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Type locality |
2007年11月入荷。C. octocirrus(オクトキルルス)原記載のホロタイプの産地であるスリナム河流域・マーシャル川(Marchall
Creek)で採集されたという個体です。入荷時は全長3cm程の幼魚でした。 |
協力:ペスカドール PESCADOR |
産地
(C. octocirrus(オクトキルルス)の産地)
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スリナム:ブロコポンド(Brokopondo)地区・スリナム河流域、マロウィネ(Marowijne)地区・マロウィネ(Marowijne)河(マロニー河)流域、フレンチ・ギアナ:マロウィネ(Marowijne)河(マロニー河)流域 |
その他の通称 |
「オクトキルルス」 |
現在コリドラス属に分類されている種類のうち、最初に記載された種として一般に有名なのはC. プンクタータス(当初はカタプラクタス属として記載)ですが、「コリドラス属」が魚類学史上初めて定義されたのは、1803年のゲオフロイの記載が最初です。つまり、ゲオフロイが、コリドラス属の基本となる「タイプ種」ということになります。
ゲオフロイのホロタイプ標本(正基準標本)は消失しているため、長らく詳細が不明なまま、C. プンクタータスがゲオフロイと同種であろうと言われていましたが、1999年のIsbruckerの発表により、1970年にNijssenによって記載されたスリナムからフレンチギアナに生息するC. octocirrus(オクトキルルス)こそが、C. geoffroy(ゲオフロイ)と同種であるという見解が出されました。ホロタイプが存在しないわけですから、全く疑問の余地がないとは思われませんが、ここではIsbruckerの見解に従って、C. geoffroy(ゲオフロイ)=C. octocirrus(オクトキルルス)として掲載しておきます。
C. octocirrus(オクトキルルス)の原記載では、オスの成魚の胸ビレがソロックスなどのように太く発達して棘を持ち、尚且つバルバータスのオス個体などのように、著しく伸びることが報告されています(下図2参照)。また、標本個体では、吻端から頭部にかけてグレーのネットワーク模様が明瞭に認められます(下図1参照)。これらの特徴からも、まさに最高峰の真正ロングと言えるでしょう!
上掲写真の2007年11月入荷の個体は、C. octocirrus(オクトキルルス)のホロタイプと同じく、スリナムのマーシャル川で採集された個体ですが、まだ幼魚であることもあり、上記のネットワーク模様や、(オスであれば)胸ビレの特徴なども表れていません。しかしながら、原記載を読むと、同産地の個体でも頭部のネットワーク模様がはっきりとしない個体がいることや、幼魚ではグレーの色彩しか持たないと記されていますので、写真の個体も今後の成長が期待されるところです。海外のサイトでは、原記載と同じような特徴を明瞭に表している生きた個体の写真も見られます。いつかそんな実物を見てみたいものです。
フレンチギアナ産のC. octocirrus(オクトキルルス)については、スリナムのタイプとは若干違って、背ビレの付け根に小さな黒斑が認められることが、1971年のNijssenの論文で標本写真とともに解説されています。一般のコリ好きな方でも持っているような本としては、小林圭介氏の「コリドラス大図鑑」(マリン企画)40ページのゲオフロイとして紹介されている写真や、Aqualog, All Corydoras(1996)の81ページ下に掲載されている「griseus-longnose」の写真が、フレンチギアナ産のC. octocirrus(オクトキルルス)の特徴を示した個体です。
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図1. Corydoras octocirrus Nijssen, 1970, Paratype ♀ SL 61.0mm (ZMA105.367).
After Nijssen, H. 1970, p. 26, fig. 12.
図2. Corydoras octocirrus Nijssen, 1970. (左)ホロタイプ・オス個体、(右)パラタイプ・メス個体
After Nijssen, H. 1970, p. 28, fig. 13.
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