鉄道耳袋1
証言者:かのっちさん(東京都)
>黄色い車体に車体を取り巻く青の一本線、小学生が図画工作で造りそうな、まさしく昭和30年代誰もが夢見たマイカー的な車体に探照灯が4つ、異様に低い車体からは車輪の片りんも見当たりません。
うわさによれば、よなよな単行でごとごと走っているとか、突然無数の脚が生えて探照灯で線路を照らし突っつきながらほっつき歩いているという「完全自走説」、夜中にはいなくなるというので望遠鏡でのぞいたら月面に着陸して仲間と何やら企んでいたという「アダムスキー説」等々、、、
我々てっちゃん小隊としても正体を暴かんとおっとりカメラで張ってはいたが、人知れず消えてしまったという今もって謎なその名も「クラゲ車」
思い出すたび背後に人影を感じてしまいます…
かのっちさんの仰っていた謎の鉄道車両は恐らくこれです。
正体は1923年製のスコダPA2、その軌陸車バージョンです。
私は古い事は良く知らないのですが、この「鉄の亀」の装甲自動車バージョンは当初チェコ警察に納入されて良い評価を受けています。前後に運転台を持ち、前後進共時速60キロが出せたそうで、両大戦間の傑作装甲車の一つに数えられました。後に陸軍に渡った軌陸車バージョンのうち一部は飛行船迎撃の為、ルノーFTの砲塔を取り付け、エアハルトBAKかボフォース40mm両用砲を搭載した対空タイプと、照空灯搭載タイプのバージョンが出来たそうです。
普段コイツは「杉山とうふ店」や「仏壇の山村堂」と言った近所の店の看板を掲げてカモフラージュしているようですが、深夜になると何処からとも無く這いずり出してきて、照空灯で上空を照らしつつ線路上を出鱈目に駈けずり回っている厄介物です。情報では黄色地に青帯だったとの事ですが、ここでは以前トワイラだったかVOWだったかで紹介されていた事例、詰り灰黒色にクリームの帯の図を提示します。
コイツが走る事に特別な意味は無く、唯々走るのが楽しくて仕方が無いのだと思われます。
昼間は「南武線津田山から山へ向かって分岐する、薄気味悪い沼のほとりでブツっと終わっている引込み線」の終点近くの叢に隠れていたと噂に聞きましたが、聞き間違いかも知れません。現在では引込み線自体が消滅しています。
因みに疲労戦隊ツカレンジャーに出て来た「機関車怪人」と何か関わりがあるのか調べてみましたが全く何も判りませんでした。
朧都椿(ロウヅキ)の 散り残してや 円覚寺