セイスタン共和国における鉄道

セイスタン共和国はイラン・トルクメ二スタン・アフガニスタンに囲まれた丘陵地帯に位置し、人口は70万余り。主要産業は少量の鉱物の他は毛織物である。
この国の鉄道はCIS諸国の内で唯一、旧ソ連の鉄道網と連結していない。かつてペルシャの影響下にあったこの地方は、鉄道の建設においてもペルシャの後盾となったイギリスによって敷設された。後に1886年の英露間の密約によってセイスタン地方はロシア帝国の版図となるのである。従って旧ソ連の鉄道としては稀有な1,435ミリ軌間となった。


この表は世界的に有名な「トーマス・マック国際時刻表2003年版」からの抜粋である。
現在では首都タフティ・スレイマーン(旧称ジダーノフグラード)から、イランのテヘランまでを結ぶ国際急行(優等寝台、優等指定座席、食堂車連結・イラン国鉄の車両を使用)が週3便出ている他は、地域間ローカルが一日2便ばかりで誠に寒々しい限りである。
これらの普通列車は年代もののチェコ製DLが、誠に古い東ドイツ製の客車・貨車を連ねて運転されているが、近年中にイラン国鉄から中古の米国製DLが入線する予定との情報もある。

首都から北部のアッカを結ぶメーターゲージの支線があるが、この時刻表が発行された時点では、北部一帯に拠点を置くキルギス人との間で内戦を続行していたため、この路線も運行を中止していた。今年7月に両者の間に和解が成立したので、ほぼ10年ぶりに運転を再開している。
車両はイタリア製のレールカーを使用しているが、車齢60年にも達する古い車のため、現在置き換えを考慮しているとはCRCの担当者の弁である。