音量注意)。
       上記のダメ出し×を何とかした上で、モデルチェンジ時 試しにAMステレオ対応の初回限定版を300台ほど出してみたら
       いかがか。手応えや再販要望が多ければ増産し、ダメなら限定分で出荷終了。私だったら 4万くらいならもう一台欲しい。
       ちなみに、AMステレオ放送を やめたローカル局であっても、新調される放送機材自体は依然AMステレオ対応である。
       対応ポータブル機器が欠番中な今・・・牽引次第でオンリーワン商品には成れるぜ。       

望    何かと必要以上に急かされる現代において、タイムシフトのメリットの一つ、早聴きモードを是非。

望    ICR-RB100RMや”棒”の実質的な後継機と思っているので、付けっ放しにもできたりするバッ
       を復活/踏襲して欲しかった!!!!!


と ころで、なぜ今までラジカセに、ウィークリータイマー付きが少なかったのか? これにはちゃんと理由がある。即ち、複数の異なる局を留守録する場 合、誰がロッドアンテナや本体の向きを留守中最適位置に調整するんだ? という、メーカー側の素朴な疑問があったのである。

し かし現実には、ラジオのウィークリータイマーをあえて要望するユーザーは、受信感度にそこまでシビアな要求をしていなかった。或いは、ウィークリータイ マーを使いたい局がFM/AMそれぞれ1局程度だったとか。ちなみに私にとってAMラジオといえば、イコールNHK第一か第二を指す。録りまくりでも局は 固定なのだ・・・

かといって自分基準で満足するわけにもいくまい。もし、ラ ジカセにコストをかけられる時代が、私の生きているうちにもう一度だけ訪れてくれるなら、その時にはアレだ、ジャイロでアンテナが最適位置を探り出し、プ ログラム に合わせ駆動してくれたりしたらステキだ(アナログ人間なので)。その頃にはラジオってあるの? ってこともあるが、現行TVがデジタルに移行したら、 少なくとも私は孫コピーもさせてくんないテレビ見るのやめちゃうよ? またラジオだけの生活に戻るつもりだ。

あ と、これは私の拘りだが、メニューキーこそ長押しの要らない専用ボタンにす るべきモノだと思う(そして、本機でメニューキーを兼ねている「停止」ボタンこそ、文字通りの停止と、電源OFF/取り消し系統の操作を割り振るのが 、一般的なのではないだろうか?)。本機もまた、少ないキーにあらゆる操作を無理に割り振った感があり、見た目はシンプルで取っつき良さそうだが、いざ半 年触ってみると使いやすいとはちょっと言い難い。機能に対するキー数が絶対的に足りないのだ(本体の「フォルダ」表記が、よく見ると後付け の手書きレンタリングで選局ボタンに兼ねさせているっぽいのが、これを端的に示していると思う)。

結論:型番は、 あくまで廉価モデルを踏襲する一点突破型モデルである。そのため上位機 種にはあって本機に無い部分は不便に見えてしまうものの、ラジオを仕事に趣味にと使うヘビーユーザーには強力なガジェットとなるのは間違いない。ただ競合 他社に比べインターフェイスに(慣れない人は半年使っても慣れないくらいの)クセがある。私は留守録専用と割り切って使わざるを得ないほどであり、改良が 待たれる。または、いっそPCMレコーダのオマケ機能にこのラジオ付けて、強豪ひしめくmp3プレイヤー/レコーダーで個性を出した方がいいのでは? 値段では 特ア製に、ネームバリューでも既にソニーやローランド/コルグといったメーカーにはかないっこない気がするので。

最 後に、取説に記載は無いが、I/O端子のシリコンカバー?は外した後、留め軸中心に360度回すことができるから、無理にひん曲げて折れグセ付けたり千切 らしたりしない方がいい(私は知らずに遣ってしまった・・・)。

追記:これも取説に記載は無いが、タイマーはラジオの他にマイクからの録音にも対応している。ラジオ選局のカーソルでさらにスキップを押すうちに「MIC」表記が出て驚いた。最初出来ないものと思っていたがここに訂正させていただく。
・ポーズ(一時停止)解除時、停止位置からコンマ数秒が再生されない(通しで再生されない箇所がある)。そのため本機でトランスクライビンク用としては不向き。
・ある程度再生を進めた状態で、そのトラックを削除すると、次に再生されるトラックは頭から再生されないバグがある。

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