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植木鉢 感染性心内膜炎とは??

感染性心内膜炎について

 先天性心疾患患者で最も注意しなければならない合併症の一つに感染性心内膜炎が
あります.感染性心内膜炎とは口の中にいつもいる病原性の弱い細菌が虫歯を抜いた
時などに血液の中に入り,もともと病気のある心臓にくっついて,そこで繁殖して固
まりになり,そこから血液の中に細菌をばらまいて,一種の敗血症を起こす恐ろしい
病気です.この病気になると最低1か月の入院が必要となり,命とりになることもあ
ります.

 この病気を発症するとまず熱が出ます.抗生物質を飲むと一時的に下がりますが,
止めるとまた熱が出ます.かぜと症状が似ていますが,38度以上の熱が毎日出て,
長 引きます.熱が5日から1週間以上長引くときには担当医を受診した方がいいでしょ う.
診断するのに,心エコー検査と血液培養を行います.超音波検査で細菌の固まり が心臓の中にないか調べます.また,血液の中に細菌がないかどうか,血液培養を行 います.
治療は,入院して抗生物質を最低1か月毎日点滴します.抗生物質が効かな い場合や心臓の中に大きな細菌の固まりがある場合には手術が必要となる場合もあり ます.
この病気では,細菌の固まりの一部が肺や脳などに血液の流れによって飛んで いき,血管に詰まってしまい肺梗塞や脳梗塞を起こすこともあります.
また,心臓の弁を破壊して,弁を取り替えなければならなくなることもあります.

この病気は予防することが重要です.
発症のきっかけとして最も多いのが虫歯ですので,予防の第一は虫歯の予防です.
歯をよく磨いて虫歯にならないようにしましょう.
予防の第二は虫歯を抜く際には,前もって抗生物質を飲むことです.虫歯を抜く1時間前に アモキシシリンというペニシリン系の抗生物質を飲むといいとされています.
抜歯前には歯医者さんにこどもさんの心臓病について説明し,前もって抗生物質 を飲む必要があることを伝えてください.この病気をあまり認識していない歯医者さ んもいますので,注意してください.
乳歯は自然にとれる場合は安全ですが,血が出るような時には早めに抗生物質を飲んだ方がいいでしょう.
歯ぐきから血が出るような処置以外には化膿した皮膚を切開して膿を出す時にも予防が必要です.
ペニシリンは担当医からあらかじめ処方してもらい常備するのもいいと思います.
本症を起こしやすいのはほとんどの先天性心疾患ですが,特に注意する必要がある のは人工弁手術後や人工物を使ったラステリ手術などをした人,以前に感染性心内膜 炎になったことがある人,ファロー四徴症などチアノーゼのある心疾患の人,短絡手 術をした人です.また,心室中隔欠損などの多くの心奇形の人も注意が必要です.
予防が必要ないといわれているのは,心房中隔欠損の人です.
また,心房中隔欠損,動脈管開存,心室中隔欠損の閉鎖から6か月以上たっていて,もれが残っていない場合 にも予防は不要です.

山形大学医学部小児科 鈴木 浩 助教授

Tuesday, December 26, 2000 up


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