国鉄(インチキ)車両図鑑-3
形式ナハ10試作車(外板補強)




ナハ10形式の試作車は車体に通常鋼を用いた物の他に、ステンレス 合金を用いた車両も存在した。

ナハ10(903~905)



この試作車の外見上の特徴は、何と言っても無塗装の車体側面に張られた補強のコルゲートであろう。客車である事を示すぶどう色2号の帯が僅かに色気を添えている。洗面所側には窓が無い。

昭和32年落成。品川駅構内でお披露目を行った後、国鉄技研において主に車体強度の実験が行われた。縦方向、横方向、ねじれ等、苛酷な検査が連日続けられたが、そこで得られたデータは、その後の車両開発に貴重な資料となった。
実験が終了すると、通常の客車として実際に使用する運びとなり、大宮工場で整備、及び全体をぶどう色2号で塗装し直した上で、903は秋アキへ、904は秋ヒロへ、905は秋カタへとそれぞれ散って行った。主に奥羽本線の長距離列車に用いられたようである。

ナハ10 903~905、新配時の状況



これらのステンレス車は、昭和50年3月、秋アキの903を最後に姿を消した。

ナハ10903~形式編成例